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ソメイヨシノの後に満開! 長く春を楽しめる華やかな庭木「ハナカイドウ」とは?

  • 2026.3.26

春の代表格であるソメイヨシノの見頃が終わる頃、木を覆い尽くすほどの淡いピンクの花を咲かせる「ハナカイドウ」。暑さや寒さに強く、初心者でも育てやすい人気の庭木です。秋には紅葉や赤い実も楽しめるハナカイドウの魅力と、上手な育て方のポイントをご紹介します。

ハナカイドウの基本情報

ハナカイドウ
cwn_photo_KOREA/Shutterstock.com

植物名:ハナカイドウ
学名:Malus halliana
英名:Flowering crab apple
和名:花海棠
その他の名前:ネムリバナ(睡花)、カイコウ(海紅)
科名:バラ科
属名:リンゴ属
原産地:中国
形態:低木

ハナカイドウは、バラ科リンゴ属の落葉低木で、原産地は中国です。学名はMalus halliana。栽培適地は北海道南部~九州で、暑さにも寒さにも強く、放任してもよく育ちます。丈夫で育てやすいため、庭木はもちろん盆栽としても古くから親しまれてきました。自然樹高は4mほどになるので、家庭で栽培する場合は剪定によって2mまでに樹高を抑えるとよいでしょう。冬にはすっかり葉を落とす落葉樹で、秋には小さな赤い実がつき、紅葉も楽しめます。

ハナカイドウの花や葉の特徴や開花時期

ハナカイドウ
scott mirror/Shutterstock.com

園芸分類:花木・庭木
開花時期:4月中旬~5月上旬
樹高:150~500cm
耐寒性:普通
耐暑性:普通
花色:ピンク

ハナカイドウの開花期は4月中旬~5月上旬で、花色は淡いピンクです。花茎を長めに伸ばし、径3~4cmほどの花が半開状態で下向きに開花。種類によって一重咲き、半八重咲きがあります。大変花つきがよく、木を埋め尽くすように咲いて見応えがあるので、人気の高い花木です。

また、ハナカイドウの葉は縁にノコギリのようなギザギザがある楕円形です。柔らかく弾力がある枝は剪定がしやすく、盆栽においても高い人気があります。

ハナカイドウの名前の由来と花言葉

ハナカイドウ
traction/Shutterstock.com

ハナカイドウは漢字で「花海棠」と書きます。「棠」は梨という意味があり、「海棠」は海外から伝えられた梨という意味になるそうです。中国では「海棠」の名で通っており、日本にもそのまま伝えられてカイドウとも呼ばれています。また、別名のスイシカイドウ(垂糸海棠)は、花茎を長く伸ばして垂れ下がるように咲く様子から名づけられたようです。

ハナカイドウの花言葉は、「艶麗」「美人の眠り」「温和」「友情」など。中国では昔から親しまれてきた花で、牡丹と並んで美人の代名詞となっています。唐の時代には、玄宗皇帝が酔って眠る楊貴妃をこの花にたとえたことから、「美人の眠り」という花言葉が与えられたようです。

ハナカイドウとミカイドウ

ハナカイドウとミカイドウ
左は下向きに咲くハナカイドウ、右は上向きに咲くミカイドウ。walkdragon&guan zhe/Shutterstock.com

ハナカイドウの近縁種に、ミカイドウ(実海棠)があります。江戸時代にはミカイドウをカイドウと呼んでいたため、混同されがち。ハナカイドウは花が下向きに咲きますが、ミカイドウは上向きに咲くので、これが見分けるポイントです。また、ミカイドウは秋に2cm前後のリンゴのような果実がつき、食用できます。

なお、ミカイドウは近縁種であるノカイドウ、ズミとともに、山野草の愛好家や盆栽愛好家などからミヤマカイドウ(深山海棠/Malus micromalus)の名で呼ばれることもあります。

ハナカイドウの代表的な種類

ヤエカイドウ(八重海棠) Malus halliana‘Parkmanii’

白やピンクの八重咲の花が華やかなヤエカイドウ。ハナカイドウのなかでも特に美しい花を咲かせるため、人気が高い品種です。庭木、鉢植えどちらでも育てられます。

シダレカイドウ(枝垂れ海棠) Malus halliana‘Pendula’

