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「アレルギーじゃないけど、心配なんです」診断書は無し。親心とルールに挟まれた『保育士の葛藤』

  • 2026.3.26

アレルギーの診断はない。でも「牛乳を飲むと痒くなる気がして」。以前、筆者の職場である保育園で起きた、医師の診断なしに個別対応を求め続ける“自然派ママ”と、市の規約の間に挟まれた保育士のリアルをお届けします。

画像: ftnews.jp
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「お弁当を持参したいんですが」

入園前の面談で、B子ちゃんのお母さんは開口一番こう切り出しました。

「うちは食にこだわっていて、砂糖や添加物を避けているんです。できれば毎日お弁当持参にしたくて」

給食は園の大切な保育のひとつであり、集団生活における食育の場でもあります。
お弁当持参が認められるのは、原則として医師の診断に基づくアレルギー対応の場合のみです。
保育士がその旨を丁寧に説明すると、お母さんは少し考えてからこう言いました。

「実は、牛乳を飲むと痒くなることがあって。病院には行っていないんですけど、たぶんそうだと思って……」

診断書は、ない

この時点では、まだ医師による診断書はありませんでした。
市の規約では、医師の診断なしに特定の食材を除去したり、個別対応を行ったりすることは、安全管理の観点から認められていません。

翌週、お母さんは再び園を訪れました。

「小麦も気になっていて」
「卵も、なんとなく心配で」

わが子を思うがゆえの不安が、次々と膨らんでいるようでした。

板挟みの保育士

しかし、市の規約は明確です。アレルギー対応には医師の診断書が不可欠です。
これは単なる「決まり」ではなく、万が一の誤食事故を防ぎ、医学的根拠に基づいた適切な栄養管理を行うため、そして何より子どもの命を守るための絶対的なルールなのです。
保育士がいくら親身になっても、覆せないルールがあります。

「病院で一度検査されてみてはいかがでしょう? お母さんの『心配』を、診断書という形で『見える化』していただければ、私たちも責任を持って、安全に配慮したサポートができます」

保育士が提案するたびに、お母さんは「そうですね〜」と笑顔で答え、また別の食材への懸念を携えてやってきました。

“こだわり”と“ルール”の間で

食にこだわり、わが子の健康を願う。その根底にあるのは、間違いなく切実なまでの親心です。

しかし、集団生活の場である保育園には、すべての子どもの命を預かるための『公平で揺るぎない物差し』が必要でした。医師の診断書という、目に見える確かな根拠。それは保育士を縛るためのルールではなく、お母さんの不安を、私たち保育士が責任を持って背負い直すための、大切なバトンなのだと感じます。

心配があるなら、まず病院へ。

食卓を囲む喜びを、お母さん一人に背負わせないために。医師の診断という確かなものが、私たち保育士とお母さんを、本当の意味での『チーム』に変えてくれるのだと信じています。

【体験者:30代・筆者、回答時期:2026年3月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:K.Matsubara
15年間、保育士として200組以上の親子と向き合ってきた経験を持つ専業主婦ライター。日々の連絡帳やお便りを通して培った、情景が浮かぶ文章を得意としている。
子育てや保育の現場で見てきたリアルな声、そして自身や友人知人の経験をもとに、同じように悩んだり感じたりする人々に寄り添う記事を執筆中。ママ友との関係や日々の暮らしに関するテーマも得意。読者に共感と小さなヒントを届けられるよう、心を込めて言葉を紡いでいる。

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