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奥歯に強い痛みが。「落ち着いたら歯医者に行こう」と思っていたが…数週間後、40代男性を襲った“予想外の異変”【歯科医師は見た】

  • 2026.6.22
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。歯科医師として、歯のトラブルが思わぬ方向に進んでしまうケースに日々向き合っている鷹巣多紀です。

歯の痛みがいつの間にか和らいだ経験はありませんか。「自然に治ったのかもしれない」と考えて、そのままにしてしまう方もいるかと思います。

今回は、痛みが弱まったことで受診を先延ばしにした40代の方の身に起きたことを紹介します。

痛みが消えても原因が残ることがある

虫歯が深くなると、歯の内部にある神経や血管を含む「歯髄(しずい)」に細菌が入り込む場合があります。

やがて歯髄が壊死(えし)すると痛みを感じる機能が失われ、一時的に痛みが消えることもあるでしょう。

ところが、この段階でも感染は歯の根の先へと広がり続けている場合があります。

痛みが弱まり受診を先延ばしにしたEさん

40代の男性Eさんは、ある時期から奥歯に強い痛みを感じていました。仕事が忙しく、「少し落ち着いたら歯医者に行こう」と思いながら数日が過ぎました。その後、痛みはほとんど気にならなくなったそうです。「自然に治ったんだと思ってそのままにしました」とEさんは言います。

数週間後、顎の下の辺りがだんだん腫れてきました。口が開きにくく、食べ物を飲み込むのも痛い状態になりました。発熱も続いたため救急外来を受診したところ、歯への細菌感染が顎の周囲の組織に広がっている状態と説明を受けたそうです。

入院して処置を受けることになり、Eさんは「痛みが消えた時点で受診していれば、ここまで悪くならなかったかもしれない」と振り返っています。

歯の感染が顎の下まで広がる理由

虫歯が進んで歯の根の先に炎症が起きる状態を「根尖性歯周炎(こんせんせいししゅうえん)」といいます。さらに感染が顎や首の周囲の柔らかい組織に広がると、「蜂窩織炎(ほうかしきえん)」と呼ばれる状態になることがあります。蜂窩織炎は、気道を圧迫して呼吸に影響したり、首や胸の方向へ広がったりするリスクがあり、速やかな対応が必要な状態です。

痛みが消えた段階でも感染は徐々に進んでいる可能性があります。「痛くなくなった=治った」とは限らないことを知っておくことが大切です。

腫れや発熱があるときに見たいサイン

次のような状況は、早めに歯医者や救急外来に相談することを検討してください。

  • 歯の痛みが急に消えた(特に虫歯があると言われたことがある場合)
  • 顎の下や首の周囲が腫れてきた
  • 口が開きにくい、飲み込みにくい
  • 発熱が続いている

痛みがなくても虫歯は進行することがあります。腫れ・発熱・開口困難が重なる場合は、歯医者だけでなく救急外来への相談も検討してください。

まとめ:痛みが消えても「様子見」にすると、判断のタイミングが遅れることがある

歯の痛みが突然楽になることは、感染が落ち着いたサインではなく、神経への障害が進んだ結果である場合があります。

「消えた痛み」を放置することなく、歯医者で状態を確認することが重要です。腫れや発熱、口の開きにくさが出てきたときは、速やかに医療機関に連絡してください。


参考:

歯の治療の流れ(e-ヘルスネット、厚生労働省)
歯内療法とは(日本歯内療法学会)
歯内療法に関するQ&A(日本歯内療法学会)
炎症(日本口腔外科学会)

執筆・監修:鷹巣 多紀

大学病院口腔外科にて研修後、一般歯科にて勤務。現在は1児の母として子育てと仕事に奮闘しています。
歯科医師ママkiki|note:https://share.google/uUYsDiSMnkNKZCrOw

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