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エリザベス女王生誕100周年イベントレポート。300点のドレス展示から記念碑まで

  • 2026.4.24
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2026年4月21日、エリザベス女王が生誕100周年を迎えた。英国史上最長となる70年の在位期間を誇り、2022年9月8日に96歳で崩御した女王は、今もなお世界中で愛され続ける存在である。この歴史的な節目を称えるため、ロイヤルファミリーが集結したレセプションを筆頭に、女王のスタイルを紐解く過去最大規模の回顧展などさまざまなイベントが実施された。今回はそれらプロジェクトの全容を振り返っていく。

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初公開アイテムも多数。女王のスタイルを辿る過去最大のファッション展を視察

一連の祝典の先駆けとなったのは、女王の誕生日前日にあたる4月20日(現地時間)、バッキンガム宮殿の「ザ・キングズ・ギャラリー」で開催されている展覧会『エリザベス2世:スタイルで綴る生涯(Queen Elizabeth II: Her Life in Style)』の視察である。チャールズ国王とカミラ王妃は、一般公開を翌日に控えた会場を訪問。この視察には、女王の妹マーガレット王女の娘であり、姪のレディ・サラ・チャットも同行した。

本展は、女王のファッションをテーマとした過去最大規模の展覧会である。女王のワードローブから厳選された300点以上のアイテムが展示されており、そのうち半数以上が今回初めて一般公開されるという、極めて貴重な機会となった。

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展示の目玉は、1947年11月20日にウェストミンスター寺院で行われたフィリップ殿下との結婚式で着用された、精緻な刺繍が施されたウェディングドレスである。また、1953年の戴冠式で用いられた歴史的なガウンも展示されている。

さらに、女王のスタイルに欠かせない数多くのスタイリッシュな帽子や、めったに見ることのできない貴重なティアラのコレクションなど、公務とプライベートの両面で彼女の歩みを支えたアーカイブを網羅。女王の100年にわたる生涯と、時代ごとに変化しながらも揺るがなかったファッション美学を紐解くこの展示は、華やかで見応えのある内容となっている。会期は10月18日まで。

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チャールズ国王が録画スピーチ。母から受け継ぐ奉仕の精神を表明

エリザベス女王の生誕100周年の当日となる4月21日0時(現地時間)、バッキンガム宮殿は公式SNSを通じて、チャールズ国王による3分間の録画メッセージを公開した。撮影が行われたのは今月初め、エリザベス女王が2022年9月8日に96歳で息を引き取った場所であり、彼女が生涯深く愛したスコットランドの邸宅、バルモラル城の図書館である。

映像の中で国王の背後には、自ら選んだという女王の歩みを物語る3枚の写真が大切に飾られていた。そこには、あどけない表情を浮かべる幼少期の肖像写真も含まれており、母の生涯を慈しむ国王の心情を映し出している。

スピーチの中で国王は、女王の献身的な歩みを次のような言葉で称えた。「彼女の100年近い生涯は、目覚ましい変化の時代でしたが、過ぎゆく10年、あらゆる変革を通して、彼女は常に変わらず、揺るぎなく、そして奉仕する人々に全身全霊を捧げ続けました」。

続けて、女王が生きていれば「今の時代」が抱える困難に対し、深く「心を痛めている」かもしれないと言及。国王は具体的にどの問題について語っているのか明言を避けたが、英国国内の情勢や海外における山積した課題を念頭に置いていたと考えられている。しかし同時に、「善は必ず勝利し、明るい夜明けはすぐそこにある」という女王が生前抱き続けていた信念に強く賛同し、その精神が現代にも受け継がれていることを強調した。

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さらに国王は、女王がわずか14歳の時に初めて行った歴史的な国民向け放送での発言を引用。「私たち一人ひとりが、明日の世界をより良く、より幸せな場所にするために、それぞれの役割を果たすことができる」。この言葉とともに、国王は人々への思いやりを忘れず、より良い社会を築くために尽力するという自身の決意を改めて示した。

自らの奉仕の誓いを新たにした国王は、最後にエリザベス女王へ向けた個人的なメッセージを送り、スピーチを締めくくった。「愛するママに、神の祝福を。あなたは永遠に、私たちの心と祈りの中にあり続けます」。

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エリザベス女王記念碑の模型を大英博物館で視察

4月21日(現地時間)の午前、チャールズ国王&カミラ王妃らは、大英博物館を訪問。その目的は、ロンドンのセント・ジェームズ・パークに建立予定の「エリザベス2世記念碑」の縮尺模型や、デザインのイメージを盛り込んだ短編映像を視察することにあった。

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出席したのは、国王夫妻をはじめ、エドワード王子とソフィー妃(写真)、エリザベス女王の従妹レディ・サラ・チャット、同じく女王の従弟グロスター公爵リチャード王子とブリジット公爵夫人ら王室メンバー。他にも、キア・スターマー英首相や女王の元秘書官を長年務めたジャンヴリン卿、記念碑の設計者であるノーマン・フォスター卿も名を連ねた。国王らは、制作を担うマーティン・ジェニングスら3人のアーティストから直接説明を受け、作品への理解を深めた。

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記念碑の舞台となるのは、バッキンガム宮殿にほど近い、女王が愛したセント・ジェームズ・パークの中心部。設計案では、女王とフィリップ殿下の像が建立されるとともに(この写真では、国王夫妻が女王の像の模型を確認している)、園内の人工湖には新たな橋を架ける計画が進められているという。

