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地下駐輪場900台完備も虚しく…外部の通勤客らが“100台”を地上に無断駐輪→総600戸マンションを襲った“管理の盲点”

  • 2026.6.9
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。不動産管理会社で10年以上の現場経験を持つ、マンション管理士のS.Kです。駅に近い大規模なマンションでは、敷地内の広場や植栽の周りに大量の自転車が無断で停められている光景をよく目にします。

立派な駐輪場があるにもかかわらず、なぜ敷地の目立つ場所に違法駐輪が溢れてしまうのでしょうか。今回はあるマンションで起きた違法駐輪を巡るトラブルと、解決に向けた管理組合の対応エピソードを紹介します。

外部からも狙われやすい公開空地の弱点と撤去の壁

築10年で総戸数約600戸の大規模マンションでは、約900台収容の地下駐輪場が完備されていました。しかし、地上の公開空地(容積率の緩和を受けるために設けられた公衆に開放される空間)や植栽の周りには、最大で約100台の自転車が放置される状況が続いていたのです。

公開空地は誰でも入れる開放感のある設計のため、外部の通勤客や買い物客が罪悪感なく停めてしまう構造的な弱点があります。「景観が悪い」「通行の邪魔になっている」といった声が管理員や管理会社へ次々と寄せられました。

しかし、対応には高い壁が立ちはだかります。公開空地はマンションの私有地ですが、公衆が自由に通行できるようにする条件付きで設けられています。そのため通行の妨げになる柵やバリケードを勝手に設置することはできません。

一方で、私有地である以上、公道のように放置自転車を自治体が撤去してくれるわけでもなく、管理組合が自ら手続きを踏んで対応するしかないのです。

誘導員の導入と撤去コストに悩まされる管理組合

違法駐輪の撤去プロセスは非常に長く、費用もかさみます。警告札を貼り付けてから一定期間経過後に移動し、保管庫で保管しつつ警察へ盗難車照会を行います。その後は産業廃棄物として有料で処分するため、1台の廃棄にも膨大な手間とコストが必要です。

そこで、管理組合は日中に誘導員を配置し、声かけと整理整頓を継続する対策に踏み切りました。誘導員の配置から約2か月で、違法駐輪は大きく減少したのです。しかし、誘導員を置かなくなると、すぐに元の約100台まで増加してしまいました。

禁止の掲示だけでは効果が薄く、人による常時運用を続けないと意味がないという問題が浮き彫りになりました。

プランターによる物理的な対策と管理の裏側

打開策として採用されたのが、景観向上を目的とした移動可能な大型プランターの等間隔設置です。固定された柵は協定違反となる可能性がありますが、緑化目的のプランターであれば行政から理解を得られやすい傾向にあります。物理的に自転車を停めにくくする工夫として、多くの物件で採用されている手法です。

違法駐輪は、掲示で呼びかけるだけでは止まりません。撤去や廃棄の手続き、誘導員の人件費、プランターの設置など、対応には継続的な手間と費用がかかります。公開空地はマンションの開放感や資産価値を高める設備ですが、その維持には地道な労力が必要です。

広々とした公開空地のあるマンションを見かけたら、その快適さの裏側で、管理組合がこうした運営を続けていることにも、ぜひ目を向けてみてください。



ライター:S.K(マンション管理士)
不動産管理会社で10年以上の現場実務に携わり、業界団体の評価制度策定委員会に所属していた経験がある。現在はライターとして、自身の豊富な経験・知見をもとに、一次情報を盛り込んだ不動産記事を多数執筆している。


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