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「カペラ京都」が初上陸。四季の移ろいを反映したインテリアデザインとは?

  • 2026.4.6
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2026年3月22日、日本初のカペラホテルズ&リゾーツとなる「カペラ京都」が開業した。建築は隈研吾建築都市設計事務所が手掛け、インテリアデザインはシンガポールを拠点とするブリューイン デザイン オフィスが担当。京都の伝統的な町家の精神を再解釈し、静寂さとラグジュアリーを兼ね備えたデザインが特徴だ。京都の新たなアイコンホテルとなり得る「カペラ京都」のコンセプトやディテールを、ブリューイン デザイン オフィスの創設者ロバート・チェンに尋ねた。

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京都市東山区の宮川町に位置する「カペラ京都」。ホテルのエントランスは宮川町の伝統と文化を育んできた「宮川町歌舞練場」に面し、その土地が持つ長い歴史に呼応するように、静謐さを放つ佇まいが特徴だ。日本初のカペラホテルとして開業前から大きな期待を寄せられるなか、インテリアを手掛けたのはシンガポールの設計事務所ブリューイン デザイン オフィスだ。

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ホテルのデザインコンセプトとして、創設者のロバート・チェンは“日本の四季”というキーワードを使う。

「日本の四季というアイデアをインテリアへと昇華させた方法の一つに、1階の入り口に架かる橋の両脇を固める『障子』があります。単なる建築的要素としてだけでなく、季節に応じて暖かい時期には、窓と障子の両方を開放することでパブリックエリアに風を通すことができます。風や屋外の気配が通り抜け、地階の中庭へと流れ落ちることで、ホテルの中にいながらも季節の雰囲気を感じることができるのです。光や空気、そして年間を通じた空間の感じ方の微妙な変化によって、季節を体験できるものにしたいと考えました」

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さらにロバートは、このプロジェクトの場所が“京都”であることを強く意識していたと振り返る。

「建物は京都市の景観条例によって外観のデザインが制限された歴史地区に位置しています。その結果、深い軒からファサードの白と黒のコントラスト、客室の窓を縁取る装飾的なフレームに至るまで、建築には京都の伝統的な建造物を連想させる多くの要素が反映されています。細かな建築ディテールには隈氏のデザイン言語が見て取れますが、非常に静かで周囲の文脈に馴染む形で表現されています。そこでインテリアをデザインする際にも、このプロジェクトが京都という場所にあることを強く意識しました。京都の建築の伝統に基づきながらも、それらを現代的な手法で解釈しています。歴史を直接的に引用するのではなく、プロポーションや素材、空気感といった根底にあるものに目を向け、それらをインテリアデザインへと翻訳するイメージです」

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ロバートの言葉通り、インテリアのカラーパレットも外観と同様に京都の文化的背景を汲んだ、落ち着きのある色調でまとめられている。

「色調は意図的に穏やかで控えめに抑え、素材そのものが奥行きと情緒を生み出すようにしました。一方で客室は、より暗く親密なパレットを採用しています。町家の温かみのある木の色調からインスピレーションを得て、都市の中の隠れ家のように、包み込まれるような感覚を味わえるようにしました」


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このホテルを表すもう一つのキーワードは“職人技と現代アートの融合”だ。ホテル全体に京都や日本ゆかりのある職人やアーティストの作品が散りばめられている。メインエントランスに設置された藁細工の作品は、京都在住のアーティスト藤井桃子が手掛けている。他にも、客室のヘッドボードはアーティストの新城大地郎にデザインを依頼。それを京都の西陣織ブランド「HOSOO」が製作し、唯一無二のアクセントとなっている。

「入り口の暖簾は京都を拠点に活動するオランダ人テキスタイルアーティスト、メイ・エンゲルギールが手掛けました。彼女の作品は、到着のシークエンスに繊細な色彩と質感をもたらしています。ホテルの各所には四代田辺竹雲斎による竹の彫刻インスタレーションが、伝統的な日本の竹編みの現代的解釈を提示しています。他にも西村圭功による美しい京漆器のアートを展示しています」


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<写真>カペラスイートの寝室。ヘッドボードのアートはアーティストの新城大地郎がデザインし、京都の西陣織ブランド「HOSOO」が製作した。

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ロバートに個人的な好きな空間やディテールを尋ねると、特定の空間やディテールではなく“ホテル内を進むにつれて、空間が徐々に紐解かれていく様子”そのものだと語る。

「到着のブリッジからエントランスのシークエンス、パブリックエリアを経て、リビングルームや中庭、そして客室といったより親密な空間へと至るまで、それぞれの移ろいが慎重に構成されています。私が特に気に入っている瞬間は、ゲストが入り口のブリッジを渡り、都市の喧騒からホテルの静かな空気へと切り替わるのを感じ始める時です。開放的なパブリックエリアから次第にプライベートで親密な環境へと、空間が少しずつその姿を現します。この連続性は『間』によって形づくられるという、日本の空間デザインにおける重要な原則を反映しています。ゲストが都市から離れ、静寂と工芸、そして洗練されたラグジュアリーの世界へと優しく導かれるような、感情的な旅を作り出すことが大きな目的でした」

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<写真>カペラスイートの浴室。

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「カペラ京都」が開業したばかりだが、ブリューイン デザイン オフィスでは、2027年開業予定の「カペラ南京」のインテリアデザインを進行しているという。

「このプロジェクトはデイヴィッド・チッパーフィールド・アーキテクツと共同で重要保存建築であるメゾネットを修復してラグジュアリーホテルへと再生させ、さらにチッパーフィールド設計の新築建築を融合させるというものです。さらにフォスター・アンド・パートナーズとのコラボレーションによる『カペラ深圳』も2028年の開業を目指して、進行中です」

カペラ京都
住所/京都府京都市東山区大和大路通四条下る四丁目小松町130

Lit Ma / Hearst Owned

話を聞いたのは……

ロバート・チェン/BREWIN DESIGN OFFICE 創設者

2012年にシンガポールを拠点とするBREWIN DESIGN OFFICEを設立。住宅やホスピタリティ、商業、文化施設など、ジャンルや規模を問わず、多様なプロジェクトを手掛ける。「カペラ京都」は、ブリューイン デザイン オフィスにとって初めての日本国内でのプロジェクト。

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