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「昨日届くはずの荷物はどうなってるの!」と怒るも“住所の確認”を拒む客。配達員が途方に暮れていると…発覚した客の“思わぬ勘違い”

  • 2026.5.31
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出典:photoAC ※画像はイメージです。

皆さんこんにちは、元宅配員のmiakoです。

オンラインショッピングが日常的になってきている現代ですが、ネットで商品を頼んだけれど、お届け予定日になってもなかなか届かなかった、なんてトラブルを経験されたことはありませんか?

宅配業者や宅配員に直接問い合わせをして「この後行く予定です」と伝えられたものの、なんとなくモヤモヤしてしまったという経験をされた方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、「荷物が届かない」という背景には、宅配員だけではどうしようもなかった理由も多くあります。

ネット通販が広がる一方で増える不安

インターネットショッピングは、現代人である私たちにはなくてはならないほど、必要不可欠な存在になりつつあります。

総務省の調べによりますと、ネットショッピングの利用割合は年々増加をたどり、日本の人口の約7割以上の人がオンラインショッピングを利用したことがあり、日常的に利用している世帯も6割近くという統計が見られています。

24時間、自分の好きなタイミングで家に居ながら欲しいものを注文でき、数日以内に手元に届くこのサービス。

物があふれるこの時代で、欲しいものを探しやすく、時には実店舗より安く購入できるという点や、重たいものも玄関先まで届けてくれるという便利さも、現代のニーズにとても合っているのでしょう。

ただ、そんな手軽さの中でも見落としがちなことがあります。

メリットがあればデメリットもあるのと同じで、便利だからと安易に利用すると、悪質サイトに気づかず、『個人情報の漏洩』や詐欺被害に遭ってしまったというニュースやクチコミを知って、不安を感じてしまったりと、スムーズに利用できなかったお客様もいまだに残っています。

ネットでの買い物は、見えない相手とのお取引です。
特に初めて利用する通販サイトに対しては、約3割の人がセキュリティに不安を感じるという結果も見られています。

今回、私が担当したT様も、スムーズにお荷物がお届けできなかったお客様のおひとりでした。

住所は分かるのに届け先がわからない

私たち宅配員は、荷物を専用端末で管理します。

荷物が届くと、まずは伝票情報を端末に読み込ませて荷物を持ち出します。
そこまではスムーズでした。

しかし、登録されている住所である現地に着いて困惑しました。
そこはいわゆる団地。5階建ての集合住宅が複数連なって建っています。

もう一度伝票を確認しましたが、パッと見た感じでは一軒家の番地のようで、実際はこの団地の代表番地でした。

問題は、どの棟のどのお部屋にお住まいなのか。
肝心な情報が抜けていたのです。

流石に全部の部屋を巡って確認することはできません。

まずはお客様の元へ、直接確認をしようと、登録された電話番号へ連絡をしてみました。
電話を掛けると、数コールで繋がりました。

「こんにちは。宅配便なのですが、T様の携帯電話でよろしいでしょうか」
「いえ、違います」

慌てて謝罪をして、お電話を切りました。
登録されている電話番号が違っていたのです。

これでは確認の取りようがありません。

仕方なくこの荷物は一旦営業所へ持ち戻り、事務所から通販サイトへ、そして通販サイトから受取人ご本人へ、正しい住所の連絡を確認するための「調査」という状態になりました。
早ければ当日中、時間が掛かれば数日、この荷物はこのまま保管されます。

この日は連絡が入ることはありませんでした。

翌日、怒り気味のお客様から電話が

翌日のことです。
配達の途中で、私の携帯電話に一本の電話が入りました。

「あの!昨日届くはずの荷物がまだ届かないんですけど、どうなってるんですか?」

女性のお客様の声でした。
声の様子からして怒っているような、イライラしている感じが伝わります。

私は冷静に対応するために、なるべく落ち着いた声で尋ねました。

「恐れ入りますが、お名前とご住所をお願いします」
「え?これ匿名配送にしてあるんですよ。なんで教えなきゃいけないんですか?」

ここでお名前とご住所をお伺いするのは、長年の経験で、お名前とご住所の両方がわかればある程度荷物が絞れるからです。
お名前だけでは同姓同名の方と間違えてしまい、ご住所だけでは近隣の方と間違えてしまう可能性もありました。

ただ、プライバシーという点から、他人に住所を伝えることに慎重になるお気持ちも理解できます。

伝票に、住所や名前の表記をしないといった、宛名印字を隠すサービスをする通販サイトもありますが、基本的に荷物の情報を端末に読み込めば、端末上にその荷物の住所氏名が一時的に共有されて表示されるので、お届けができるのです。

最終的に住所と氏名が分からなければ、宅配員はお届けができません。

荷物を持ち出した時のお客様情報は、その日のうちだけ端末に登録されます。
その日の業務を終了すると荷物のデータは端末から消去されるため、翌日以降にお届けする際は、再度情報を登録して管理をしています。

しかし、警戒するお客様のお気持ちもわかりますので、もう一つの情報を伺うことにしました。

「申し訳ありません。それでは伝票番号はお分かりになりますか?」
「それなら…」

そう言って、伝票番号を教えてくださいました。

すぐに端末で荷物の情報を調べると、昨日営業所に保管されているとなっています。
保管された時間帯を見て、私の中で前日の団地の荷物が頭に浮かびました。

「恐れ入りますが、〇〇団地にお住まいのお客様でしょうか」
「…そうですけど」
「ご連絡ありがとうございます。お荷物のお間違いがないように、お名前もお教えいただきたいのですが」

