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主演の森七菜がトー横キッズを題材にした映画に挑んだ『炎上』の見どころを紹介。家出をした少女が、歌舞伎町に火をつけるまでの150日間を描いた衝撃作!

  • 2026.5.2

2026年4月10日より全国公開された『炎上』は、『WE ARE LITTLE ZOMBIES』を手がけた長久允監督のオリジナル脚本作品。公開前に試写で観た本作の感想を紹介(以下、ネタバレを含みます)。

映画『炎上』で主演を務めた森七菜さん (C)2026「炎上」製作委員会
映画『炎上』で主演を務めた森七菜さん (C)2026「炎上」製作委員会

【ストーリー】

小林樹理恵(森七菜)は、あるカルト宗教の信者の家の子として、妹(新津ちせ)と共に厳しく教育され育つ。姉妹は毎日訪れる辛い日々が消えるよう、そして教育熱心な父(古舘寛治)がいなくなるよう神様にお願いをしてきた。

数年後、願いが叶い突然父親が亡くなる。しかし、父親がいなくなっただけで、母親(松崎ナオ)から教育を受け続ける現実は変わらない。ついに樹理恵は母の目を盗み、妹を残して家を飛び出してしまう。

行き場のない樹理恵のSNSに届いた「あの広場に行くと、この人が助けてくれるよ→@kami」というDMを頼りに向かうと、そこには若者たちがたむろしている広場があった。

そこで「じゅじゅ」という名前をもらい、寝る場所や食べ物、スマホ、そして仕事をもらい、母親の元に置いてきた妹をいつか連れ出して共に暮らすという“夢”をもらった。

そんな彼女が、歌舞伎町に火をつけるまでの150日間の物語。

(C)2026「炎上」製作委員会
(C)2026「炎上」製作委員会

歌舞伎町に居場所を見つけ、パパ活をして生きる少女役を森七菜が熱演!

監督を務めるのは、短編映画『そうして私たちはプールに金魚を、』(2017年)が第33回サンダンス映画祭ショートフィルム部門のグランプリを日本映画として初受賞し、長編映画デビュー作『WE ARE LITTLE ZOMBIES』(2019年)が第35回サンダンス映画祭で日本映画として初めて審査員特別賞のオリジナリティ賞を受賞した長久允さん。

筆者は長久監督が森田剛さんとタッグを組んだ『DEATH DAYS』(2022年/YouTubeにて三夜連続で公開されたあとに映画として公開された)がとても好きな作品だったため、彼の新作となる『炎上』が非常に楽しみだった。監督は本作について「新宿歌舞伎町のニュースを見て、現場を取材し、彼女/彼らの物語を書くべきだと思ったことがきっかけ」と語っており、撮影は映画の舞台である新宿・歌舞伎町でロケを行ったという。

長久監督と初タッグを組み、主人公の樹理恵(通称:じゅじゅ)を演じたのは、映画『国宝』(2025年)や『フロントライン』(2025年)、ドラマ『ひらやすみ』(2025年)など話題作への出演が続く森七菜さん。本作では、両親からの虐待に耐えきれず、家出をしたのちに歌舞伎町に自分の居場所を見つける少女を演じている。

かわいらしい役柄を演じることが多い印象の森七菜さんが、精神的にも状況的にもギリギリな人生を送る樹理恵を見事に演じきっていて、改めて彼女の表現力の幅広さに驚かされた。

(C)2026「炎上」製作委員会
(C)2026「炎上」製作委員会

樹理恵と一時保護施設で出会い、歌舞伎町で行動を共にすることが多くなる三ツ葉葉子(通称:三ツ葉)役を演じたのは、ヴィム・ヴェンダース監督の『PERFECT DAYS』(2023年)や、ゆりやんレトリィバァさんが初の映画監督に挑戦した映画『禍禍女』(2026年)などに出演するアーティストのアオイヤマダさん。

ダンサーとしても活躍していて、ビジュアルも超個性的でかっこいいアオイさん。本作ではミステリアスな雰囲気の三ツ葉を魅力的に演じている。

【写真】三ツ葉(アオイヤマダ)と出会った樹理恵(森七菜)は彼女の影響で援助交際を始める (C)2026「炎上」製作委員会
【写真】三ツ葉(アオイヤマダ)と出会った樹理恵(森七菜)は彼女の影響で援助交際を始める (C)2026「炎上」製作委員会

