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妊娠中に災害にあったら? 妊婦の備えと受けられる支援

  • 2026.3.23

妊娠中は免疫力が下がったり、思うように動けなかったりと健康な時に比べてさまざまなリスクが増します。そんな時に大きな災害が起こったら? 考えただけで不安になってしまいそうですが、普段から正しい知識を持って備えておくことで、妊婦さん自身もお腹の赤ちゃんも守ることができます。そこで今回は、一般的な防災用品に加えて準備しておきたいグッズや、災害時の行動についてまとめました。また災害時、妊婦さんに向けた支援はどのようなものがあるかについてもご紹介します。

妊婦は特別な支援が必要な「要配慮者」

まず知っておいてほしいのは、災害対策基本法において妊婦さんは「要配慮者」と定義されていることです。「要配慮者」とは、高齢者や障がい者、乳幼児、日本語での意思疎通が難しい外国の方など、特に配慮や支援が必要とされている人をいいます。

筆者は3回の出産を経験しましたが、自分ではいつも通りに過ごせているつもりでも、妊婦健診で安静を指示されたり、もう少しで管理入院となるところだったりしたことがありました。平時でもそれだけ体調が変化しやすいのですから、医療へつながりにくい災害時には、なおさら気をつけるに越したことはありません。

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妊婦の非常用持ち出し袋の中身は?

いざという時に慌てないためにも、普段からの準備が必要不可欠です。一般的な防災用品に加えて、妊婦さんが準備しておくとよいものをまとめました。

・母子健康手帳:災害時にかかわらず、妊娠中は常に携帯しておくと安心。母子手帳アプリなど、紙とデジタルで分散して記録しておけば、万が一災害で紛失しても情報を取り出せます。

・健康保険証(マイナ保険証)

・診察券:かかりつけ産婦人科医院の連絡先は必ず控えておきましょう。分娩予定日、妊婦健診先と健診状況(次回健診日、処方の有無など)、また里帰りなどで健診先と別の場合は分娩予定先を、避難所の運営者及び保健師・医療救護班に伝えられるようにしておきましょう。

・お薬手帳

・常備薬・処方薬:災害時は薬が手に入りづらくなるため、処方されている薬がある場合は3日分、できれば1週間分を用意しておきましょう。

・生理用品・清浄綿:災害時はトイレ環境や衛生面が悪化します。免疫力が低く、肌トラブルも起きやすい妊婦は、体、特にデリケートゾーンを清潔に保つことができるよう清浄綿を用意しておくと安心です。

・マタニティ用品:適切な支援を受けるためにも、マタニティマークをつけてアピールすることも大切です。また妊婦向けの衣類や下着に加えて、防寒のための厚手の靴下やストールがあると役立ちます。特に大判のストールは、1枚あれば寒さ対策・着替え時の目隠し、授乳ケープなどさまざまな用途で使えて便利です。

・栄養補給食品&飲料水:つわり時でも食べられる非常食(ゼリー飲料など)を準備しましょう。つわりや基礎代謝量の増加によって妊娠中は水分不足になりやすい上に、災害時はトイレに行く回数を少なくするため水分を我慢してしまいがちです。しかし水分が不足すると血栓症のリスクが上がるなどの悪影響があるため、こまめな水分補給を心がける必要があります。

・分娩準備品:特に後期の妊婦さんは、急なお産に備えて入院時に必要なセットを揃えておきましょう。

これらの持ち物を、まとめてすぐに持ち出せるようにしておきましょう。両手が空くようにリュックに入れることをおすすめします。また、妊婦さんが持つ非常用持ち出し袋の目安は5kgです。荷物が揺れないように肩ベルトの長さを短く調整し、重たい荷物はリュックの上かつ背中側に入れて重心を上げると、軽く感じるので試してみてくださいね。

災害が起きた時、妊婦が取るべき行動は?

