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「食事中なのにリクライニングを戻してくれない!」乗客同士が激しい口論…元国際線CAが見た一部始終…

  • 2026.4.19
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

みなさま、こんにちは。元国際線CAの、かくまるめぐみです。

飛行機や新幹線などをご利用になる際に「リクライニングを倒してもいいのかな?」「後ろの人に声をかけた方がいいのかな?」と悩まれる方は多いのではないでしょうか。

機内という密閉された空間では、誰しも「快適さ」を求めるがゆえに、リクライニングをめぐって摩擦が生まれることも少なくありません。

なかでも、CAとして特に神経を尖らせていたのが、食事中のリクライニング問題です。

今回は、元国際線CAの私が実際に経験したリクライニングをめぐるお客様同士の口論と、その驚きの舞台裏のエピソードをご紹介します。

機内食サービス直後に響いた怒号

担当するお客様全員にお食事を配り終え、これからコーヒーを持って客室を巡回しようとしていた矢先でした。

客室後方から、何か言い争うような大きな声が聞こえてきたのです。慌てて駆けつけると、そこには険しい表情をされた、前後に座る二人のお客様の姿が。

後ろにお座りの方はお食事中で、「食事をしているのに、リクライニングを戻してくれないんです!」と訴えられていました。

一方で、前の座席にお座りのお客様は「疲れているのだから、リクライニングを倒して寝かせてほしい。何が悪いんですか」と、こちらもまったく引く気配がありません。

状況を整理すると、前席のリクライニングが倒されていることでシートピッチが狭くなり、ご不満を感じたお食事中のお客様が、前の席のお客様と口論に発展してしまったというわけです。

しかし私は「あれ?」とすぐに違和感を覚えました。というのも、同僚CAがこのお休みになっていたお客様に、背もたれを戻すよう声をかける姿を反対側の通路から見かけていたからです。

「起こすべきか、起こさざるべきか」CAが直面する葛藤

私が勤務していた航空会社では、お食事をお配りする際にリクライニングされているお客様には、背もたれを元の位置に戻していただくようお声がけしていました。

しかし、大きな葛藤もあります。それは、熟睡中のお客様を起こしてまでお声がけすべきかどうか、という問題です。

国際線フライトでは、時差調整のためにゆっくり寝たい方や、到着地での商談に向けて機内では睡眠時間を確保されたい方が多くいらっしゃいます。

そういった方の中には、機内食をキャンセルして休まれる方も珍しくないのです。

ですから、熟睡されているお客様に対して、無理に起こしてまでお食事を提供することはありません(お食事をお出ししなかったお客様の座席番号は控えておきます)。

ただ、そのままでは後ろに座る方のシートピッチが狭くなってしまうため、お休み中でも「リクライニングを戻していただけますか?」とお声がけするかどうか、悩みどころとなります。

お客様には機内でゆっくりお休みになっていただきたい気持ちはありますが、後ろに座るお客様には、前から倒れてくる背もたれの圧迫感なくお食事を楽しんでいただきたい……CAとしてどのように対応するのが正解なのか、本当に葛藤する場面の一つです。

【真相】再び倒れてきたシート…そして口論へ

騒ぎを聞きつけ、このお客様方を担当したCAもすぐに駆けつけました。

このCAによると、後ろに座るお客様に前のお客様はお休み中のため、このままでもよろしいでしょうか?」とお伺いしたけれど「食事中なので、それは困ります」と、ご納得いただけなかったとのこと。

そこでCAは、やむなくお休み中だった男性にお声がけし、リクライニングを戻していただくようお願いしました。

寝ているところを起こされて明らかに不満そうな表情ではあったものの、渋々シートを戻し、再び目を閉じられたそうです。

まさしくこれは、私が反対側の通路から目撃していたシーン。一件落着に見えましたが、実はこれが口論への伏線となっていました。

どうやらお休み中だったお客様は、しばらくしてから再びリクライニングを倒されていたようです。

後ろに座るお客様は、お食事中に再びシートが迫ってくるストレスに耐えかね、思わず背もたれを手で押し返すような行動に出てしまいました。

そして、後ろからシートを押され、睡眠を妨害されて立腹した前席のお客様も感情を爆発させ、双方の口論へと発展してしまったのです。

CAとしてできることは、まず両者のお話をじっくり聞くことでした。どちらの言い分もよく理解できます。

前席のリクライニングで食事スペースが狭くなるストレスは、実際に経験した方なら分かるはず。

一方で、長時間のフライトでようやく眠れたときに起こされる辛さも、決して軽視できるものではありません。

空席の多いフライトであれば、どちらかにお座席を移動していただくという解決策もあります。あいにくこのフライトはほぼ満席で、席の移動という選択肢はとれませんでした。

両者の怒りが落ち着くまで根気よく話を聞き、お食事が終わるまでの間だけリクライニングを戻していただくという形で、どうにか場を収めることができたのです。

機内でも新幹線でも…リクライニング問題が消えないわけ

リクライニングのマナー問題は、何も飛行機に限った話ではありません。新幹線でも同様の議論がたびたび話題になります。

それだけ「自分の快適さ」と「相手への配慮」のバランスは、日常のさまざまな場面で問われているということでしょう。

機内でこの問題が特にシビアなのは、国際線ともなれば10時間以上という長い時間を、見知らぬ人と前後・隣り合わせで過ごさなければならないためです。少しでも快適に過ごしたい、という気持ちはみなさん一緒。

ですから、お互いに少しずつ譲り合う気持ちがなければ、狭い空間での長旅はあっという間にストレスがたまり消耗戦になってしまいます。

CAがどれだけ間に入ったとしても、双方が心から納得できる解決策を見つけるのは、正直なところ非常に難しいのが現実です。

だからこそ、最終的に頼りになるのはルールではなく“一人ひとりの思いやり”なのだと、このトラブルを経験して改めて感じました。

飛行機をご利用の際には、ぜひ周りの方への思いやりを忘れずに、快適な空の旅を過ごしていただけたら幸いです。


ライター:かくまるめぐみ
大学卒業後、日系航空会社に客室乗務員として入社。国際線をメインに乗務し、世界中を飛び回る。結婚を機に退職し、イタリアへ移住。現在も家族とともにイタリアに在住し、Webライターとして活動。客室乗務員の経験から培った「細やかな心配り」を大切に、コラム記事からSEO記事まで幅広く執筆中。


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