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50代男性「飲んでないと言ってるだろ!」お酒の匂いがするのに否定する要請者…救急隊員がとった行動は?

  • 2026.5.21
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出典:photoAC ※画像はイメージです。

こんにちは。ライターのとしです。

救急現場では、本人の話だけでは状況がつかみきれないことがあります。
体調不良で救急要請した50代男性は、「お酒は飲んでいない」と話していました。

ただ、近づいた時点で酒の匂いがあり、飲酒の影響も考えながら対応する必要がある事案でした。

体調不良で救急要請が入った

今回の要請は、50代男性の体調不良によるものでした。

現場に到着すると、男性は会話ができる状態でした。
意識がないわけではなく、こちらの呼びかけにも反応はあります。

ただ、質問への返事が遅れたり、話の流れが少しずれたりする場面がありました。

体調不良だけでも、こうした様子が見られることはあります。

ただ、この時は男性に近づいた時点で、明らかに酒の匂いがしていました。

お酒について聞くと強く否定した

状態を確認する中で、飲酒の有無について聞きました。

救急隊が飲酒について確認するのは、責めるためではありません。

意識状態や症状の見え方に関わる、大切な情報だからです。

しかし男性は、「飲んでいない」と答えました。

さらに詳しく確認しようとすると、「飲んでないって言ってるだろ」と声を荒げて否定する仕草も見られました。

本人としては、知られたくない気持ちがあったのかもしれません。

ただ、酒の匂いや会話の様子から、飲酒の可能性を外して考えることはできませんでした。

飲酒の有無は状態判断に関わる

飲酒しているかどうかは、救急対応の中で重要な情報になります。お酒の影響で受け答えがはっきりしないのか。

それとも、別の病気やけがが原因で意識状態が悪くなっているのか。

ここを見極める必要があります。

話し方が不明瞭だったり、反応が鈍かったりしても、それを単に飲酒の影響と決めつけることはできません。
逆に、飲酒している事実を見落とすと、症状の見え方を正しく判断しにくくなります。

どちらにしても、正確な情報が必要でした。

本人の言葉だけでは判断できないこともある

男性は飲酒を否定していました。

ただ、近づいた時の匂い、受け答えの様子、声を荒げる反応などを合わせると、飲酒していた可能性は高いと感じました。

もちろん、救急隊がその場で断定するわけではありません。
それでも、見たこと、聞いたこと、感じた違和感は、医療機関へ伝える必要があります。

本人が「飲んでいない」と話していること。
一方で、酒の匂いがあること。
会話の様子に飲酒の影響が疑われること。

お酒について確認すると、強く否定する反応があったこと。

これらは、すべて現場で得られた情報でした。

飲酒の可能性も含めて医療機関へ搬送

男性の状態を確認したうえで、医療機関へ搬送することになりました。

搬送中も、意識状態や会話の様子、体調の変化を確認します。

体調不良の訴えがある以上、飲酒の影響だけと決めつけることはできません。

医療機関に到着後は、バイタルや症状の経過に加えて、飲酒の可能性も含めて引き継ぎました。

本人は飲酒を否定していること。ただし、酒の匂いがあり、受け答えにも影響が疑われたこと。
お酒の確認時に、声を荒げて否定する様子があったこと。

そのまま伝え、無事に引き継ぐことができました。

正直な情報が必要な対応につながる

この事案で感じたのは、本人が隠そうとしても、現場では分かることがあるということでした。

匂い、話し方、反応、目線、周囲の状況。

救急隊は、そうした小さな情報も見ています。

飲酒を責めるためではありません。必要な対応につなげるためです。

正確な情報がないと、状態判断や搬送先への情報提供が難しくなることがあります。

救急現場で必要なのは、いい悪いを決めることではありません。

今、その人の体に何が起きているのかを見極めることです。

飲酒の有無も、そのために欠かせない情報の一つだと感じた事案でした。


ライター:とし
元救急隊員。消防で17年、主に救急隊として活動し救急救命士資格を取得。現場経験をもとに、救急の分かりにくい部分を一般向けに噛み砕いて発信しています。

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