しぶしぶといった形で、お名前を教えてくださいました。

やはり、昨日私が担当したT様でした。

「匿名配送=住所を教えなくていい」という誤解

「こちら、差出人様からもご連絡があったかと思いますが、お住まいの建物番号とお部屋番号が登録されていなかったため、昨日お届けができませんでした。また、ご登録いただいていたお電話番号にもご連絡したのですが、こちらは違う方に繋がってしまったのも、昨日のうちにお届けができなかった理由です」

「でも、匿名配送になってますよね?なんでわからないんですか?」

T様のご質問にハッとしました。
もしかしたら、「匿名配送」というサービスに誤解をされているのではないかと感じたのです。

まずは匿名配送とはどういうサービスなのか、簡単に丁寧にご説明しました。

「大変申し訳ございません。匿名配送は、フリマサイトなどで双方の住所が知られることのないようにされたり、本来伝票に記入されるご住所の表示を隠したりするシステムです。ただ、お届けする宅配業者としては、お客様のご住所の共有が無ければお届けすることができないのです」

どうやらT様は、利用サイトにきちんと情報を登録しなくても、宅配業者には何かしらの方法で住所を知ることができると思っていたご様子でした。

宅配業者側が住所を把握していることもですが、匿名配送というサービスへの誤解があったと理解ができました。

私たち宅配員は、仕事柄、お客様の家やお名前をある程度覚えます。
それは、頻繁にお届けするお客様であったり、覚えやすい特徴があるお客様だったりと、何度も積み上げた経験によるもので、その経験によって多少の住所の記載ミスをフォローできることもあります。

しかし、私たちは万能ではありません。
住所の情報があったからと言っても、慣れていない家や地域の場合、その住所にスムーズにたどり着けるわけではありません。
宅配員がお客様の元へたどり着けるのは、経験による大まかな土地勘や、ネットで公開されている住宅地図アプリなどの情報によるものです。

どの建物にだれが住んでいるのか、全て網羅するなどできません。

今回、私自身がT様の荷物を預かるのは初めてであり、そこは集合住宅でした。
プロとしては「きちんとした情報を得るまでは動かない」が最良の判断でした。

何度かお伺いした家であっても、プロの勘とばかりに思い込みで届けてしまい、やっぱり間違えた、なんてことがあっては、笑って済ませられない問題になります。
どんなに頻繁にお届けするお客様であっても、毎回しっかりとした住所の番地と、建物名や部屋番号まで必要です。

そして、同じ代表住所である集合住宅では、部屋ひとつ違うだけで全くの赤の他人の元へ届けてしまうことになり、それこそ情報漏洩や、荷物の誤配達・紛失などの大きな問題に発展してしまうのです。

安心できる受け取り方はひとつではない

改めて、荷物の案内をすることにしました。

「荷物のお届けに関してですが、直接T様のお宅へお届けする場合は、ご住所をお部屋番号までお教えいただくことになります。もしそれが難しいようでしたら、営業所へ直接来ていただいてお引き取りされるか、宅配ロッカーなどをご利用いただく方法もございます」

宅配ロッカーは駅やコンビニ、スーパーなど、決められた場所に設置されている、24時間受け取れる設置型ロッカーです。
ロッカーに入るサイズで空きがあれば、だいたいの宅配業者の荷物を受け取ることが可能です。

ただし、これを利用するには、あらかじめご自身で手続きが必要になります。
大体は、宅配便のアプリや通知から「配達先変更」の操作の際に受け取り指定をしてお客様自身で取りに行くのです。

また、近隣の「営業所止め」に変更して受け取れば、宅配員が家を訪れることもありません。
ただし、荷物の通知や営業所からの連絡が入ることがあるので、お電話番号はお間違いなく記入いただきたいのと、受け取る時にご本人確認のできる身分証が必要になります。

「そうなんですね。今回はちょっと取りに行く暇がなくて、今日中に欲しいので届けて欲しいです。でもまだ家に居ないので、玄関前に置き配でもいいですか?」
「かしこまりました。お天気も問題ありませんので、本日中に玄関前への置き配で対応させていただきます。それでは、ご住所を改めてお教えください」

お話しているうちに、T様も落ち着きを取り戻され、最終的にはしっかりとしたご住所を教えていただくことができました。

その日のうちに、T様のお宅へ無事に置き配でお届けすることができました。

安心して受け取るために

個人情報を守りたいという気持ちは、宅配員としてもよく理解できます。防犯のために警戒されている方もいれば、購入したものや差出人を知られたくないという方もいらっしゃいます。

ただ、お届けするために、正確な住所と連絡先が必要です。
匿名配送はプライバシーを守る便利なサービスである一方で、利用するサイトへの情報登録がきちんとされていることが、スムーズなお届けの前提になっています。

最近では、LINEでのお届け通知など、直前まで住所や名前を特定せずにやり取りできる仕組みを整えている宅配業者も増えています。
また、宅配ロッカーでの受け取りも、プライバシーを守る方法のひとつです。事前に届くお届け通知から受取先の変更もできますので、ぜひご活用ください。

ネットショッピングをもっと安心して、もっと気持ちよく利用していただけるように。

宅配員たちは今日も、お客様の気持ちに寄り添いながら、これからも荷物とともに笑顔がつながっていく宅配の未来を願っています。



ライター:miako
宅配ドライバーとして10年以上勤務した経験を生かし、現場で出会った人々の温かさや、働く中で積み重ねてきた"宅配のリアル"を、経験者ならではの視点で綴っています。
荷物と一緒に交わされてきた小さなエピソードを、今は文章としてお届けしています。


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