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石井ふく子さん生誕百年記念舞台に出演する【高島礼子さん】「お元気な石井先生の前では60歳なんてまだ子どもです」

  • 2026.4.23

石井ふく子さん生誕百年記念舞台に出演する【高島礼子さん】「お元気な石井先生の前では60歳なんてまだ子どもです」

最近は、バラエティ番組やクイズ番組、雑誌での対談連載など新たなジャンルにも意欲的に挑戦している俳優の高島礼子さん。実は本格的に舞台の仕事を始めたのも50歳を過ぎてから。演出家の石井ふく子さんとの出会いが大きかったと言います。このたび5月に、その石井さんの生誕百年を記念する作品『明日の幸福』に出演。舞台にかける思い、ヴィヴィッドに日々を楽しむプライベートライフについても聞きました。

三世代で楽しんでもらいたい舞台

50歳になる頃に舞台『女たちの忠臣蔵』出演してから、高島さんはこれまで、『春日局』『女の家』など、多くの石井ふく子演出作品に参加してきた。昨年は、石井さんの白寿を記念した公演『かたき同志』に藤山直美さんとダブル主演。そして今回はまた、石井さん生誕百年を記念する公演『明日の幸福』に出演が決まった。今も演出家として現役を貫く石井さんのバイタリティにも驚くが、そのベテランの石井さんに、これだけ厚い信頼を寄せられる高島さんもすごい。今回の公演は、2019年以来7年ぶりの新派と松竹新喜劇の合同喜劇公演。松竹新喜劇の『お種と仙太郎』と新派の『明日の幸福』の2本立てで上演される。

「2年連続呼んでいただくのは初めてなので、うれしいです。しかも去年の白寿の記念公演と、今回の生誕百年の記念公演、おめでたい公演に2回も出演させていただけて、とても光栄に思っています。先生には以前『私、もう50歳なので』とつい言ってしまったときに、『あなたはまだ、“これから”50歳を迎えるんでしょう?』と言っていただいて背筋がシャキッと伸びたことがありました。これだけお元気に頑張っていらっしゃる先生の前では60歳なんてまだ子どもですから、おこがましいことを申しました、という心持ちになりますよね」

『明日の幸福』は、初演が1954(昭和29)年。描かれるのは、これから高度経済成長期に入っていこうとする、まだそれほど核家族化も進んでいない、ある意味、古きよき「昭和」の時代だ。「古きよき」の一方では、一家の「家長」が絶大な権力を誇るという前時代的な慣習も厳然とあり、三世代が同居して、いわゆる嫁姑問題もある。高島さんは、家長として絶対権力を握る政界の大物である舅とその妻である姑に仕えつつ、家庭裁判所所長の夫の妻として、また新婚の息子夫婦の母として、姑として、一家を切り盛りしていかなければならない松崎恵子という女性を演じる。ある世代には懐かしいかつての家族像、人間関係が、この令和の時代にどんなふうに描かれ、またどんな風に受け止められるのだろう。

「昭和のよき時代を知っている方々には、ものすごく懐かしくて楽しいお話だと思うんですが、若い人たちにとっても、新鮮で笑えることがたくさん出てくるんだと思うんです。まず三世代で一つ屋根の下に暮らしているということ自体、若い世代には珍しいですよね。ちょっとしたお部屋の家具や置かれているもの、たとえば黒電話なども、今の人にとっては『あれ、何?』の世界のはず。だからこそ、三世代で観に来ていただけたら嬉しいなと思います。何より、その後の会話がきっと盛り上がるはずです。『おばあちゃん、あれは何?』などと会話が弾む姿が目に浮かぶようです」

一歩外に出れば何かしら待っている

自身のことも、かつては典型的な「昭和女」だったと振り返る。

「こう見えて意外に古風なところがあって、結婚していたときは、女たる者、嫁たる者は家をちゃんと守って……という少し古風な考えを持っていたんです。そうした経験も今となっては財産ですね(笑)。一度は嫁という立場を経験したことが、今回の恵子役をやるにあたっては生かせるのではないかと思っています。今、こうしたホームドラマはなかなかございませんし、私自身も初めての挑戦なのですが、いざ台本を読んでみると、『昭和女』の私は恵子さんにぴったりなのではないかと思うところがいろいろあります(笑)。その一方で、自分で言うのも何ですが、若い世代のお友達も最近は多いので、今の人たちへの理解力もなくはないと自負しているんです。ですから、各世代に響くような笑いをお届けできたら嬉しいなと楽しみにしています」