いざ災害が発生してしまったら、どのような行動を取ればよいのでしょうか? 地震の場合、ガラスや家具から離れ、できるだけ安全な場所に移動して頭部や腹部を守る姿勢を取りましょう。大雨などの水害の場合は、「警戒レベル3(高齢者等避難)」が出たら、指示に従い早めに避難を開始します。避難所への移動時には、妊婦さんはお腹で足元が見えづらいので、できるだけ誰かと一緒に行動しましょう。また「こうなったら避難する」というラインをあらかじめ家族で共有しておくことも大切です。『秋も油断できない水害!「マイ・タイムライン」(避難行動計画)を子どもと一緒に考えよう』の記事で紹介した「マイタイムライン」を作成しておくと、いざという時にも慌てずに行動ができるのでおすすめです。

避難所に到着したら、早めに「妊婦であること」を周囲や避難所運営者に伝えましょう。非常時で言い出しにくいかもしれませんが、遠慮していると必要な配慮や支援が受けられません。お腹の赤ちゃんを守るためにも、体調の変化があった場合には我慢しないで保健師や医療関係者に相談することが重要です。

神奈川県助産師会では、妊婦さんが避難生活で気をつけたい症状や、医療機関の受診の目安を一覧表にまとめて公表しています。「気のせいかも」「まだ我慢できる」と無理をせず、心配なときは以下のチェックリストを参考にしてみてくださいね。

<妊婦さん 受診の目安チェックリスト>

避難所で過ごすことが難しかったら?

もし自宅が被害を受けて生活が難しい場合、一定の期間を避難所で過ごす必要があります。しかし一般の避難所は、特に妊婦さんにとっては過ごしにくく、身体的・心理的な負荷が大きく体調を崩してしまうことも多いです。特別な支援や配慮が必要な避難者で、一般避難所での生活が困難と判断された場合には、福祉避難所に移動することができます。

福祉避難所とは、高齢者や障がい者などの要配慮者が安心して生活ができるよう、多目的トイレの設置やバリアフリー化が整備された社会福祉施設等を利用して開設される避難所です。全国の主要52自治体のうち、妊産婦や乳幼児専用の避難所を整備しているのは2025年12月時点で15市区(約3割)にとどまりますが、必要性は徐々に認知されてきていると言えるでしょう。妊産婦専用の福祉避難所では、保健師や助産師が常駐したり、粉ミルクの備蓄や沐浴設備が用意されたりしています。

ただし、福祉避難所は発災後数日経ってから開設されるケースがほとんどで、原則として直接連絡・避難をすることはできません。また一般の避難所でも、要配慮者用のスペースが確保されていることもあるので、まずは避難所の担当者や保健師に相談してみましょう。

周囲を頼って自分と赤ちゃんを守ろう

災害によって混乱し、さまざまな状況の人が集まる避難所では「妊娠しています」と告げづらいこともあるかもしれません。実際、妊娠中に被災した女性からは、「言い出すことができなかった」との声もあります。しかし繰り返しになりますが、自身が妊婦であることを伝えなければ、適切な支援から遠ざかってしまいます。一方で、避難所の担当者は多忙な上、妊娠や出産に関する専門知識を持っているわけではありません。妊娠の経過や体調に少しでも不安がある時は、避難所を巡回する保健師・助産師につないでもらいましょう。体調面だけでなく、メンタル面のケアにも対応してくれます。

被災によって自宅から離れた自治体へ避難した場合も、避難先で妊婦健診などの母子保健サービスを受けられます。妊婦健診の受診券を持っていなくても、新たに避難先の自治体で交付してもらうこともできるので、自治体の窓口で相談してみましょう。

妊婦さんは、特にお腹がまだ大きくないと一見健康な人と変わりなく、周囲から気づかれにくいものです。自身も、「元気だから」「もっと大変な人がいるから」と、つい我慢してしまうかもしれません。ですが、災害や避難所での生活が妊婦さんとお腹の赤ちゃんへ及ぼす影響は決して無視できません。たとえ目に見える体調の悪化などがなくても、被災時のストレスによって産後うつなどにつながる調査結果も出ています。一人で抱え込まずに、周囲の人や専門家を上手に頼って自身と赤ちゃんを守りましょう。

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<執筆者プロフィル>

那須 あさみ

フリーランスライター。幼児、小学生、中学生の4児の母。さまざまな年齢の子どもと一緒に家庭で備えられる防災を模索中。

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