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落合宏理が監修し、ウルトラスタジオが設計を手掛けた常石グループの新拠点が完成

  • 2026.3.31
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広島県福山市に本社を置き、1903年の創業以来、海運事業や造船事業を礎に発展してきた常石グループが、東京・日比谷に新拠点、TATOU TSUNEISHI(タトウ ツネイシ)をオープン。グループ10社の社員や外部の人々が集い、対話や交流を通して新たな発想を生み出す場とする。監修はファッションデザイナーで常石グループのチーフ・デザイン・オフィサーを務める落合宏理、設計デザインを向山裕二、上野有里紗、笹田侑志からなる建築コレクティブ、ULTRA STUDIO(ウルトラスタジオ)が担当した。

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「TATOU」という名称は、瀬戸内海の風景の特徴を表す「多島海」に由来。空間をデザインする上でのコンセプトも、常石グループの原点である瀬戸内海から着想を得た。工業的な素材が持つ質感や光の表情を水面の反射になぞらえることで、「海」と「工業」というグループを形成する2つのアイデンティティを融合させている。

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「TATOU TSUNEISHI」の特徴のひとつが、オフィスの中心に2つの「余白」を設けていること。これらの空間はトークショーや飲食イベントなどに使われ、用途に応じて柔軟に姿を変える。昼の海を想起させる「余白1」には、「東京に瀬戸内海をつくる」ことをイメージし、ステンレスパネルを床に貼った。窓部にはめ込まれた障子の格子は、この床材と呼応するよう銀色に塗装。和の趣を宿しながらも、どこか工業的な表情を帯びている。

<写真>「余白1」では、中央に設置された膜張りの照明が均一で柔らかな光を放ち、床には瀬戸内海の水面のように、きらきらと揺らぐ表情を生み出している。

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「余白2」は、いわば夜の海。こちらの床には、OAフロア(コンクリート床の上に専用パネルを敷き詰め、床下に配線空間を設けるシステム)に黒の塗料を塗布した。これにより、床面に瀬戸内の穏やかな海のような揺めきが現れる。オリジナルの照明の下に設置されたカウンターには、石膏系の素材であるジェスモナイトや鉄粉を採用。その表面に瀬戸内海から取り寄せた海水を塗り込み、鉄分を自然に酸化させる仕上げを施した。

<写真>「余白2」の壁面には、常石グループのツネイシカムテックスが生産する素材、アークサンドと左官材を混ぜて吹き付け仕上げを施し、瀬戸内の岩肌を思わせる豊かな質感を表現した。

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執務スペースの奥に設けられたライブラリーには、ブックディレクターの幅允孝が選書した15のジャンルの書籍を配架。選書内容はもちろん、並べ方にも工夫を凝らし、関連分野ごとに有機的なつながりを感じられる構成とした。

グループとしての一体感を醸成しながら「余白」の活用により、新たな感性を取り込み、創造性を高めることを目指す「TATOU TSUNEISHI」。社員やグループに関わる人々がここで働き、過ごすことで、さらなる進化を見せてくれそうだ。

<写真>蔵書は、社員の意見も取り入れながら変化していく。ライブラリーの色には、日本古来の塗料であるベンガラを参照している。

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