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2026春夏オートクチュール・コレクションが告げる新時代の幕開け

  • 2026.4.28
Hearst Owned

複数のトップブランドが新たな体制の下でコレクションを発表した2026年春夏オートクチュール・ファッションウィーク。新章の幕開けを告げるように、モダンな息吹に満ちた華麗にして軽快なクリエーションが提案されています。

継承と革新を融合させて、クチュールの新たな扉を開く

デザイナー交代劇が佳境を迎えた今シーズン、気鋭のデザイナーと老舗メゾンとの創造的な化学反応に注目が集まりました。新生CHANEL(シャネル)を率いるマチュー・ブレイジーは、薄く軽い素材に精緻な職人技をちりばめ、日常性と詩情が美しく溶け合うワードローブに。一方、DIOR(ディオール)のジョナサン・アンダーソンは、メゾンのアーカイブを実験的な手法で再解釈し、フレッシュな香気あふれるコレクションに昇華しています。

今季は、長らくクチュール界をけん引し、現代のラグジュアリーを定義してきた2人の帝王亡き後の最初のシーズンという点でも節目といえます。創業者のめいシルヴァーナ・アルマーニの指揮により、再出発を果たしたのが、GIORGIO ARMANI PRIVÉ(ジョルジオ アルマーニ プリヴェ)です。繊細な色と質感を重ね、静かな存在感と品格を放つクチュールピースを提案。またVALENTINO(ヴァレンティノ)のアレッサンドロ・ミケーレは、ドラマティックなオーラをまとった壮麗なコレクションを展開し、ショー直前に逝去した偉大な創業デザイナーを追悼しました。

変動期を経て、各メゾンがヘリテージに向き合いながら新たな一歩を踏み出し、オートクチュールを次なるフェーズへと導いています。

【シャネル】翼を広げ空高く羽ばたく鳥のように自由で軽やかなフェミニニティを表現

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マチュー・ブレイジーのクチュールデビューの舞台は、幻想的なキノコの森。シャネルが描く女性像を美に触れ自由に飛び立つ鳥に重ね、メゾンのコードをこの上なくエアリーに進化させています。アイコニックなスーツスタイルは、透けるシルクモスリンで仕立て、究極まで軽快に。多用されたシフォンやフェザーが風に舞い、繊細な手仕事を引き立てます。リリカルな趣と現代性が融合したコレクションで好発進。

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【ディオール】絶えず変容し進化し続けるフラワーがつづるディオールの新章

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ジョナサン・アンダーソンは、初のクチュールにおいてメゾンが愛する花のモチーフに光を当てました。天井一面にシクラメンが咲く空間に、フォルム、プリント、クラフトワークなどで多彩に描き出したクチュールの花が開花。巧みな裁断と素材使いによってアーカイブを再構築し、優美ななかにアートなエッジが宿るルックに仕上げています。生命力に満ちた美しく力強いクリエーションでメゾンの未来を照らして。

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シクラメンの花に先達への敬意を込めて

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ディオールの会場に、かつてデザインを指揮したジョン・ガリアーノが来場。ジョナサン・アンダーソンは、ガリアーノから贈られた黒いリボンで結ばれたシクラメンを着想源の一つとしてコレクションを構築し、メゾンのヘリテージと先人の功績をたたえました。

【ジョルジオ アルマーニ プリヴェ】静かな気品と自信をたたえた大人の女性に寄り添うワードローブ

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新体制での初コレクションは「JADE」というテーマを映し、翡翠を想起させる色調と宝石のように繊細な輝きが主役。端正なテーラリングを軸にしつつ、しなやかでソフトな表情をまとったパンツスーツが魅力を放っています。レガシーを継承しながら、日常により親密にフィットするスタイルが支持を集めそうです。

創業者が築いた偉大なヘリテージを継承

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ジョルジオ・アルマーニの下で40年のキャリアを積んだめいのシルヴァーナ・アルマーニが創造のバトンを受け取り、控えめながら洗練されたコレクションを発表。オマージュとして、創業者が生前にデザインした未発表のブライダルドレスがフィナーレに登場。

【ヴァレンティノ】神話的なオーラをまとったドレスに宿るオートクチュールの神髄

LAUNCHMETRICS SPOTLIGHT

「カイザーパノラマ」という視覚装置に想を得て、円筒形の空間に立つモデルを壁の小窓から観客がのぞき込む演出でショーを発表。ドレープ使いが見事なドレスからグラフィカルな視覚効果が際立つデザイン、装飾主義的な絢爛(けんらん)たるスタイルまで、オートクチュールに託された祝祭的な非日常の夢を具現化しています。

究極のエレガンスを体現した巨星を追悼

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コレクション直前に届いたヴァレンティノ・ガラヴァーニの訃報を受け、各地で巨匠を追悼。アレッサンドロ・ミケーレは創業者との思い出を胸に、ショーの冒頭でドキュメンタリー『帝王ヴァレンティノ 最後のランウェイ』を放映し、偉大な足跡をしのんで。

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【スキャパレリ】卓越したサヴォアフェールが紡ぐエモーショナルなファッション体験

LAUNCHMETRICS SPOTLIGHT

ダニエル・ローズベリーが手掛けるSCHIAPARELLI(スキャパレリ)は今季、「どう見えるか」に代わって「どう感じるか」に注力。鳥や爬虫(はちゅう)類を連想させるドラマティックなデザインを通し、毒を秘めたロマンティシズムを妖艶に描き出しています。動物由来の素材を使用せずに、卓越したサヴォアフェールで表現している点が現代的です。

初出:リシェスNo.55 2026年3月27日発売

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