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妻「鬼門に水回りNG」6500万円で4LDKを建てるも毎週ケンカ…30代夫婦を襲った誤算【一級建築士は見た】

  • 2026.6.9
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

「家を建てるなら絶対に風水で良い間取りにしたい。そう言い出した妻と、何度も衝突しました」

そう話すのは、都内に注文住宅(延床33坪・4LDK)を約6,500万円で建てたAさん(30代夫婦・子ども1人の3人暮らし)です。土地を購入したのを機に風水の本を何冊も読んだ妻が、玄関の向き、階段の位置、水回りの方角、すべてに細かい注文をつけるようになったといいます。

「鬼門に水回りはNG」「玄関は東〜南向きが理想」「玄関の正面に階段を設けない」。妻が大切にしたい希望を一つひとつ反映しようとすると、設計士との打ち合わせのたびに敷地条件との折り合いがつかず、間取りがなかなか決まりませんでした。Aさんは「家づくりが楽しいはずなのに、毎週ケンカばかりしていました」と振り返ります。

風水と住宅性能、両方を満たそうとすると難しいことも

風水は古代中国に起源を持つ環境学的な考え方で、住まいに取り入れることで気の流れを整え、運気を上げるとされています。日本でも昔から「鬼門」「裏鬼門」といった考え方が住まいに反映されてきました。住まいに対する願いや価値観を形にする一つの方法として、大切にされてきた知恵といえます。

ただし、風水の流派は複数あり、それぞれで「良い方角」「避けるべき方角」の考え方が異なります。複数の本やサイトを参考にすると、ある流派では推奨される配置が別の流派では避けるべきとされるなど、情報そのものが食い違うことも珍しくありません。

さらに、一つの流派に絞ったとしても、「鬼門に水回りNG」「玄関は東〜南」「玄関の正面に階段を設けない」といった方角や配置の希望をすべて満たそうとすると、採光・通風・家事動線といった住宅本来の条件と両立しにくくなることがあります。

実際、Aさん夫婦の場合も、複数の方角の希望が重なった結果、敷地形状や採光条件を考えると現実的に成立する間取りがほとんどなくなってしまったといいます。

Aさん夫婦はどう乗り越えたのか

打ち合わせが進まなくなったAさん夫婦は、いったん設計を止めて、夫婦で話し合いの時間を設けました。

まず、それぞれが「絶対に譲れないこと」を3つずつ書き出してみました。妻の3つは「玄関の向き」「鬼門に水回りを置かない」「玄関の正面に階段を設けない」。夫の3つは「家事動線の良さ」「リビングの明るさ」「収納の充実」でした。

その上で、設計士に「風水的に最低限避けたい配置」と「実用面で必須の要件」の両方を伝え、両者を満たすゾーニング案を3パターン作成してもらいました。最終的に採用したのは、鬼門と裏鬼門の水回りは避けつつ、玄関の向きは敷地形状に合わせて妥協し、家事動線と採光を確保した間取りです。

設計の練り直しに約2か月の追加期間がかかりました。「妻の希望も100%叶えられなかったし、僕の希望も100%ではない。でも、夫婦どちらも納得できる落としどころは作れた」とAさんは話します。

家づくりは「夫婦で軸を共有する」のが第一歩

家づくりでは、夫婦それぞれが大切にしたい要素があるのは自然なことです。風水、デザイン、機能性、コスト、立地──どれも正解はありません。問題は、お互いの優先順位を共有しないまま設計を進めてしまうことです。

家づくりを始める前に、以下の点を夫婦で確認してみてください。

・住まいに求める「絶対に譲れないこと」をそれぞれ3つずつ書き出す
・お互いの希望が矛盾する場合の優先順位を話し合う
・風水・デザインなどの「思想」を取り入れる場合は、どこまで反映するかの線引きを共有する
・設計士に伝える前に、夫婦の方針を一本化しておく

「風水を取り入れた家づくり」が合う夫婦もいる

ここまで風水との付き合い方を中心に紹介してきましたが、風水を取り入れた家づくりが暮らしにフィットする夫婦もいます。

風水の考え方が二人にとって心の支えになっていたり、信仰や習慣として大切にしていたりする場合、それを反映した住まいは精神的な満足度を高めてくれます。重要なのは、夫婦の温度差を埋めること。一方だけが熱心で、もう一方が乗り気でない状態で進めると、家づくり自体がストレスになります。

家は何十年も住む場所です。建てる前の話し合いに時間をかけることが、結果的に夫婦関係も住まいも幸せにする第一歩になります。


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
地方自治体で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


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