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後輩に気づかれたあの日、リサイクルショップで手放していたのは服だけじゃなかった

  • 2026.4.26
ハウコレ

「おしゃれな先輩」として見られることが、いつの間にか私を追い詰めていました。あの金曜の夜、後輩と目が合うまでは。

見た目も仕事のうち

入社1年目の終わり、当時の上司に言われた一言が今も耳に残っています。

「見た目も仕事のうちだよ」

取引先との会食に、私だけ声がかかりませんでした。理由を聞くと、上司は私の服装にちらっと目をやってこう続けたのです。

「その格好じゃ、連れて行けない」

悔しくて、翌月からカードで服を買い始めました。最初は月に1着。それが半年後には毎週新しい服を着て出社するようになっていました。

止められない言葉

数年が経ち、私は社内で「おしゃれな人」と呼ばれるようになっていました。でも実態は、買っては売り、売っては買うの繰り返しです。リサイクルショップの常連になり、カードの支払いは膨らむ一方でした。

そんなある日、2年目の後輩の服装が気になり始めました。地味な色ばかりの、飾り気のない格好。かつての自分と重なって、つい口をついた言葉が「もっとオシャレしなよ」でした。「その服、先週も着てなかった?」「第一印象で損してるよ」

自分が言われて傷ついた言葉を、私は気づかないうちに繰り返していたのです。

目が合った金曜の夜

いつものように金曜の夜、駅前のリサイクルショップへ買い取りに行きました。先週のクライアント会議で着たジャケット、今月もう着ないブラウス、季節外れになったスカート。紙袋いっぱいの服をカウンターに並べていたとき、背中に視線を感じました。

振り返ると、後輩が立っていました。後輩の表情に浮かんでいたのは、軽蔑でも同情でもなく、ただ戸惑いでした。

そして...

翌週の月曜日、後輩に何と声をかければいいのかわかりませんでした。「もっとオシャレしなよ」なんて、もう口にできるはずがありません。毎週違う服を着ていた私。そのからくりを知られた今、後輩の目に私はどう映っているのでしょうか。

本当は、あの子に自分と同じ道を歩んでほしくなかったのかもしれません。でもそう思う私自身が、その道のまん中にいるのです。

帰り際、後輩が小さく会釈をしてくれました。その何気ないしぐさが、見栄で固めた胸の奥にじわりと沁みました。あの言葉も、もうここに置いていこうと思います。

(20代女性・広告代理店)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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