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同期「顔は分かるけど名前は分からない…」新卒同士の花見で起きた救急要請。救急隊員も思わず絶句した“現場の状況”とは…

  • 2026.4.9
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出典:photoAC ※画像はイメージです。

こんにちは。ライターのとしです。

春の花見会場で、20代男性の飲酒後の体調不良による救急要請が入りました。

その場にいたのは新卒同士で集まっていた若い人たちでしたが、いざ接触してみると「顔は分かるけれど、詳しいことは知らない」という状態で傷病者の情報がほとんど集まりませんでした。

さらに付き添える人もおらず、受け入れ先の調整にも苦労した現場です。

今回は大事に至りませんでしたが、人が集まる場所で情報が分からないまま対応する難しさを強く感じました。

まず傷病者がどこにいるのか分からなかった

要請場所は、公園の花見会場でした。

春らしいにぎわいがある一方で、人が多く、どこに傷病者がいるのかがすぐには分かりませんでした。

通報者と連絡を取りながら現場へ向かいましたが、その通報者自身も飲酒していて説明があいまいでした。

ようやく接触できた傷病者は20代の男性で、飲酒後に具合が悪くなったとのことでした。

ただ、本人もろれつが回っておらず、会話ははっきりしません。

人が多い場所なら、誰かがすぐ案内してくれそうに思うかもしれません。

でも実際は、似たような集まりが周囲にいくつもあって、目印も少なく、傷病者の特定だけで時間を使うことがあります。

顔は分かっても必要な情報を知る人がいなかった

その場にいたのは、新卒で集まっていた若い人たちでした。

同じ場で飲んでいても、まだ関係は浅く、傷病者について分かるのは「顔は分かる」「同じ集まりに来ていた」という程度です。

名前もはっきりしない。住所も分からない。持病や家族の連絡先も分からない。

話を聞いても、「今日しっかり話したのも初めてに近い」という空気でした。

人はいるのに、必要な情報を持っている人がいない。

この状況は、思っている以上に対応を難しくします。

普段なら困らない距離感でも、いざ救急対応が必要になると、その差が一気に大きくなるんですよね。

付き添い不在に加えて、受け入れ調整も難しかった

難しかったのは、情報だけではありませんでした。

最後まで付き添える人がいなかったんです。

医療機関へ連絡しても、付き添いがいなければ難しいという返答は少なくありませんでした。

その日は入院ベッドが満床の医療機関もあり、調整はいつも以上に難航しました。

最終的には、警察官の立ち会いで身元確認を進め、必要であれば警察対応を引き継ぐ形で受け入れ可能となりました。

診察や処置のあとも、自力で帰すのは難しい状態と判断され、医療機関へ警察官を要請して引き継ぐ流れになりました。

救急車を呼べばそこで終わりではなく、その先にも受け入れ先の事情や付き添いの有無など、いくつもの壁があります。

現場では、その一つひとつを埋めながら進めていくことになります。

人が集まる場所ほど支えられる人がいるかが大事になる

花見のような場は、楽しい時間になりやすいですよね。

その一方で、誰かが体調を崩した時に、誰が付き添うのか、誰がその人の情報を伝えられるのかまでは、あまり意識されないこともあります。

今回の現場では、まさにそこが大きな壁になりました。

今回は大事に至りませんでしたが、人が集まる場所で、傷病者のことをよく知る人がいない状態は、それだけでかなり厳しいものです。

その場に人が多いことと、必要な時に支えられる人がいることは別なんだと感じました。

春は花見や歓迎会が増える時期です。

にぎやかな場ほど、もしもの時に誰が動けるのか、最低限どんな情報が分かるのかで、その後の流れは大きく変わります。

そんなことをあらためて感じた現場でした。


ライター:とし
元救急隊員。消防で17年、主に救急隊として活動し救急救命士資格を取得。現場経験をもとに、救急の分かりにくい部分を一般向けに噛み砕いて発信しています。  


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