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バスを止めるために『杖』を突き出す高齢者。注意すると…直後、放った一言に元運転手「本当にやめて…」

  • 2026.4.19
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こんにちは。送迎バスの運行管理やバス運転士の経験を持つVenus☆トラベルです。

バス停に停車する直前、急ブレーキを踏むと車内はどうなるか想像できるでしょうか。中型バスや大型バスはエアブレーキといって、軽く踏んだだけでも強いブレーキがかかります。

つまり、急ブレーキ状態となり、乗客のなかには怪我をする人が出るリスクが高まります。

今回は、私が送迎バスの運行に携わっていたときに起きた、「あわや大惨事!」と感じた出来事を紹介します。乗客と運転士の視点には、大きな認識の違いがあることに気づいていただきたいと思います。

突き出された杖と急ブレーキの回避

バスを待つとき、路線バスならバス停、送迎バスなら決められた場所で待つことが多いでしょう。10年程前、私が不特定多数の方が乗車する市内循環バスの運行をしていたとき、バス停の少し手前で待つ高齢者を発見しました。

杖をつき、バスの方に視線を送っていたため、私はすぐに乗客だろうと判断しました。そこで、普段よりも少し手前から速度を落とし、バス停に近づき停車の準備に入りました。

しかし、そこで思わぬ出来事に遭遇します。停車しようとした直前、高齢者は車道側に向けて杖を突き出したのです。

当時、運行していたのはエアブレーキ搭載の中型バスでした。少しブレーキをポンピングしただけでも、バスの車体が前後に大きく揺れるほどの衝撃があります。

そんなバスの前で突然高齢者に杖を突き出されると、高齢者との接触に加え、車内事故のリスクが頭をよぎりました。私は、咄嗟の判断でバックミラーで車内を確認し、急ブレーキを避けながら停車しました。

バスの急停車は運転士も怖い

時速30km程度まで減速していれば、5メートル先で停車しようとする場合、乗用車なら急停車になる可能性はありません。しかし、エアブレーキのバスだと急ブレーキになってしまいます。

バックミラーで車内確認をすると、降車する乗客がすでに座席から立ち上がっている姿が目に入りました。乗客と高齢者、双方の安全を守らなければならず、ハンドルを車道側へ向けつつ、可能な限りブレーキをかけました。

もちろん、そのとき瞬時にサイドミラーで後方を確認し、他車の有無を把握していました。当時の行動を振り返ると、瞬間的な対応は日頃の意識やクセが功を奏したと、今でも感じています。

しかし、バスの運転で急ブレーキとなる場面は、運転士が一番怖い思いをしていると思っても過言ではありません。乗客の命を預かるのが運転士の仕事です。だからこそ、危険を予測して回避しなければならないのです。

杖を突き出した高齢者の意図に驚きを隠せなかった

バスが急停車するまでの、時間にしてわずか2~3秒の出来事でした。ほんの一瞬でしたが、今でも思い出すだけで冷や汗が出るほど怖かったことを覚えています。

幸いにも、杖を持った高齢者に接触することなく、乗客への負担も少なくすみました。しかし、高齢者の行為はあまりにも危険なものです。

そのため、高齢者が乗車する際に「杖を車道側に向けると、バスと接触する可能性があり危険です。それだけはやめてください。」と伝えました。しかし、高齢者からは思わぬ返答がありました。

「バスに当たる前に杖はどける」

乗客からすれば、「危険ではない」と思えることでも、バスの運転士は「最悪の事態」を想定して咄嗟の行動を取ります。「手の代わりに杖をあげた」と言われれば、致し方ないとも思える行動です。

しかし、突然目の前で杖をあげられたら、おそらく一般車両であっても驚いてブレーキを踏むはずです。運転中は、咄嗟の判断ミスが大きな事故に繋がることが多いものです。

バスを待つときは、公共の場における安全を守るためにも、車道に向けたパフォーマンスは本当にやめてほしいものです。

危険行為は「誘因事故」にあたることも

高齢者は「当たる前に杖は下げる」と言っていましたが、接触がなくても、相手の回避行動によって損害を与えた場合は『誘因事故(非接触事故)』として交通事故として扱われ、法的責任を問われるケースがあります。

一時は「あおり運転」でも誘因事故としてニュースに取り上げられたように、事故に繋がるような行為は大変危険です。元バスの運転士としても、バスを待つ際は危険な行為を避けて欲しいと思います。


ライター:Venus☆トラベル

近畿地方でバスの運転に関わる仕事に携わって約12年、多くの送迎バスを運転しました。幼稚園や自治体、企業や施設など、それぞれの場所で学ぶことが多くありました。その反面、運転士視点で感じた心の声をリアルにお届けします。


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