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年間約1千万円の減収に直面…築15年マンションを苦しめる「空き駐車場」問題と管理組合が下した決断

  • 2026.6.7
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。不動産管理会社で10年以上の現場実務に携わり、マンション管理士の資格を持つライターのS.Kです。近年は都市部を中心に若い世帯の車離れが広がり、駐車場使用料の収入が長期にわたり減少する物件が増えています。

今回は、機械式駐車場の利用者が減った結果、管理組合の財政が圧迫されて対応に追われた事例を紹介し、現実的な解決策を解説します。

空き区画の増加が招く管理組合の財政難

築15年で総戸数200戸のあるマンションには、80区画の機械式駐車場が設置されていました。竣工当初は約95%が埋まっていましたが、現在は稼働率が約60%まで低下しています。月額3万円の区画が32台分空いたままで、想定されていた年間約1,150万円になるはずの使用料が、入ってこない状態です。

機械式駐車場は、使っていないパレット(車を乗せる鉄製の台)も含めて保守点検が必要となります。築12年目に行われた長期修繕計画(将来の修繕予定と資金計画をまとめた表)を見直す理事会で、一部の居住者から「このままでは修繕積立金が足りなくなるのでは」「そもそもこんなに駐車場が必要なのか」といった声が上がりました。空き区画が増えても維持費が減らない構造が、管理組合の財政を苦しめていたのです。

平置きへの変更か値上げか迫られる選択

このままでは数年後に控えるパレットの塗装や部品交換で、数千万円規模の費用が発生してしまいます。そこで理事会は複数の対応策を検討し始めました。

一つ目は機械式を解体して平置き駐車場へ変更する案です。数千万円の初期費用はかかりますが、将来の維持費や更新費を大幅に下げられます。

二つ目は、マンション外部の人へ貸し出す案です。ただし、住民以外が敷地に出入りすることへの防犯上の懸念があります。さらに、貸し方によっては国税庁の通達で収益事業とみなされ、課税される場合もあります。こうしたリスクへの対応には税理士への確認が必要で、慎重な声が上がりました。

ほかにも管理費を値上げして補填する案が出ましたが、車を持たない居住者の反発に遭います。結局は初期投資をしてでも、将来の負担を減らすべきだという意見が多数を占め、機械式を解体して平置きに変更する決議が総会で承認されたのです。

長期的な視点で駐車場の運用状況を見極める

駐車場の使用料は管理組合の重要な収入源であり、長期修繕計画の前提にも組み込まれています。機械式駐車場から平置きへの変更は初期費用はかかりますが、長期的な財政安定に貢献する有効な選択肢といえるでしょう。

来客用駐車場や駐輪場への転用は、あくまで補助的な対策であり、根本的な収入回復には至りません。中古マンションの購入を検討する際は、駐車場の空き状況がどうなっているかを仲介会社経由で確認してみてください。

そして長期修繕計画が3年から5年ごとに見直され、駐車場収入の減少にきちんと対応できているかを把握しておくことが、購入後の想定外の負担増を防ぐ手立てとなります。



ライター:S.K(マンション管理士)
不動産管理会社で10年以上の現場実務に携わり、業界団体の評価制度策定委員会に所属していた経験がある。現在はライターとして、自身の豊富な経験・知見をもとに、一次情報を盛り込んだ不動産記事を多数執筆している。


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