そのほかキャストに、樹里恵と初めて友達になり、彼女をグループに招き入れる鶴川真(通称:リス)役に、ドラマ『放送局占拠』(2025年)や映画『WIND BREAKER/ウィンドブレイカー』(2025年)でなどに出演して注目を集めている曽田陵介さん、樹里恵たちがいるグループのリーダーで、歌舞伎町に集まる10代の子どもたちの親代わりをする上条いつき(通称:KAMIくん)役に、『サンクチュアリ -聖域-』(2023年)の一ノ瀬ワタルさん、樹里恵の妹・貞奈役に、NHK連続テレ ビ小説『おむすび』(2024年)に出演の新津ちせさん、樹里恵の母親役に、女優やシンガー・ソングライターとして活躍している松崎ナオさん、樹里恵と貞奈の姉妹を厳しい教育で追い詰める父親役に、舞台・TV ドラマ・映画など幅広く活躍する古舘寛治さんなど、個性豊かな俳優陣が集結した。

じゅじゅ(森七菜)をグループに招き入れるリス(曽田陵介) (C)2026「炎上」製作委員会
じゅじゅ(森七菜)をグループに招き入れるリス(曽田陵介) (C)2026「炎上」製作委員会
子どもたちの親代わりをするKAMIくん(一ノ瀬ワタル) (C)2026「炎上」製作委員会
子どもたちの親代わりをするKAMIくん(一ノ瀬ワタル) (C)2026「炎上」製作委員会

“トー横”で生きる若者たちの危うさにハラハラさせられる作品

樹里恵と妹の貞奈は、カルト宗教の信者である父親から厳しく育てられ、時には暴力を振るわれていた。父親が亡くなったあと、今度は母親も父親と同じように厳しい態度で姉妹に接していたため、そんな状況に耐えられなくなった樹里恵は妹を残して家を出てしまう。

冒頭から辛いシーンが登場するが、そこまで気持ちが凹まないのは、長久監督独特のポップな世界観がベースにあるからかもしれない。虐待シーンが苦手な人は注意が必要だが、自由になった樹里恵が自分の生きる場所(歌舞伎町のトー横)に辿り着き、仲間と楽しそうに過ごすシーンにはホッとさせられた。

(C)2026「炎上」製作委員会
(C)2026「炎上」製作委員会
(C)2026「炎上」製作委員会
(C)2026「炎上」製作委員会

トー横といえば、トー横キッズを思い浮かべる人も多いだろう。個人的には歌舞伎町が大の苦手で、トー横の近くにあるTOHOシネマズはできれば行きたくない映画館だ。とにかくイメージが悪い。そんな場所に辿り着いてしまった樹里恵は、仲間ができて楽しそうにしていても、この先に何やらやばいことに巻き込まれていくことは間違いないと、予告映像を観て予想していた。

樹里恵のことを“じゅじゅ”と呼ぶ仲間たちは、元気そうに見えて実は精神が不安定な子ばかり。いつも馬鹿騒ぎをしている彼らと、胡散臭さ満載のKAMIくんのせいで樹里恵は気を失い、一時保護施設に入れられることに。

施設で足の悪い三ツ葉と出会い、二人は親友になるが、一緒に歌舞伎町に戻ってきてしまう。そのあと三ツ葉に誘われて樹里恵は援助交際を始めるという最悪の展開に…。三ツ葉がパパ活をするのはホスト代を稼ぐためだが、樹里恵の場合は遊ぶお金が欲しいのではなく、妹を迎えに行く資金を貯めるという目標のためだった。

安い時給でアルバイトをするよりも、少しの時間を我慢すれば数万円稼げるパパ活にハマってしまう樹里恵の浅はかな行動に辛さが増していく。さらにパパ活だけじゃなく、薬を過剰摂取する描写もあり、樹里恵や彼女の仲間たちの危うさに常にハラハラさせられるのである。

トー横で自分の居場所を見つけた樹里恵だが、彼女の周りには信用できる仲間は一人もいない。歌舞伎町・トー横とはそういう場所である。実際に、今もトー横では多くの少年少女らが犯罪に巻き込まれるなどして社会問題になっている。彼らの中には樹里恵や三ツ葉と似た境遇の子もいるかもしれない。できれば歌舞伎町に居場所を見つけるような若い子が一人でも減ったらいいなと鑑賞後に改めて思った。

(C)2026「炎上」製作委員会
(C)2026「炎上」製作委員会

ポップでキラキラした映像を盛り込みながらも、歌舞伎町で生きる若者のリアルな姿を描いた本作。ぜひ劇場で本作を鑑賞してもらいたい。

(C)2026「炎上」製作委員会
(C)2026「炎上」製作委員会
(C)2026「炎上」製作委員会
(C)2026「炎上」製作委員会

文=奥村百恵

※本作には性被害、薬物、児童虐待、自死の描写が含まれます。鑑賞をご予定の方はご注意ください。また本作は、インティマシーコーディネーター監修のもと制作されており、未成年者を含めた出演者全てに配慮して制作されております。

(C)2026『炎上』製作委員会

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