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「壁ドン」で社会現象を巻き起こした“イケメン俳優”、ネトフリドラマ主演を経て“魅せる”新境地とは

  • 2026.5.18

今、日本のエンタメ界において、この男の存在抜きで「巨大プロジェクト」を語ることは不可能だ。

端正なビジュアルを武器に、かつては「実写化王子」として世の女性たちを熱狂させた山﨑賢人。だが、現在の彼をその一言で括る者はいない。甘い称号を自らの肉体と精神で叩き割り、剥き出しの表現者として世界を獲りにいく。その変貌の裏には、周囲の期待を裏切り、自ら「修羅の道」を突き進む、静かなる狂気が宿っていた。

15歳でのデビューから、現在のアクション俳優としての覚醒、そして大河初出演・初主演という異例の抜擢へ。彼がいかにして「王子」の殻を破り、日本映画の限界値を更新し続ける座長へと上り詰めたのか。その魂の航跡を追う。

竹下通りで見出された「無垢な原石」

山﨑賢人の物語は、2009年、東京・原宿の竹下通りから始まった。中学3年生のとき、サッカーに明け暮れていた少年は、偶然訪れた地でスカウトを受ける。その圧倒的な透明感は瞬く間に業界の注目を集め、雑誌『ピチレモン』のメンズモデルとしてキャリアをスタートさせた。

俳優としての第一歩は2010年。テレビ朝日系ドラマ『熱海の捜査官』で、ミステリアスな美少年・四十万新也(しじま・しんや)役を演じ、鮮烈な印象を残した。当時はまだ、自身の進むべき道に確信を持っていたわけではない。しかし、カメラの前に立つたびに増していく「演じること」への好奇心が、後の爆発的な躍進への火種となった。

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映画『L・DK』の撮影現場より。山﨑賢人-2013年8月撮影(C)SANKEI

日本中を虜にした「伝説的な王子の系譜」

2010年代半ば、山﨑賢人の名は「実写化作品における絶対的エース」として全国に轟くことになる。その決定打となったのが、2014年公開の映画『L・DK』だ。劇中で披露した「壁ドン」は社会現象を巻き起こし、彼は一躍、若者のカリスマとなった。

その後も『ヒロイン失格』や『orange』、『オオカミ少女と黒王子』『四月は君の嘘』『一週間フレンズ。』『ジョジョの奇妙な冒険』『斉木楠雄のΨ難』といった漫画原作の実写化でも話題作に立て続けに出演。漫画の世界からそのまま抜け出してきたかのような完璧なビジュアルは、観客に「彼なら裏切らない」という絶対的な信頼感を植え付けた

だが、この時期の輝かしい成功は、彼にとってのゴールではなかった。絶頂期にあっても、彼は常に「自分にしかできない表現」への渇望を抱えていた。全盛期の最中にあっても、彼は静かに、そして着実に、次のステージへと向かう準備を始めていたのである。

泥にまみれ、肉体を改造した「覚醒の瞬間」

山﨑賢人の俳優人生において、最大の転換点となったのは2019年公開の映画『キングダム』だ。それまでの清潔感溢れるイメージを完全に捨て去り、戦災孤児の少年・信を演じるため、彼は過酷な肉体改造に踏み切った。

「飢えた野良犬」のような鋭さを出すため、徹底的な食事制限を行い、骨格が浮き出るほどに減量。それと並行して、数ヶ月に及ぶ壮絶な剣術トレーニングを積み、スタントなしの激しいアクションに身を投じた。砂埃にまみれ、叫び、泥を這うその姿に、かつての王子の面影はなかった。一振りの剣に命を懸けるその執念が、観客の魂を揺さぶり、作品を空前のヒットへと導いたのである。

さらに、Netflixシリーズ『今際の国のアリス』では、知略と肉体を駆使してデスゲームを生き抜く主人公を熱演。この作品が世界190カ国以上で配信され、彼の名は世界へと広まった。ストイックを極めた役作りが、日本映画のクオリティを世界基準へと押し上げたのだ。

死線を超えた先に見つけた「表現者の境地」

山﨑の凄みは、現場における「座長」としての立ち振る舞いにも現れている。共演者やスタッフは一様に、彼の現場主義と妥協のない姿勢を口にする。撮影がどれほど過酷を極めても、彼は決して弱音を吐かず、常に作品の中心で、誰よりも高い熱量を放ち続ける。

かつての「実写化王子」という呼称は、いつしか「彼にしかできない」というリスペクトへと変わった。どんなに困難な設定やアクションであっても、山﨑賢人ならば具現化できる。その確信は、トップクリエイターたちを惹きつけ、日本映画のスケールを更新し続ける原動力となっているのだ。

圧倒的な熱量で描き出す「新時代の英雄像」

2026年、その勢いは最高潮に達している。3月公開のシリーズ最新作、映画『ゴールデンカムイ 網走監獄襲撃編』で見せるパフォーマンスは、もはや円熟味さえ感じさせる。不死身の杉元という強烈なキャラクターを、説得力のある肉体と、瞳の奥に宿る執念で表現。極寒の地での過酷なロケ、網走監獄という閉鎖空間で繰り広げられる限界を超えたアクションは、彼が積み上げてきた研鑽の集大成と言える。

さらに2026年4月、日本中を驚かせるビッグニュースが舞い込んだ。2028年放送予定のNHK大河ドラマ『ジョン万』にて、主人公の“ジョン万次郎”こと中濱万次郎役を務めることが発表されたのだ。大河ドラマへの出演自体が初にして、初主演という異例の大抜擢。激動の時代を生き抜き、日米の架け橋となった漂流者の物語は、常に未知の領域へ挑戦を続けてきた山﨑賢人の歩みそのものと重なる。

甘い誘惑を振り切り、あえて困難な「修羅の道」を選んできた男は、今や日本を代表する表現者として、誰にも到達できない高みへと足を踏み出そうとしている。


※記事は執筆時点の情報です

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