その名の通り、枝が垂れるように育つ独特な品種。垂れ下がった枝からこぼれるように咲く姿が優美で、ヤエカイドウとともに人気があります。庭木や広いスペースの植栽にも用いられます。

ウケザキカイドウ(受咲海棠) Malus beniringo

別名リンキ、ベニリングなどと呼ばれている品種。花がまっすぐ上を向いて咲く、ハナカイドウのなかでは珍しい姿です。茎や葉にもハリがあり、ほぼ直立するように成長します。

ミツザキカイドウ

東北から北海道にかけて分布する品種。別名ズミ、コナシなどと呼ばれています。寒冷で、湿度の高い環境を好むハナカイドウです。

斑入りカイドウ

葉に白い斑が散っている品種。新芽のころが斑が鮮やかに出て、成長するにつれて色のトーンが下がります。薄ピンクの花を咲かせますが、花つきはあまりよくないとされています。          

ハナカイドウの栽培12カ月カレンダー

開花時期:4月中旬~5月上旬
植え付け:12月〜翌年3月
植え替え:1〜2月
肥料:1~2月、5月

ハナカイドウの栽培環境

ハナカイドウ
walkdragon/Shutterstock.com

日当たり・置き場所

ハナカイドウは日当たりのよい場所を好みます。ただし、乾燥に弱いため、強い西日が差す場所は避けて管理しましょう。土が乾きやすい夏場は特に注意が必要です。 一方で、日当たりが悪いと枝がひょろひょろと伸びてしまいます。

耐寒性・耐暑性

ハナカイドウの耐寒性や耐暑性は普通です。品種によっては寒い環境の方が生育によい種類もあり、基本的には戸外で冬越しが可能です。暑さにもある程度は耐えますが、乾燥に弱いため、水切れを起こさないよう注意しましょう。

ハナカイドウの育て方のポイント            

用土

土
blueeyes/Shutterstock.com

【地植え】

植え付けの2~3週間前に、直径、深さともに50cm程度の植え穴を掘りましょう。掘り上げた土に腐葉土や堆肥、緩効性肥料などをよく混ぜ込んで、再び植え穴に戻しておきます。砂質土などの水はけがよすぎる土壌であれば、腐葉土や堆肥を多めにすき込んで土壌改良しておくとよいでしょう。肥料などを混ぜ込んだ後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。

【鉢植え】

樹木用にブレンドされた、市販の培養土を利用すると手軽です。自身で配合土を作りたい場合は、赤玉土4、腐葉土3、黒土3の割合でブレンドするとよいでしょう。

水やり

水やり
Zoom Team/Shutterstock.com

水やりの際は、木の幹や枝葉全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えてください。真夏は気温の高い昼間に水やりすると、水がすぐにぬるま湯になって木が弱ってしまうので、朝かタ方の涼しい時間帯に与えることが大切です。反対に、真冬は気温が十分に上がった日中に行います。タ方に水やりすると凍結の原因になるので避けてください。

【地植え】

植え付け後にしっかり根づいて茎葉をぐんぐん伸ばすようになるまでは、乾いたら水やりをしましょう。根づいた後は、地植えの場合は下から水が上がってくるので、ほとんど不要です。ただし、晴天が続いてひどく乾燥する場合は、水やりをして補いましょう。

【鉢植え】

日頃から水やりを忘れずに管理します。ハナカイドウは乾燥を嫌うので、水切れには注意。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまでたっぷりと与えましょう。また、茎葉がだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサインです。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチして対処することが、枯らさないポイント。特に真夏は高温によって乾燥しやすくなるため、朝夕2回の水やりを欠かさないように注意します。冬は生育が止まり、表土も乾きにくくなるので控えめに与えるとよいでしょう。

肥料

肥料
Vitalii Stock/Shutterstock.com

【地植え·鉢植えともに】

休眠から目覚めて生育が始まる前の1~2月に、緩効性肥料を施します。この時期に与える肥料は、新芽を吹き出すためのエネルギー源となります。

また、開花が終わった5月頃にも緩効性肥料を与え、土によくなじませます。これは、たっぷりと花を咲かせてエネルギーを消耗した木に、体力を回復させる目的で与えるもので、「お礼肥(おれいごえ)」といいます。「たくさんの花を咲かせてくれてありがとう」という気持ちを込めて、肥料をあげてくださいね。                  