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このプロジェクトにおいて注目なのが、この橋のデザインだ。これは、女王が結婚式で着用した「クイーン・メアリー・フリンジ・ティアラ」から着想を得ているのだとか。ダイヤモンドが連なるティアラの輝きを再現するため、橋の手すりには光を反射する半透明のガラスが用いられる予定だとか。模型を視察したチャールズ国王は、「母が結婚式で身につけていたティアラを橋のモチーフにするのは、実に素晴らしいアイデアだ」と絶賛していたという。

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アン王女、リージェンツ・パークに誕生した「エリザベス女王庭園」の開園式に出席

同日の午後、アン王女はロンドンのリージェンツ・パークを訪れ、女王を讃えて造られた「エリザベス女王庭園(The Queen Elizabeth II Garden)」の開園式に臨んだ。この場所はかつて一般公開されていなかったパーク内の植物苗圃(苗を育てる場所)だった約2エーカーの敷地を、女王の生誕100周年を記念して庭園へと生まれ変わった。

園内は、女王が生涯を通じて関心を寄せていた「生物多様性の保護」がテーマ。女王が好んだバラや多年生植物をはじめ、将来の気候変動にも耐えうるような多様な樹木が植えられている。樹種が配置されている。

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庭園の中央を貫くプロムナード(遊歩道)は、女王の70年にわたる揺るぎない献身をイメージしたもの。その先には、心静かに過ごせる瞑想スペースや、穏やかな水をたたえた円形の池、そして休息のためのパーゴラ(つる棚)などが作られている。

アン王女は、庭園の設計チームや造園家、地元のボランティアらと親しく言葉を交わし、式典の最後には記念の銘板の除幕を行い、母の思い出が詰まった新たな憩いの場の誕生を祝った。この庭園の一般公開は、4月27日からとなる。

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祝典を締めくくる、バッキンガム宮殿でのレセプション

記念すべき1日のフィナーレとして、バッキンガム宮殿のステート・ルームでは国王夫妻主催の祝賀レセプションが催された。出席したのはウィリアム皇太子&キャサリン皇太子妃、アン王女、エドワード王子&ソフィー妃ら主要メンバー。さらに女王の従弟であるグロスター公爵リチャード王子&ブリジット夫人、同じくいとこのケント公爵エドワード王子、アレクサンドラ王女も顔を揃えた。公務を担う現役メンバーが揃って公式ポートレートを撮影したのは、2023年5月のチャールズ国王の戴冠式以来となる。

会場には、英国がん研究基金、英国赤十字社など、女王が長年支援していた数多くの団体の代表者が招待された。また、女王と同じく2026年に100歳を迎えた市民たちも招かれた。

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とりわけ注目を集めたのが、キャサリン皇太子妃の装いである。美しいライラック色のドレスを選んだ妃は、エリザベス女王への敬意を表したジュエリーを纏って登場した。タトラー誌によると、この日身につけていた3連のパールのネックレスは、かつて女王が所有していたもので、女王が生前最後に撮影された公式肖像写真でも着用していた象徴的なアイテムだという。そして耳元には、女王から受け継いだダイヤモンドとパールのドロップ・イヤリングを選び、細部に至るまで亡き女王へのオマージュを散りばめていた。

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レセプション会場では、ロイヤルファミリーと招待客との間で数々の心温まる交流が見られた。

キャサリン皇太子妃は会場で、妻を亡くしたばかりだという88歳のトニー・グレドヒル氏と感動的なひとときを分かち合った。妃はグレドヒル氏と腕を組み、彼をハグしてその話に耳を傾けた。彼はキャサリン妃に、妻が亡くなる前にこのパーティーへの出席を強く勧めていたことを明かしたという。

また、100歳のを迎えたジョン・ジャーボイス氏(写真)をはじめとする招待客を握手で迎えた。

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一方ウィリアム皇太子は、100歳のジョーン・イリングワース氏とユーモラスな会話を交わした。皇太子は彼女の若々しさに「あなたが100歳だなんて信じられない! 警備員を呼んだ方がいいかな?」と冗談を言い、彼女から若さの秘訣は「クロテッドクリームファッジとリコリスオールソーツを食べること」だと聞き出したという。

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会場では、金色の「100」で飾られたバースデーケーキが振る舞われ、楽団が「ハッピーバースデー」の曲を演奏する中、チャールズ国王とカミラ王妃はゲスト一人ひとりに100歳の誕生日カードを手渡した。

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英国文化を彩る記念アイテムと特別プロジェクト

式典以外にも、女王の100周年を記念する多様なプロジェクトが展開された。ロイヤルメールからは、女王の歩みを象徴する写真や愛犬コーギーをテーマにした記念切手が発売され、王立造幣局からは50ペンスおよび5ポンドの記念硬貨が発行された。

また、女王が愛したバーバリーからは、限定デザインのトレンチコートやシルクスカーフが発表され、ロイヤル・コレクション・トラストからは24金を使用した記念陶磁器が登場。女王の生誕100周年を祝うこれら一連のプロジェクトは、彼女が築き上げた偉大な歴史を振り返るだけでなく、その気高く温かな精神が、今もなお王室や人々の心の中に輝き続けていることを改めて深く実感させるものとなった。

写真は、レセプションで展示されたエリザベス女王のショット。

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