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上質な睡眠のためにできること! 快眠博士たちが教える理想の眠りとNG習慣

  • 2026.3.30
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「疲れているときは、本来の自分らしさを発揮できない」という古い格言は真実だ。しかし、ここには皮肉なジレンマが存在する。心身ともに最高のパフォーマンスを発揮するために睡眠は不可欠であるにもかかわらず、それが誰にでも自然に訪れるとは限らないことだ。現にこの記事を執筆する筆者である私も、ベッドにもぐって枕に頭を沈めても眠りに落ちるのに苦労する。そんな不運な人間の一人だ。

「睡眠不足は短期的に見ると、気分や集中力、エネルギーレベルに悪影響を及ぼします。そして長期的に見ればホルモンバランスを乱し免疫力を低下させ、目に見えるエイジングのサインを加速させる要因にもなるのです」と解説するのは、ウェルネスブランド「This Works」のCEOであり、博士号を持つアンナ・パーサウド氏。

「睡眠はメンタルヘルスとも密接に結びついています。慢性的な睡眠不足は感情をコントロールしストレスを処理する脳の働きを阻害するため、不安やうつ病のリスクを高めてしまうのです」

ベッドに入っても寝付けない、あるいは夜中に何度も目が覚めてしまう。そんな夜を過ごしている人であれば、世の中にどれほど“良質な情報とフェイク”が入り混じっているかすでに実感しているはずだ。

無数の選択肢の中から、自分にとって本当に有効なアプローチを見極めるのは至難の業だ。そこで私はパーサウド博士に加え、同じく睡眠のエキスパートであるブルース博士(通称:スリープドクター)に協力を要請。より深く眠り、心身を根本からリチャージするための究極のメソッド「スリープ・ハイジーン(睡眠衛生)」を指南してもらった。

これらは決して不眠症の特効薬ではない。しかし、ブルース博士が指摘するように「これらを実践しなければ、スムーズに眠りにつくことはほぼ不可能になる」のも事実なのだ。以下より、エキスパート直伝のアドバイス、睡眠サポートアイテム、知っておくべき睡眠に関するよくある誤解についてぜひ読み進めてほしい。

日々の小さな習慣への投資

「日中に短い休憩をこまめに挟むことは、夜の睡眠の質を低下させる要因となるコルチゾールの分泌を抑えるのに役立ちます」とパーサウド博士は語る。「概日リズム、つまり体内時計を整えるためにも、起床後2時間以内と午後にも自然光を浴びるようにしてください。そして、消化やホルモンバランスをサポートすべく、夕食は毎日一定のリズムで、早めの時間帯に済ませるよう心がけてほしいですね」。

睡眠スケジュールを一定に保つ(週末も!)

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「毎晩同じ時間にベッドに入ることは、深い睡眠を最大化することに繋がります。深い睡眠は夜の早い時間帯に訪れるものであり、身体の回復と脳の健康にとって極めて重要です」とパーサウド博士は指摘する。

この絶対的なルールは、起床時にも等しく当てはまる。「週7日、毎日同じ時間に起きることで、睡眠のエンジンを始動させる鍵となるホルモン、メラトニンの分泌が規則的になります」とブルース博士。
「より具体的に言うと、朝目覚めて自然光が目に当たると、脳へ『メラトニンの分泌をストップするように』というシグナルが送られます。しかしそれと同時に、約14時間後に再びメラトニンの分泌をスタートさせるためのタイマーがセットされるのです。つまり、起床時間がバラバラであれば、夜間にメラトニンが分泌されるタイミングまでもが不規則になってしまうというわけです」。

就寝前のナイトルーティンを確立する

聞き慣れたアドバイスかもしれないが、だからといってその重要性が色褪せるわけではない。スムーズに眠りにつくための万能な法則こそ存在しないものの、少しの試行錯誤を重ねることで、自分にとって本当に効果的なアプローチが見えてくるはずだ。もし何から始めるべきか迷っているなら、パーサウド博士は、就寝前に温かいシャワーを浴び、科学的リサーチに基づいた鎮静効果のあるボディケアを取り入れることを推奨している。

例えば、筋肉の緊張を解きほぐすために開発された「This Works」のマグネシウム配合シャワージェルや、不安を和らげる同ブランドの“ディープスリープ ピロー スプレー”などだ。
「私たちの製品群は、fMRI(機能的磁気共鳴画像法)や脳波計を用いた脳画像解析によって心を鎮め、回復的な睡眠をサポートすることが臨床的に証明されたファンクショナルフレグランス(機能性香料)を採用しています」と彼女は語る。「科学的に裏付けられたこれらのナチュラルなソリューションは、身体の睡眠と覚醒サイクルと見事に調和して働き、より早く眠りに落ち、より長く眠り続け、そして完全にリフレッシュして目覚めるためのサポートをしてくれるのです」