そんな「昭和女」だった高島さんは、結婚していた20年間、ほぼ「家」と「仕事場」だけしか知らない毎日だったと言う。だから、再び一人になったときに愕然とした。

「52歳で離婚して一人になったときに、『ちょっと待って。私こんなにお友達いないの? これからどうしようかな』と考え込んでしまったんです。これは自分から扉を叩いていかないと先に行けないなと思いました」

そこから高島さんの挑戦と試行錯誤の日々が始まる。最初はどこに行くのも車を運転して、目的地に駐車場がないと出かける気にもなれなかった。しかし、一人で行動できるようにならなくてはいけない、その基本はまず公共交通機関を利用してこそだと考えると、交通系ICカードを初めて買って、電車や地下鉄やバスに乗ってみた。最初は改札機にカードをタッチするのもドキドキだったが、一度やってみたら、どんどん行動範囲が広がってきて楽しくなってきた。

「今は、行った先のことをあれこれ心配する前に、とりあえず外出しようと思うようになりました。とりあえず一歩外に出れば、何かしら待っているということがわかったからですね。5年前の自分からは考えられない進歩ですね(笑)」

高島さんの、少し遅れてきた「自立」と「青春」は、今、まさに花盛り。SNSにアップされる写真からは充実した毎日が伝わってきて、何だかこちらまで勇気づけられる。古きよき昭和をどこかに恥じらいとともに持ちつつ、令和の時代も恐れずに旺盛な好奇心とともに闊歩していく。ますます魅力的に輝くその姿を、まずは5月の舞台で楽しみたい。

プロフィール
高島礼子さん 俳優

たかしま・れいこ●1964年神奈川県生まれ。
88年に「暴れん坊将軍Ⅲ」で女優デビュー。以後、映画、テレビ、舞台、CM、バラエティ、情報番組など各分野で活躍。代表作に映画『極道の妻たちシリーズ』『陽炎2・3・4』 などがある。
映画『長崎ぶらぶら節』で第24回日本アカデミー賞優秀助演女優賞を受賞。
Instagramにて日々の記録を更新中。

【Information】新派・松竹新喜劇 合同喜劇公演『明日の幸福』

7年ぶりに実現した新派と松竹新喜劇の合同公演。松竹新喜劇の『お種と仙太朗』と2本立てで上演される新派の公演が、1954(昭和29)年の初演以来、何度も再演を重ねている喜劇作品『明日の幸福』だ。今回は演出に石井ふく子を迎え、石井の生誕百年記念公演として上演される。舞台は昭和30年頃の松崎家。家庭裁判所所長の松崎寿敏(三田村邦彦)は、嫁姑問題が絡む離婚調停に奔走していた。そんな松崎家は、政界の大物である寿敏の父・寿一郎(渋谷天外)が絶対権力を握る大家族。妻の淑子(水谷八重子)、寿敏の嫁の恵子(高島礼子)、孫の寿雄(丹羽貞仁)と新妻の富美子(春本由香)は、家長の顔色を窺う毎日。ある日、寿一郎の入閣の御礼に贈るはずの大切な「馬のハニワ」を恵子が誤って破損してしまう。慌てて隠すが、富美子も同じハニワを落として愕然。必死の隠蔽工作が始まるが、発覚したときに名乗り出た真犯人とは? 三世代の関係の中に「家族の幸福」とは何かを問いかける、爆笑と感動の傑作ホームドラマの金字塔。

作/中野 實 演出/石井ふく子
出演/水谷八重子、渋谷天外、久本雅美、田口守、瀬戸摩純、喜多村一朗、丹羽貞仁、春本由香、三田村邦彦、高島礼子
【日程】2026年5月9日(土)~19日(火)新橋演舞場
1等席1万3500円、2等席8500円、3階A席5000円、3階B席3500円、桟敷席1万4500円
チケットホン松竹☎0570-000-489または03-6745-0888(10:00~17:00)
チケットWeb松竹 https:www1.ticket-web-shochiku.com/t/

撮影/園田昭彦
ヘア&メイク/佐々木大輔(TRINE)
スタイリング/村井 緑
衣装/ワイズ
アクセサリー/アビステ

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