1. トップ
  2. 恋愛
  3. 健康診断で「脳腫瘍の疑い」と診断…「完治」できるの?手術後の再発リスク&退院後の注意点とは【脳外科医が解説】

健康診断で「脳腫瘍の疑い」と診断…「完治」できるの?手術後の再発リスク&退院後の注意点とは【脳外科医が解説】

  • 2026.4.8
脳腫瘍は完治できる?(画像はイメージ)
脳腫瘍は完治できる?(画像はイメージ)

健康診断のオプションでMRI(磁気共鳴画像法)検査を受けたところ、「脳腫瘍の疑いがある」と診断されるケースがあります。この場合、不安に感じる人は多いと思いますが、完治は可能なのでしょうか。また、再発の恐れはないのでしょうか。治療方法や治療後の注意点などについて、晃友相模原病院(相模原市緑区)の脳神経外科医・榊原夢太郎さんに、詳しく話を聞きました。

悪性度が高い腫瘍は完治困難

Q.そもそも、脳腫瘍は完治する病気なのでしょうか。それとも、完治が難しい病気なのでしょうか。

榊原さん「脳腫瘍が『治るかどうか』は一律には言えません。種類によって治癒が期待できるものもあれば、長期的な治療や経過観察が必要なものもあります。これは、脳腫瘍が一つの病気ではなく、腫瘍の種類や悪性度、できた場所、周囲への広がり方によって性質が大きく異なるためです。例えば、比較的境界が明瞭で、手術で安全に取り切れる腫瘍では、治癒が期待できる場合があります。

一方で、悪性度が高い腫瘍や、正常な脳にしみ込むように広がるタイプの腫瘍では、画像で見えている部分を切除しても、顕微鏡レベルで腫瘍細胞が残ることがあり、完治が難しい場合があります。

さらに脳は、運動や感覚、言語、意識など、生命や日常生活に直結する重要な機能を担っているため、他の臓器のがんのように広い範囲を余裕をもって切除することが難しいです。これも治療を難しくする理由の一つです。

そのため、手術だけで治療を終えられる場合もあれば、放射線治療や薬物療法を組み合わせたり、治療後も再発の有無を確認しながら長く経過を見たりする必要がある場合もあります」

Q.脳腫瘍になった場合、一般的にどのような治療を行うのでしょうか。

榊原さん「脳腫瘍の治療は、一般的に手術、放射線治療、薬物療法を組み合わせて行います。どの治療を選ぶかは、腫瘍の種類やできた場所、大きさ、悪性度、患者さんの年齢や全身状態によって異なります。治療方針は、腫瘍をできるだけ抑えることと、脳の大切な機能を守ることの両方を考えて決められます。

まず手術は、脳腫瘍治療の中心となることが多く、腫瘍の種類を正確に調べることと、腫瘍をできるだけ減らして症状を軽くすることが主な目的です。

ただし、脳の重要な機能が集まる部位では、『全部取ること』よりも『安全に取ること』が優先されます。なぜなら、脳は先述のように生命の維持だけでなく、運動、感覚、言語、記憶、思考など、日常生活に直結する重要な機能を担っているためです。そのため、手術では腫瘍をできるだけ取り除くことと、神経機能を守ることのバランスを考えながら慎重に進められます。

放射線治療は、手術後に残った腫瘍や、手術が難しい部位の腫瘍に対して行われます。通常の放射線治療に加えて、病変の大きさや場所によっては、定位放射線治療やラジオサージェリーが用いられることもあります。これらの治療は、腫瘍に対して高い精度で放射線を集中させる治療で、周囲の正常な脳への影響をできるだけ抑えながら治療できるのが特徴です。ラジオサージェリーという名前ですが、実際にメスで切る手術ではなく、非常に精密な放射線治療を指します。

薬物療法には、抗がん剤のほか、腫瘍の性質に応じた分子標的薬などが含まれます。また、脳腫瘍の治療では、腫瘍そのものに対する治療だけでなく、症状を和らげる治療も重要です。例えば、脳のむくみを抑えるためのステロイド、てんかん発作を抑えるための抗てんかん薬などが使われます。

さらに、脳腫瘍や治療の影響によって、まひやしびれ、言語障害、高次脳機能障害、嚥下(えんげ)障害などが生じることがあります。そのため、治療後の生活の質を保つためには、早い段階からリハビリテーションを行うことも大切となります」

Q.脳腫瘍の治療を終えた後、日常生活ではどのような点に注意が必要なのでしょうか。

榊原さん「脳腫瘍の治療後の経過は、腫瘍の種類や治療内容、後遺症の程度によって大きく異なります。そのため、治療が終わった後も、再発の有無を確認することに加えて、後遺症や生活への影響を含めて長期的に経過をみていくことが大切です。

脳腫瘍は、良性であっても再発や再増大が見られることがあり、特に、悪性腫瘍では治療後も定期的な経過観察が欠かせません。通常は、症状の変化を確認するとともに、MRIなどの画像検査を継続して行います。

その中で特に注意したいのが、再発や増悪を疑うサインを見逃さないことです。例えば、頭痛の悪化や吐き気、けいれん発作、手足の動かしにくさ、しびれ、言葉の出にくさ、物忘れ、性格変化などの症状が見られる場合には、早めに主治医に相談することが重要です。これらの症状は再発だけでなく、治療後の後遺症や合併症によって起こることもあるからです。

脳への放射線治療や一部の薬物療法の後には、数カ月から数年後に、記憶力や集中力の低下、情報処理の遅れ、人格の変化、運動障害などが見られることがあります。見た目には元気に見えても、仕事や家事、対人関係の中で困りごとが生じる場合もあるため、こうした変化について周囲の理解や支援を得ることも大切となります。

てんかん発作の既往がある人や、発作が起こりやすい部位に腫瘍があった人の場合、抗てんかん薬を自己判断で中止しないことが非常に重要です。運転や復職、日常生活の制限についても、発作の有無や症状によって対応が変わるため、主治医と相談しながら判断していく必要があります。

そして、社会復帰については無理をし過ぎないことも大切です。脳腫瘍の治療後は、体力の低下だけでなく、疲れやすさや注意力の低下などが残ることがあります。復職や復学は、勤務時間や活動量を調整しながら、段階的にゆっくり進めていくことをお勧めします。その際には、周囲の理解も重要です。

体調や困っていることを職場や学校、家族などに伝えておくことで、無理なく生活を続けやすくなります。もしご自身で説明することが難しい場合には、診断書などの形でサポートをすることも可能なため、主治医にご相談ください。

脳腫瘍の治療後は、再発の確認だけでなく、後遺症や生活への影響も含めて長く経過を見ていくことが重要です。定期的な受診を続け、症状の変化があれば早めに相談しながら、無理のない形で日常生活や社会復帰を進めていきましょう」

オトナンサー編集部

元記事で読む
の記事をもっとみる