注意する病害虫

農薬
Happy_Nati/Shutterstock.com

【病気】

ハナカイドウがかかりやすい病気は、赤星病、うどんこ病などです。赤星病は、葉の表面にオレンジ色の斑点が現れ、次第に大きくなって葉が枯れていき、樹勢も衰えます。見つけ次第葉を処分し、殺菌剤を散布して防除しましょう。

ハナカイドウを栽培する際には、近くにカイツカイブキなどビャクシン類の植物を植えないようにしてください。なぜならカイツカイブキは赤星病の中間宿主となる植物で、病原菌は冬に葉や枝に潜んで春になると胞子を飛ばし、近くのハナカイドウなどの木に寄生して発病するからです。

うどんこ病は、発生すると葉の表面に白い粉が吹いたようなカビが見られます。光合成を阻害されたり、葉から養分を吸収されたりして、生育が悪くなります。放置してひどくなると枯れてしまうこともあるので注意。兆候が見られたら早期に殺菌剤などを散布して対処しましょう。乾燥する時期に発生しやすい傾向にあるので、水もち、水はけのよい土壌づくりと、適切な水やりの管理が回避のカギです。窒素成分の多い肥料を与えすぎるのも、発症のきっかけになります。

ハナカイドウは病気が発生しやすい庭木なので、予防として定期的に殺菌剤などを散布しておくとよいでしょう。

【害虫】

ハナカイドウの栽培で発生しやすい害虫は、アブラムシのほか、ハマキムシやカイガラムシ、カミキリムシなど、害虫の食害にも注意が必要です。

アブラムシは、3月頃から発生しやすくなります。2〜4mm程度の小さな虫で繁殖力が大変強く、発生すると茎葉にびっしりとついて吸汁し、株を弱らせてしまいます。見た目も悪いので、発生初期に見つけ次第こすり落としたり、水ではじいたりして防除しましょう。虫が苦手な方は、スプレータイプの薬剤を散布して退治するか、植え付け時に土に混ぜ込んで防除するアブラムシ用の粒剤を利用する方法もあります。

ハマキムシは蛾の幼虫で、葉や花を食害します。葉をくるくると巻いたり、重ね合わせたりした中に生息して食害し続けるので、見つけ次第除去しましょう。

カイガラムシは木の幹や枝について樹液を吸い、植物を弱らせます。殻を持っており薬剤が効きづらいので、歯ブラシなどで物理的に取り除きましょう。

カミキリムシは木の内部に入り込み、中身を食べる害虫です。食害が発生している場所の周囲にはオガクズが見られるようになるので、見つけたら噴射タイプの薬剤で対処しましょう。

ハナカイドウの詳しい育て方

ハナカイドウ
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苗の選び方

ハナカイドウの苗を選ぶ際は、まず幹の状態を観察しましょう。太くしっかりとした幹を持つ苗がおすすめです。また茎や葉の裏などに病害虫がついていないかもチェックしておきましょう。

植え付け・植え替え

植え付け
SujaImages/Shutterstock.com

ハナカイドウの植え付け適期は、落葉期の12月~翌年3月です。

【地植え】

土づくりをしておいた場所に、苗の根鉢よりも一回り大きな穴を掘り、軽く根鉢をほぐして植え付けます。しっかりと根づくまでは、支柱を立てて誘引し、倒伏を防ぐとよいでしょう。最後にたっぷりと水を与えます。

生育適地の北海道南部以南なら、日本の暑さや寒さに耐え、鉢上げして養生する必要はないので、そのまま植えっぱなしにしてかまいません。

【鉢植え】

鉢で栽培する場合は、8~10号鉢を準備します。用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1~2段分入れてから樹木用の培養土を半分くらいまで入れましょう。苗木をポットから取り出して軽く根鉢をくずし、鉢に仮置きして高さを決めたら、少しずつ土を入れて植え付けます。水やりの際にあふれ出さないよう、土の量は鉢縁から2~3cm下を目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。ハナカイドウがしっかりと根づくまでは支柱を立てて誘引し、倒伏を防ぎましょう。最後に、鉢底から流れ出すまで、十分に水を与えます。

鉢植えで楽しんでいる場合、成長とともに根詰まりしてくるので、2~3年に1度は植え替えることが大切です。植え替えの適期は、1~2月。植え替え前に水やりを控えて土が乾いた状態で行うと、作業がしやすくなります。鉢から木を取り出してみて、根が詰まっていたら、根鉢をくずして古い根を切り取るなどして小さくし、元の鉢に新しい培養土を使って植え直します。もっと大きく育てたい場合は、元の鉢よりも大きな鉢を準備し、軽く根鉢を崩す程度にして植え替えてください。          