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枕に頭を沈めた途端に思考が駆け巡り始めてしまうタイプなら、瞑想が特に効果的なツールになり得るとブルース博士は言う。もし瞑想が初めてなら「Headspace」や「Insight Timer」といった人気アプリのガイド付きセッションを活用するのがおすすめ。心を静寂に導くまでに時間がかかったとしても決して落胆しないでほしい。練習を重ねれば、必ず上達するものだからだ。

さらにブルース博士は、米海軍のパイロット候補生が2分以内に眠りにつけるよう開発されたミリタリーメソッド(米軍式睡眠法)や、4-7-8呼吸法といったテクニックも推奨している。彼によれば、「呼吸のペースを落とし息を吐き出すごとに心の中でゆっくりとカウントすることに意識を向ける」ことで、深いリラックス状態へと導いてくれるという。

寝室を涼しく保つ

「これまでの研究から、室温は睡眠に少なからず影響を与えることがわかっています。人は眠りにつく際に体温が低下しますが、この体温低下のバランスをとるために、多くの人は寝具を使って体の周りに温かいマイクロクライメイト(微気候)を作り出しています」と、ブルース博士は自身のウェブサイトで解説している。「あえて室温を涼しく設定することで、無意識のうちに毛布にくるまりたくなり、結果として皮膚が温められ、眠りにつくまでのプロセスが加速します」

これを実現するため、彼は寝室の温度を約18〜20度に設定することを推奨している。もし自宅にセントラル空調がない場合は、ドアや窓を開けて風通しをよくしたり扇風機を活用したり、あるいは陽の光を遮断するために遮光性の高いダークカラーのカーテンを引くなどの工夫を取り入れると良いという。

エキスパートが愛用する最新ガジェット

さらに睡眠の質を高めたいなら、彼らが絶賛する以下の最先端ガジェットを取り入れるのも一案だ。

  • オーラリング : 「私は、身体が持つ自然なリズムに調和するツールを信頼しています。なかでも、睡眠のリズムや疲労の回復度、日中のアクティビティパターンをモニタリングするために『オーラリング』を愛用しています。就寝時間を変えるべきか、あるいはエクササイズのメニューを調整すべきかなど、データに基づいた的確なライフスタイルの改善に役立っています」(パーサウド博士)
  • アポロ ニューロ ウェアラブル : 「手首に装着してハプティック(触覚)信号を発するデバイスです。眠りが浅い段階へ移行した際、この特定の振動が睡眠状態の維持に働きかけ、中途覚醒を防いでくれることが詳細な研究から実証されています」 (ブルース博士)
  • ニューロポッド : 「このデバイスはストレスマネジメントをサポートし、身体のリラクゼーション反応を整えてくれます」(パーサウド博士)
  • オリオン スリープ システム : 「AIを搭載したマットレスカバーとコントロールタワーで構成されています。入眠のプロセスに合わせて身体を温めたり冷やしたりすることで、一晩中深い眠りをキープしてくれます。睡眠は深部体温のサイクルに大きく左右されるので、更年期を迎えて体温変化に悩まされる女性にとっては特に強力なサポートとなるはずです」(ブルース博士)
  • ネクストセンス イヤホン : 「期待の新アイテムです。耳の中で脳波(EEG)を直接測定し、深い眠りを維持するために最適な音楽や特定の周波数を自動で再生するイヤホンです」(ブルース博士)

避けるべきNG習慣

就寝直前のワークアウト

「ホットヨガや高強度の有酸素運動など、深部体温を上昇させる夜のエクササイズは、身体が休息モードへと切り替わるのを遅らせてしまう要因になります」とパーサウド博士は指摘する。「これらの運動は、遅くともベッドに入る2〜3時間前までには終えるよう心がけてほしいですね」

刺激の強いライティング

「私たちの目の網膜の下部にある受容体は、頭上からの強い光を感知すると脳へ“今は昼間だ”というシグナルを送り、覚醒状態を維持させてしまいます」と彼女は解説する。「メラトニンの分泌と身体の自然な休息への移行を促すためにも夜間はより柔らかな、サイドからの間接照明に切り替えるべきですね」

