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「気をつけて」は逆効果?高齢の親にかける言葉の正解|小林弘幸先生に学ぶ自律神経ケア

  • 2026.4.11

「気をつけて」は逆効果?高齢の親にかける言葉の正解|小林弘幸先生に学ぶ自律神経ケア

コミュニケーションのカギになるのは「自律神経」。心と自律神経がととのって人生が幸せになります。感情を出しやすい身近な人や場所では、ちょっとしたふるまいで相手を傷つけていることも。家庭や生活の場面での話し方・伝え方、やさしいコミュニケーションを、自律神経の名医 小林弘幸先生に伺いました。

自分に非があるときは、いさぎよく心を込めて謝る

NG
×「ごめん。やろうと思ったんだけどバタバタとしていて……」

NICE
◎「(いさぎよく)ごめんなさい」

●言い訳は信頼感を失うだけ
●スパッと謝って許してもらえれば、その後のパフォーマンスはアップする

明らかに自分に非がある失敗をしてしまったときは、余計な言い訳は禁物です。いさぎよく、心から謝罪しましょう。

自分の非の根底には、準備不足や怠慢が見え隠れします。たとえば考えの甘さや確認の不十分さ、寝坊による遅刻などです。

「やろうと思っていたんだけど、別件でバタバタしていて……」など、あれこれと言い訳を並べるのは、信頼感をなくすだけです。

ここで挽回しなくてはと、あるいは責任回避しようと、あれこれとウソを並べると、その罪悪感でストレスが増大し、自律神経のバランスが乱れてしまいます。その後の関係に影響することにもなりかねません。

とにかく自分の失敗をすべて認めて、ただひと言「ごめんなさい」と深く深く、頭を下げましょう。反省と謝罪の姿勢に合点がいけば、そこがこの問題のゴールになります。

ほとんどの人は「次は気をつけて」と、それ以上は責めることはしないでしょう。

年老いた親・きょうだいには、見た目や注意の言葉は避ける

NG
×「気をつけなきゃダメだよ」

NICE
◎「顔が見られて安心したよ」

●体調をくずしている人の見た目や状態にふれることは避ける
●注意ではなく安心できる言葉を選ぶ

人生100年時代といわれて久しいですが、頭も体も健康なまま年を重ねるのは、なかなかむずかしいものです。そして高齢の親きょうだいの面倒を見ている介護者も増えています。

心身の不調を抱えていたり療養中だったりと、健康状態に問題のある人への声かけは身内といえども、なかなか気を使います。

まず体調をくずしている人に対して、見た目にふれることは避けましょう。

「顔色が悪いよ」「やつれたんじゃない?」などと言われると、一気に気落ちして自律神経も大きく乱れてしまいます。健康でないことは心にも大きな負荷になっているので、悪気はなくても相手を傷つけてしまうことになります。

また「一日も早く」という言葉は、回復したいのに思うようにいかない人にとっては、余計なあせりを抱かせてしまいます。

かける言葉は「ゆっくり休んでね」など、心身が弱っている人が、安心できるような言葉を選びましょう。

関係回復が期待できない相手は、あいさつだけでやり過ごす

NG
×無言

NICE
◎「(できるだけにこやかに)こんにちは~」

●人間関係の悩みはストレスの大敵。残念な人と位置づけて冷静さをとり戻す
●元気なあいさつで自律神経を整える

身内やご近所、あるいは子どもの学校関係など、いろいろなコミュニティやネットワーク。そこには大勢の人が集まるので、がまんや考え方の違いが生まれ、関係性が悪くなることだってあります。

関係性の悪化は、大きなストレスになってしまいます。「がまんしてまでつなぎ止める人」「ストレスを感じてまで、属するネットワーク」は、自分のためにはなりません。コンディションをくずし、本来のパフォーマンスを発揮できなくなる原因になります。

どうしても切れない関係なのであれば、日光東照宮にある三猿をヒントにしましょう。「余計なものは見ざる・聞かざる・言わざる」というスタンスで、意識の中で線引きするのです。これを意識するだけで、自律神経のバランスはととのい、ストレスの半分以上が軽減されます。

ストレスで乱れた自律神経は、あえてにこやかにあいさつをすると、副交感神経が高まってととのいます。「こんにちは」「お先に失礼します」など一般的なあいさつだけで、少しの満足感とともにいやな気持ちから解放されます。

自律神経と話し方・伝え方の関係

スムーズな会話には、まず相手に伝わりやすい適切な言葉を選ぶ必要があり、相手の伝えたいことを正しく理解する必要があります。

一瞬のうちにこれを繰り返すのですから、即座に正しい言葉を選び、伝えることは非常に困難です。また発する言葉は、感情によってムラが生じます。イライラしているときはトゲのある言い方になったり、疲れているときに的はずれな返答をしてしまったりすることは、誰しも経験があると思います。

この言葉のムラには、自律神経が大きく関わってきます。交感神経と副交感神経が高まったベストの状態のときには血流も万全で、脳のすみずみまで血液が送り届けられて正しい言葉をチョイスできます。逆にバランスがくずれていると血流が悪化して集中力・決断力が落ちて、間違った話し方になってしまいます。

「話し方には気をつけているつもりだけど、いつも注意される」「自分が話し始めると周囲の空気が微妙になってしまう」などという人は、自律神経のバランスがくずれているのかもしれません。逆に、それを改善すれば話し方や人間関係も改善する可能性があります。

「口は災いのもと」でもありますが、「幸福のもと」にもなるのです。正しい「話し方」を自然とチョイスできるようになれば、コミュニケーションの行き違いはなくなっていきます。

そしてその「話し方」を身につけるには、技術として覚えるのではなく、健康で規則正しい生活を送り、自律神経をベストな状態に保てるように心がける。これがコミュニケーション力を高める一番の近道なのです。

PROFILE
小林弘幸先生
こばやし・ひろゆき●順天堂大学医学部教授。自律神経研究の第一人者として、自律神経と腸を整える健康な心と体を提案。順天堂医院に日本初の便秘外来を開設し、「腸のスペシャリスト」として、多数のメディアで活躍。『上機嫌の習慣』『自律神経の名医が考案した ぜったい幸せになる話し方・伝え方』(ともに主婦の友社)好評発売中。

※この記事は「健康」2023年夏号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のため再編集しています。



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