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幼い頃の性被害は傷として残るけれど、希望がないわけではない。切なくて泣いてしまうことがあっても、それでも生きていく【著者インタビュー】

  • 2026.4.29

【漫画】本編を読む

※この記事はセンシティブな内容を含みます。ご了承の上、お読みください。

ある日、突然、学校に行けなくなった小学3年生の勇。おねしょをする、父親の健に触られただけで嘔吐するなど、普段とは明らかに違う様子が続いていた。病院に連れて行ったり、学校や周囲に聞きまわるも、理由が分からず、悶々とした日々を過ごしていると、英子のもとに警察から電話がかかってきて――。

息子の性被害事件と戦う家族の姿を描いた漫画『性被害のせいで、息子が不登校になりました』(あらいぴろよ:著、斉藤章佳:監修、飛田桂:取材協力/KADOKAWA)。著者は、虐待や毒親に関するコミックエッセイを手がけ、自身もトラウマ治療中と語る漫画家のあらいぴろよさん。

おぞましい性犯罪に、深い傷を負う勇。さらには、加害者の衝撃的な過去も明かされ――。そんな中、英子はあらゆる支援や家族によるケアで息子を救おうとする。性被害に限らず、すべての傷ついた人たちに送る本作について、著者のあらいさんに話を伺った。

――事件の後、勇とその家族が前に進もうとする姿に勇気をもらいました。消えることのない傷を抱えながら、なんとか生きていける道を見つけられたのでしょうか。

あらいぴろよさん(以下、あらいさん):ラストの英子の心の声に、自分の願いを込めて描きました。事件が起きる前の自分たちに、戻れるなら戻りたいけど、それが叶うことはありませんから。それができないのなら、生きる場所を変えてでも生き抜いて欲しい、と…。この家族がせめて許容できる形におさまり、これからも生きていくという人が持つ静かな強さを感じさせる余韻を残しました。切なさは、変わりませんが。

――切ない余韻を残しながらも希望を感じるラストでした。

あらい:私自身も過去に虐待や性被害を受け、昔は四六時中マグマのようにキレる人でしたけど、今ではトラウマ治療を受け、記憶の整理を行い昔のことだと考えられるようになってきました。今度、自分のトラウマ治療体験記を刊行する予定もあります。ただ、まだ治療中ですから切なさはどうしてもあって、夜中にシクシクと泣き出すこともありますけど以前と比べたらはるかに楽になりました。

――最後に、本作に込めた想いをあらためて教えてください。

あらい:すごくつらいお話で、こんなことは起きないのがいちばん。ただ、望んだ形じゃないかもしれませんが、希望がないわけじゃないんですよ。性被害にかぎらず、災害や事故もそうですが、みんな誰しも被害者になる可能性はあると思うんです。だから、みんなの心に響くお話だと胸を張って言えます。それでも、ショッキングな内容なので、あたたかくして、安全な場所で読んでもらえたらと思います。

取材・文=吉田あき

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