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震災を知らない子どもたちへ災害のこと、どう伝える?

  • 2026.4.3

東日本大震災から15年が過ぎ、熊本地震から10年が経とうとしています。いまの高校生以下の子どもたちは、震災当時は生まれていなかった、あるいは小さくて記憶がない子ばかりです。まさにそんな世代のわが家の中学生、小学生、幼児と一緒に震災に関する絵本や書籍を読んでみました。本の選び方や気をつけたことについてご紹介します。

災害を語り継ぐことの大切さ

東日本大震災の時、三陸地方に伝わる「津波てんでんこ」(津波が来たら、いち早く各自てんでんばらばらに高台へ逃げろ)の言い伝えが、子どもたちの率先した避難に繋がったことがたびたび報道されました。この事例からもわかるように、過去の災害について知ることには大きな意義があるといえます。

被災地には、震災時に起こったことを詳細に伝える伝承館や語り部の活動がありますが、訪れる機会を作るのはなかなか難しいかもしれません。しかし被災地から離れていても、絵本や書籍などを通して震災について知ることができます。また絵や物語を介することで、子どもが登場人物に自分を重ね「自分ごと」化でき、より記憶として定着しやすくなることが期待されます。

どうやって本を選ぶ?

インターネットで「震災 絵本」と検索したり、生成AIに尋ねたりするとおすすめの本がいくつも提示されますが、今回いちばん頼りになったのが図書館のレファレンスサービスでした。

レファレンスサービスとは、調べたいことや探している資料について必要な資料や情報を教えてくれる図書館のサービスです。筆者は近くの図書館で、以下のようにお願いしました。

・東日本大震災や熊本地震について、子ども向けの本を探している
・幼児、小学生、中学生それぞれに合った本を教えてほしい

すると、10分もしないうちに司書の方が6冊ほどの本を持ってきてくれました。被災地の写真がメインのもの、いざという時のための備えや行動など防災をテーマにしたもの、物語形式のものなど種類はさまざま。司書さんに聞いたところ、読者(誰が読むのか)と目的(知りたいことは何か)を伝えれば、実際に本を提示しながらさらに対話を重ねて最適な本を探してくれるとのことでした。

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幼児には絵本を対話のきっかけに

今回、図書館のレファレンスサービスを活用したり、自分で探したりして、実際に選んだ本がこちらです。

(左上から時計回りに)

熊本日日新聞社『緊急出版 特別報道写真集 平成28年熊本地震 発生から2週間の記録』
<対象年齢>一般
<内容>熊本地震発生から2週間の被害状況を中心に、全国からの支援や避難所の様子などをまとめた写真集

太田出版『図解でわかる 14歳からの自然災害と防災』
<対象年齢>中高生
<内容>さまざまな災害に対する、日頃の備えから被災時の対応までをわかりやすく解説

Gakken『語りつぎお話絵本 3月11日① 午後2時46分』
<対象年齢>小学生全般
<内容>東日本大震災の被災者への聞き取りをもとにしたノンフィクション絵本

ポプラ社『あのとき、そこに きみがいた。 2016年4月 熊本地震の現場から』
<対象年齢>小学3年生
<内容>熊本市在住のイラストレーターが描く熊本地震被災のリアルを綴った絵本

ポプラ社『はしれ、上へ! つなみてんでんこ』
<対象年齢>6歳、小学1、2年生
<内容>岩手県釜石市で大津波から無事に避難した小中学生の体験をもとにしたノンフィクション絵本

小学館『小学館版 学習まんが くまモン』
<対象年齢>小学生〜中学生
<内容>ご当地キャラ「くまモン」の誕生から、熊本地震の発生と被災者を元気づけるくまモンの様子を描いた学習まんが

ポプラ社『16歳の語り部』
<対象年齢>高校生以上
<内容>東日本大震災の発生から5年後、当時小学生だった16歳の3人が語り部として活動する記録

ポプラ社『「あの日」、そして これから』
<対象年齢>小学5、6年生
<内容>カメラマンの著者が写真だけでは伝えられない被災者の言葉を届ける写真絵本

年長の双子には、絵本の読み聞かせをしました。自分と年の近い子どもや動物が題材のお話だったので、真剣に聞き入っている様子。また東北地方以外も大きな揺れに見舞われたことを話すと、お父さん、お母さんや当時飼っていた猫が大丈夫だったか? など、自分の家族に置き換えた想像や質問で対話が広がりました。

絵本を読んだあとも小・中学生向けに借りてきた報道写真集などを自分から手に取り、建物が崩れた様子や避難している人たちの写真について話すなど、関心を示していたのが印象的でした。

とはいえ内容や伝え方には注意が必要だなと思う場面も。双子のうちの一人が津波についての絵本に対して「怖い」「ここにも津波が来るのでは」と不安を訴えたからです。子どもには、いま住んでいるところは内陸地なので津波は来ないことや、雨や台風で近くの川が氾濫する時は、地震と違ってある程度予測ができることなどを伝えました。また、ひざの上で抱っこしながら、もし地震が起こっても家族や先生が守ってくれることを話すと安心したようです。

東日本大震災の時には、震災報道が被災地以外の子どもたちにも影響を与える恐れが指摘された事例があります。そのため、直接的な映像を見せることは避け絵本を選びましたが、大人が思う以上に小さい子どもは恐怖を感じることを実感しました。ただ同じ年齢でも、もう一人はまったく怖がることもなく、読んでから時間が経っても普段通りだったため、感じ方はかなり個人差があるといえるでしょう。お子さんの性格や特性に配慮しながら、伝え方を探ることをおすすめします。

小・中学生には写真や体験談で「自分ごと」に

小学生男子には、まず気軽に手に取れることを第一に考え、マンガ形式のものや写真が多用されているものを選びました。

マンガなので普段そこまで本を読む習慣がなくても抵抗なく読めたようです。また、写真や被災者の語りからは、震災の被害の大きさや避難生活の大変さを感じ取っていました。避難の際に中学生が保育園の子をおぶって逃げたエピソードには、自分だったら動けるだろうかと感心していました。

中学生の娘には、自分の年齢に近い被災者の体験に基づく本や、防災知識を学べる本にしました。

思春期の子どもに親が勧めた本を読んでもらい、感想を聞くのはややハードルが高いかな?と思いましたが、直接ではないものの後からLINEで感想を伝えてくれました。

やはり近い年齢の被災者による語りは印象的で、自分が同じ立場だったらと考えさせられたようです。また南海トラフ地震など、これから起こる災害に備えて過去の被災者の経験や教訓を知ることの大切さを感じたと教えてくれました。

本を通して親子で震災について考える

今回、子どもたちと震災をテーマにした本を読んでみていちばん感じたのは、年齢に関わらず意外と興味・関心を持ってくれるんだなということ。実際に起きた震災について知ることで、園や学校で行っている防災訓練の持つ意味や重要性を認識し、いざという時の行動指針にしてほしいと思います。

また、物語や被災者の体験談を通して、命の大切さや、日常生活のありがたさについて、子どもたちが思いを馳せるきっかけとなればいいなと感じました。2つの大震災の発生から節目となる年。ぜひ親子で震災に関する本を手に取ってみてはいかがでしょうか。

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<執筆者プロフィル>

那須 あさみ

フリーランスライター。幼児、小学生、中学生の4児の母。さまざまな年齢の子どもと一緒に家庭で備えられる防災を模索中。

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