そしてもちろん、ベッドの中で「ネガティブなニュースやSNSを延々とスクロールし続けることの誘惑に打ち勝つことも必須」とパーサウド博士とブルース博士の双方は強調している。就寝2時間以内にスマートフォンなどのデバイスから発せられる強い光やブルーライトを浴びることは脳を過度に覚醒させ、スムーズな入眠を妨げると警告している。

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ナイトタイムのアルコール摂取

「アルコールは深い眠りとレム睡眠の双方において、その質と持続時間を著しく低下させるため、夜間の摂取を避けることが極めて重要です」とパーサウド博士。睡眠のエキスパートたちは総じて、就寝の3〜4時間前からはアルコールの摂取を控えるよう推奨している。

睡眠にまつわるFAQ

自分に必要な睡眠時間を知るためのベストな方法とは

Q. 「8時間睡眠のルール」は本当に万人に当てはまるのか

「一般的にいわれる“8時間ルール”はひとつの有用な指標ではあるものの、必要な睡眠時間には大きな個人差があります」とパーサウド博士。「大半の成人は7〜9時間の睡眠で最高のパフォーマンスを発揮できるといわれていますが、真のバロメーターとなるのは『日中を過ごす自分自身がどう感じているか』です。朝スッキリと目覚め、感情のバランスが整っており、カフェインに頼らずとも深く集中できているのであれば、おそらく自分にとって最適な睡眠時間を確保できている証拠でしょう」

手っ取り早い計算式として、ブルース博士は自身が考案した“スリープカリキュレーターメソッド”を推奨している。「平均的な睡眠サイクルは90分間であり、標準的な一晩の睡眠にはこれが完全に5サイクル含まれている」と彼は解説する。「90分×5回で450分、すなわち7.5時間。自身の起床時間から7.5時間さかのぼって、就寝すべきタイミングを導き出してほしいです」

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Q. 深い睡眠とレム睡眠の違いとは

「深い睡眠とレム睡眠は、どちらも精神的および感情的な健康において極めて重要な役割を果たしています」とパーサウド博士は指摘する。「深い睡眠は身体的な修復をサポートし、脳のグリンパティック系を活性化させます。グリンパティック系とは、蓄積された毒素を洗い流し、長期的な脳の健康を支える、生体本来の浄化プロセスのことです」

ブルース博士もまた、睡眠サイクルの中で心拍数と呼吸数が最も低下するのがこの段階であり、その間に体は組織の修復、骨や筋肉の構築、そして免疫システムの回復を行っているのだと補足する。

一方で、「レム睡眠は入眠から約90分後に訪れ、およそ10分間続く」とブルース博士は語る。「体は完全に休息状態にあるものの、脳波計のデータによれば、脳は覚醒している時とほぼ同じレベルで活動しています。心拍数や血圧も上昇し、閉じたまぶたの裏で眼球が左右に不規則に動く。私たちが夢を見るのは主にこのレム睡眠の最中であり、体は一時的な麻痺状態に陥る。これまでの研究によれば、この麻痺がストッパーとなり、夢の中での行動を現実の肉体で再現してしまうのを防いでいると考えられている。さらにこのレム睡眠のステージは、記憶の定着やクリエイティブな問題解決能力とも深くリンクしているのです」

両エキスパートによれば、夜間のアルコールを控えて就寝時間を一定に保つといった健やかな習慣は、深い睡眠とレム睡眠の双方の質を底上げしてくれるという。くわえて日中の適度なエクササイズは、特にレム睡眠の質を高める強力なサポートになる。

TikTokで話題を集める最新スリープトレンドの真相は?

もしあなたが、就寝前に映画のハンニバル・レクターのごとく自分の口をテープで塞ぐメソッド(マウステーピング)を試そうか迷っているなら、私たちのエキスパートはそれに警鐘を鳴らす。「睡眠という行為を不必要に複雑にするうえ、誰にとっても安全・不可欠な方法というわけではない」とパーサウド博士は説明する。ブルース博士もまた、複数の研究を分析した最新のデータを引き合いに出し、この習慣が睡眠の質にもたらす改善効果はあったとしてもごくわずかであり、むしろ窒息を含む危険な健康リスクを引き起こす可能性があると指摘している。

さらにブルース博士は、SNSでバズを引き起こしたいわゆる“スリーピー ガール モクテル(ノンアルコールドリンク)”についても忠告する。彼によれば「睡眠に対して実効性のある成分は含まれておらず、おそらくただお腹がガスで張るだけの結果に終わるだろう」とのことだった。

Realization : Sam Peters Translation & Text : Nathalie Lima KONISHI

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