1. トップ
  2. ヘルスケア
  3. 医師「異常が静かに現れてきます」→実は『パーキンソン病』の前兆かも…見た目では気づかれにくい“意外な変化”とは?

医師「異常が静かに現れてきます」→実は『パーキンソン病』の前兆かも…見た目では気づかれにくい“意外な変化”とは?

  • 2026.6.23
undefined
出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「最近、歩き方がおかしい気がする」「手が少し震えている」
そんな親や家族の姿を目にして、不安を感じたことはありませんか。あるいは、ご自身が「なんとなく体が動きにくい」と感じているかもしれません。

パーキンソン病は、早期に気づくことができれば、薬やリハビリで長く自立した生活を続けられる病気です。にもかかわらず、「歳のせいだから」と受診を先延ばしにしてしまうケースが少なくありません。

今回は、見落としがちな初期のサインから、早期発見のメリット、そして家族ができるサポートまでを、専門家の見解をもとに詳しく解説します。

「歳のせい」で片づけてはいけない——パーキンソン病、最初のサインとは?

---パーキンソン病の初期症状として、どのような変化に気づくべきでしょうか?年齢による衰えとの見分け方も含めて教えてください。

松岡雄治さん:

「パーキンソン病では、便秘や寝言といった不調が現れ、その後、手足の震えや転びやすさといった運動の異常が静かに現れてきます。『最近動きが鈍くなったかな』という違和感を大切にするのがポイントです。年をとったから仕方ない、と思い込み、受診を先延ばしにしてしまうのはよくあることですが、早期治療による機能維持の機会を逃してしまうリスクがあります。

その症状は、『体をスムーズに動かしたり、姿勢を調整したりするための物質』を作る細胞が、静かに減少し始めているサインかもしれません。日本神経学会のガイドラインでも、運動の異常が出る前からさまざまな不調をきたすことが示されています。

見落としてはならない初期のサインとして、まず非運動症状があります。これらは数年前からの前兆として現れるもので、便秘、においが分からない、寝ている間に大声を出して暴れる、気分の落ち込みなどが先行します。続いて現れる運動症状(パーキンソニズム)としては、安静時に片手が震える、服のボタンがかけにくい、筋肉がこわばる、そして転びやすくなる(姿勢保持障害)といったものが挙げられます。

歳のせいだと自己判断せず、小さな異変を受診のきっかけとして大切にすることが、健康な日常を守る第一歩となります。」

「治らない病気」と諦める前に——早期治療が生活の質を大きく変える

---パーキンソン病は治らないというイメージがあります。それでも、早期に発見・治療することに意味はあるのでしょうか?

松岡雄治さん:

「パーキンソン病は治らないというイメージが強い病気かもしれません。しかし、早期に治療を始めれば、薬とリハビリで機能を維持し、寝たきりや誤嚥性肺炎といった命に関わる事態を大きく遅らせることが期待できます。

治療の介入タイミングが早いことで、これまで通りの生活を続けられる可能性が高まるのです。『難病と診断されるのが怖くて、病院に行きたくない』。そうやって病気から目を背けたくなるお気持ちは痛いほどよくわかります。ただし、放置すると少しずつ進行し、転倒による骨折や、誤嚥(ごえん)などの二次的な合併症を招くリスクが高まります。

早期発見がもたらす生活の質(QOL)の違いとして、まず運動機能の維持が挙げられます。歩行訓練などのリハビリを早期から取り入れることで、転倒を防ぎ、長く自立した生活を保つことができます。次に、適切な薬の選択という点では、発病年齢に合わせて薬の種類を最適化し、体が勝手に動く『ジスキネジア』等の副作用リスクを抑えられます。一方、発見が遅れた場合には、関節が固まって動けなくなるリスクが高まるほか、進行してから強い薬を使うことで副作用のコントロールが難しくなります。

パーキンソン病は、適切な治療により発症後も長く穏やかな生活が期待できる病気です。医療の力で、ご自身の豊かな日常を守りましょう。」

家族にできることがある——受診をスムーズに促す3つのステップ

---家族がパーキンソン病を疑っているとき、本人を傷つけずに受診へ導くにはどうすればよいでしょうか?

松岡雄治さん:

病名を決めつけず、『最近疲れやすいみたいだから、関節ではなく神経の専門家に診てもらおう』と付き添いを提案してください。

『もしかしてパーキンソン病じゃないの?』と指摘され、本人がショックを受けて心を閉ざしてしまうのはごく自然な反応です。受診に前向きになれない可能性もあります。しかし、パーキンソン病であれば、ためらっている間にも症状は進行してしまいます。本人の不安を和らげて、受診を促しましょう。

受診をスムーズに促す3つのステップとして、まず病名を伏せて寄り添うことが大切です。『歩きにくそうで心配だから、脳神経の健康診断に行ってみない?』と、あくまで健康維持を目的として声をかけます。

次に、適切な診療科を選ぶこと。手の震えや歩行障害を関節の痛みと勘違いしないよう、『筋肉や神経の専門家である神経内科に行こう』と導きます。

そして、家族が同席して伝えること。本人が自覚しにくい『寝言』や『便秘』といった重要な前兆を、家族がメモして医師に直接渡すことが有効です。

また、『心配しすぎかもしれない』『受診するほどではないかも』と迷う場合でも、まずは一度受診してみることをお勧めします。専門医に診てもらい、『問題ない』と分かること自体が大きな安心に繋がるからです。不安を取り除き、これからの人生を笑顔で歩み続けるために、ぜひお気軽に医療を活用してください。」

小さな異変が、未来の生活を守る第一歩になる

取材を通じてわかったのは、パーキンソン病は「気づきの病気」だということです。便秘や寝言といった一見無関係に思える変化が、実は体からの大切なシグナルである可能性があります。

「歳のせいだから仕方ない」という思い込みを手放し、小さな異変を受診のきっかけにすること。

それだけで、その後の生活の質は大きく変わります。早期に治療を始めれば、自立した日々を長く維持できる可能性が高まります。ご本人はもちろん、家族も一緒に「気づく目」を持ち、必要であれば神経内科への受診を検討してみてください。心配しすぎだったとわかれば、それはそれで大きな安心につながるはずです。


監修者:松岡雄治
麻酔科専門医。総合病院、大学病院、小児専門医療機関での勤務を通じ、幅広い周術期管理に従事。現在は急性期病院で麻酔科医として勤務する。日々、美容領域を含む各診療科の手術に携わっている。医師としての知識と経験を活かして医療系ライターとしても活動し、医療・健康・美容分野の記事執筆、医学論文の解説、商品監修、AI技術開発関連プロジェクトへの参加などの実績を有する。睡眠コンサルタント、睡眠検定1級の資格も保有。

の記事をもっとみる