1. トップ
  2. 恋愛
  3. ケン・ローチ“最後の作品”『オールド・オーク』に賛辞続々! 是枝裕和らが語る“分断”と共存の可能性

ケン・ローチ“最後の作品”『オールド・オーク』に賛辞続々! 是枝裕和らが語る“分断”と共存の可能性

  • 2026.4.3
ケン・ローチ“最後の作品”『オールド・オーク』に賛辞続々! 是枝裕和らが語る“分断”と共存の可能性
(C)Sixteen Oak Limited, Why Not Productions, Goodfellas, Les Films du Fleuve, British Broadcasting Corporation, France 2 Cinéma and The British Film Institute 2023

炭鉱の町のパブを舞台に描く難民問題 現代日本にも通じる普遍的テーマに注目集まる

巨匠ケン・ローチ×ポール・ラヴァティによる喪失と希望を描く心揺さぶるドラマ『オールド・オーク』より、是枝裕和、宇多丸、松尾潔、北村紗衣ほかの絶賛コメントが到着した。

市井の民を見つめ、彼らの生活と闘争を描き続けてきたイギリスの巨匠、ケン・ローチ監督。彼が自ら「最後の作品」と語っているのが、2023年カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品された本作だ。『わたしは、ダニエル・ブレイク』(16年)『家族を想うとき』(19年)に続く「イギリス北東部3部作」の最終章となる。
舞台は、とある炭鉱の町で最後に残ったパブとして親しまれていた「オールド・オーク」。人々が集い、安らぎを見出す場所だったはずのパブは、シリア難民の受け入れをきっかけに、諍いの場へと変貌してしまう。

オーナーのTJはパブの先行きに頭を抱えていたが、シリアから来たカメラを携えた女性ヤラと出会い、思いがけず友情を育むことに。やがて彼は、喪失や未知への恐怖、そして希望を見つけることの難しさについて知っていくことになるが──。
寂れゆく町に根を張る住人たちと、戦禍から逃れてきた難民たち。ケン・ローチ監督は、実際にシリア難民がとある北東部の町に到着した際の出来事に着想を得たと語ったうえで、このように述べる。

「まずは双方を理解する必要がありました。2つのコミュニティが隣り合って暮らす現実がある。それぞれに深刻な問題を抱えつつも、一方には想像を絶する残酷な戦争から逃れてきたというトラウマがあり、失った者への悲嘆と、残された者への心配に苛まれている。異国の地で見知らぬ者同士となった彼らは、果たして共存できるのかー? 相反する反応が生まれるでしょう。このような暗黒の時代に、希望はどこにあるのか? 難しい問いですが、ポール・ラヴァティ(脚本家)とレベッカ・オブライエン(プロデューサー)と私は、その答えを探すべきだと考えました」。

このたび、『家族を想うとき』のパンフレット対談などを通じてケン・ローチ監督と交流を重ねてきた映画監督・是枝裕和をはじめ、ラジオパーソナリティとしても活躍するRHYMESTER宇多丸、「デマと差別が蔓延する社会を許しません」街宣の発起人の一人である音楽プロデューサー・作家の松尾潔、英文学者の北村紗衣らからコメントが到着した。
2016年のイギリスを描いた作品でありながら、2026年の日本──“分断の世”を生きる私たちにとっても決して他人事ではないテーマを突きつける本作。その問題意識と、ケン・ローチ監督の真摯なまなざしに対し、各界から賛辞の声が寄せられている。

■是枝裕和 (映画監督)
世界でも、日本でも至る所に蔓延している人と人の「分断」。この最も厄介な手に負えない病巣を前にしてもケン・ローチは諦めない。『オールド・オーク』は人と人が差異を超えてどうしたら共に生きられるかを正面から問い続ける。これほどまでに一貫した「眼差し」を世界に、人間に向け続ける彼の存在こそが、映画にとっての希望であると改めて確信した。
■宇多丸(RHYMESTER)
押しつけられた理不尽に苦しむ者同士、噛みつき合うのか、助け合うのか、それとも黙ってやり過ごすのか……それは明らかに、2026年現在の日本社会に生きる、我々自身にも向けられた問いだろう。ケン・ローチ渾身のまたしても大傑作、劇場公開されて、本当に良かった!
■松尾潔(音楽プロデューサー・作家)
ローチが見つめるのは、難民そのものではない。「分断を生む社会の構造」だ。怒りと不信の底に、なお残る連帯の可能性を探る。2016年の英国北東部を描いたこの物語が、2026年の日本に重なって見えるとき、私たちは何を選び取るのか。
■北村紗衣(英文学者)
パブはpublic house、つまり「公共の家」という単語からきています。お酒を飲むだけではなく、人々が集まるコミュニティの中心としての公共的な機能を持っています。そんなパブが地域社会のためにどういう機能を果たせるのか、果たすべきなのかを描いた映画です。
『オールド・オーク』は2026年4月24日より劇場公開。

元記事で読む
の記事をもっとみる