剪定・切り戻し

剪定
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ハナカイドウは剪定や切り戻しをすることで、花芽が増えて花つきがよくなります。また枝の数を減らすことで、株の風通しがよくなり、病害虫も発生しにくくなります。

剪定時期は冬、梅雨~初夏です。冬は枯れ枝や、交差している枝、並行して伸びている枝などを枝元から切ります。夏は徒長している枝を切り戻しましょう。ジグザグに伸びるように計算して選定すると、バランスよく伸びます。

夏越し・冬越し

ハナカイドウは強すぎる日差しに当てると弱ってしまう恐れがあります。夏は一日中、太陽が当たる場所を避けて、ほどほどに日が当たる場所で管理しましょう。風通しがよく、湿度がこもらない環境も重要です。

冬は基本的に戸外での管理で問題ありません。ただし、寒冷地など気温が下がる地域では、幹や枝を不織布などで覆い、防寒対策を行うと安心です。

増やし方

ガーデニング
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ハナカイドウは挿し木で増やすことができます。

插し木とは、枝を切り取って地面に挿しておくと発根して生育を始める性質を生かして増やす方法です。植物の中には挿し木ができないものもありますが、ハナカイドウは成功率は低いものの、插し木で増やすことができます。

ハナカイドウの挿し木の適期は、6~7月です。その年に伸びた新しい枝を10~15cmほどの長さで切り取ります。成功率が高いわけではないので、多めに挿し木をしておくとよいでしょう。採取した枝(挿し穂)は、水を張った容器に1時間ほどつけて水あげしておきましょう。その後、吸い上げと蒸散のバランスを取るために下

葉を数枚切り取ります。3号くらいの鉢を用意してゴロ土を入れ、新しい培養土を入れて水で十分に湿らせておきます。培養土に穴をあけ、穴に挿し穂を植えて土を押さえてください。発根するまでは明るい日陰に置いて管理します。その後は日当たりのよい場所に置いて育苗し、大きく育ったら植えたい場所に定植しましょう。插し木のメリットは、親株とまったく同じ性質を持ったクローンになることです。

ハナカイドウが咲かない原因は?

ハナカイドウ
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花芽を落としてしまった

ハナカイドウの花が咲かない理由としてまず挙げられるのは、剪定や切り戻しの際に花芽を落としてしまうことです。花が咲いた直後の6月中旬頃、来期咲く花芽ができるので、花芽のついた枝を切り落としてしまわないよう注意しましょう。

また開花時期である春に剪定を行うと、木の成長を妨げてしまうことがあります。前述したとおり、剪定は冬もしくは花芽ができる直前の梅雨~初夏がおすすめです。

日照不足

日照不足も、ハナカイドウの花が咲かない一因です。ハナカイドウは日当たりのよい場所でよく育つので、半日陰や日陰で管理していると、花つきが悪くなります。地植えで花が咲かない場合は、植え替えて場所を移してみるのも一つの方法です。

病害虫による被害

剪定や日照不足に原因がない場合、病害虫による被害の可能性もあるでしょう。病害虫により木が弱ると、花を咲かせる元気もなくなってしまいます。葉の裏や幹、枝などをつぶさに観察して、木の健康状態をチェックすることが大切です。

ソメイヨシノより長く春を楽しめるハナカイドウ

ハナカイドウ
walkdragon/Shutterstock.com

ハナカイドウは、ソメイヨシノが終わる頃から開花し始め、満開時には爛漫な咲き姿を楽しめる華やかな花木です。ソメイヨシノと一緒に植えて、開花リレーを楽しむのもいいですね。開花、新緑、結実、紅葉と、季節によって表情を変えるハナカイドウを庭に取り入れ、四季の移ろいを感じられる演出をしてはいかがでしょうか。

Credit
文 / 3and garden

スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。「ガーデンストーリー」書籍第1弾12刷り重版好評『植物と暮らす12カ月の楽しみ方』、書籍第2弾4刷り重版『おしゃれな庭の舞台裏 365日 花あふれる庭のガーデニング』(2冊ともに発行/KADOKAWA)発売中!

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