1. トップ
  2. 住まい
  3. 「補償内容は同じなのになぜ…」築古マンションを襲う“保険料倍増”の衝撃。過去最大級の値上げから管理費を守る対策とは

「補償内容は同じなのになぜ…」築古マンションを襲う“保険料倍増”の衝撃。過去最大級の値上げから管理費を守る対策とは

  • 2026.6.7
undefined
出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。不動産業界で15年の実務経験があり、マンション管理士などの資格を持つライターの西山です。マンションの管理組合が加入する「マンション総合保険(共用部の火災保険)」の保険料が、近年急激に上昇しているのをご存じでしょうか。

背景には台風やゲリラ豪雨などの自然災害の多発と、高経年マンションにおける水濡れ事故の増加が挙げられます。損害保険料率算出機構は2023年6月に、参考純率を全国平均で13.0%引き上げると発表しました。これを受けて各保険会社は2024年10月に、過去10年で最大級となる一斉値上げを実施したのです。

今回は、管理費を圧迫する保険料の上昇に対し、管理組合が打てる現実的な対策を解説します。

保険料倍増の衝撃と補償内容の見直し

マンションの保険料は築年数を経るほど料率が高くなり、各社とも築30年前後でピークに達する設計が一般的です。築古マンションの理事会では「補償内容は同じなのになぜ保険料が倍になるんだ」「他社の見積もりは取ったのか」と、管理会社に詰め寄る声が上がる場面も少なくありません。

保険料は管理費から支払われるため、急激な上昇は家計の負担増に直結する問題です。対策としては、まず補償範囲の精査から始めましょう。施設賠償や水濡れ、地震特約のうち外せるものがないか検討し、施設賠償特約を別契約に切り出す方法も選べます。

また、免責金額(自己負担額)を引き上げて保険料を抑える手法も有効ですが、小規模な事故が頻発する物件では持ち出しが増える可能性があります。

管理状態の評価と複数社での相見積もり

保険料を抑えるためには、複数社から見積もりを取るのがおすすめです。その際、管理会社が紹介する保険代理店だけでなく、独立系の代理店にも声をかけましょう。近年は、管理状態の良さを保険料に反映する保険商品も増えてきました。

たとえば、マンション管理士が管理の実態を診断し、良好と判定された物件の保険料を割り引く商品があります。他には、自治体のマンション管理計画認定制度で認定を受けた場合に、優遇を受けられる商品もあります。

いずれも、日頃から管理の質を高めておくことが前提です。ただ保険を更新するのではなく、外部の評価を積極的に取りに行くことが、結果として保険料の軽減につながるケースがあります。

根本的な事故対策と長期修繕計画の連動

小手先の見直しだけでなく、事故を未然に防ぐ根本的な対策も重要となります。保険金の支払いで大きな割合を占めるのが、共用部の給排水管の劣化による水濡れ事故です。給排水管の更生や更新を長期修繕計画にしっかりと組み込み、計画的に工事を実施して事故件数を抑えましょう。

マンション総合保険の更新は、3年から5年単位で行われるのが一般的です。次回の更新に向けて、給排水管の修繕計画と保険料削減の議論をセットで進めておくと安心です。事故を起こさない手厚い管理体制を築く努力が、将来的な保険料の上昇リスクを抑える備えとなります。



筆者:西山雄介(宅地建物取引士・マンション管理士・日商簿記2級などの資格所有)
不動産業界歴15年。新卒で東証プライム上場のマンションデベロッパーに入社後、計2社で新築・中古販売および管理業務に従事。実務現場を経て管理職も歴任し、組織運営にも携わる。現在はその多角的な視点を活かし、実務解説から不動産投資、法律事務所案件まで、専門性の高いコンテンツ制作・ディレクションを行っている。


【エピソード募集】日常のちょっとした体験、TRILLでシェアしませんか?【2分で完了・匿名】

の記事をもっとみる