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“見せる収蔵庫”も! ヴィクトリア&アルバート博物館が新拠点で描く“現在進行形”のミュージアム

  • 2026.4.28

英国を代表する美の殿堂、ヴィクトリア&アルバート博物館(V&A)。その新たな拠点となる「V&A イースト・ミュージアム」が2026年4月18日、イースト・ロンドンに誕生。先行して公開された「ストアハウス」とともに、完成された芸術だけでなく創作の背景やプロセスそのものを開放する。伝統ある国立博物館が自らをアップデートし、次世代へひらく挑戦の幕開けだ。

“見せる収蔵庫”「V&A イースト・ストアハウス」内部の風景。 photo: © HUFTON+CROW

ロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館は「V&A」の愛称で広く知られ、1852年の創設以来、装飾芸術やデザイン、ファッション、舞台芸術など応用芸術を軸に社会と創造性の関係を問い続けてきた。王侯貴族のコレクションから大衆文化までを隔てなく扱うまなざしは、創造を完成品ではなく、社会のなかで続いていく営みとして捉えるV&Aの考え方をよく表している。

そのV&Aが2026年4月18日、水辺の開放感あふれるロンドン東部ストラトフォードのクイーン・エリザベス・オリンピック・パーク内に、新たにもう一つの拠点となる「V&A イースト・ミュージアム」を構えた。

2021年12月、「V&A イースト・ミュージアム」の建設が最上部まで到達した際の写真。 photo: © VICTORIA AND ALBERT MUSEUM

建設の背景にあるのは、2012年ロンドン五輪後の東ロンドンの再開発。地域コミュニティや若い世代と直接結びつくことで、ミュージアムの公共性をより拡張していくことが狙いだ。メインの常設ギャラリーに掲げられたテーマ「Why We Make」は、創造の動機や過程を現在進行形で捉えようとする意図に基づいている。

この思想を体験として支えるのが、2025年にひと足早くオープンした、隣接する「V&A イースト・ストアハウス」。収蔵・研究・修復といった現場を来館者に開く公開型の収蔵施設で、ファッションから演劇、ストリートウエア、彫刻、デザインまで、V&Aが誇る至宝から移設された50万点超のコレクションに囲まれ、博物館の活動そのものに没入できる。完成された展示ではなく、判断や試行錯誤の積み重ねを含めて共有する点に、本プロジェクトの特徴が表れているだろう。

以下5点の写真は「V&A イースト・ストアハウス」に収蔵・公開されている作品群。古今東西さまざまなジャンルのコレクションを持つことがわかる。 photo: David Parry for V&A
photo: Jamie Stoker
photo: Vicky Grout
photo: Niall Hodson
photo: Shahram Saadat

「V&A イースト・ミュージアム」の折り紙のように複雑な造形の建築を手がけたのは、アイルランドを拠点とする建築ユニット、O’Donnell + Tuomey(オドネル&トゥオメイ) だ。倉庫のようなスケール感を生かし、展示もパフォーマンスも学習の空間も緩やかにつながる構成によって、人々が集い、滞在し、思考する余白を生み出している。

photo: Peter Kelleher © Victoria & Albert Museum, London
「V&A イースト・ミュージアム」の外観。 photo: © NIALL HODSON

ここは、国立のミュージアムであるV&Aがその権威や制度を含めて自らを見つめ直し、クリエイティビティの現在地に向き合おうとする場。歴史を背負う機関が変化を引き受けること自体がその試みの意義を物語っている。

From Harper's BAZAAR art no.5

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