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医師「いつの間にか進行する」→実は『脳梗塞』の隠れサインかも…“ただの疲れ”と放置しがちな「目の変化」とは?

  • 2026.5.7
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出典元:photoAC(※ 画像はイメージです)

ふとした瞬間に感じる「まぶたの重み」や「かすかな違和感」。多くの人が「ただの疲れ」や「寝不足」として片付けてしまいがちではないでしょうか。しかし、その身体の小さな異変が、脳からの重大な警告サインであるとしたら……。

実は脳梗塞には、私たちが気付かないうちに静かに進行するタイプが存在します。「なぜ、まぶたに異常が出るのか?」「いつの間にか進行するメカニズムとは何か?」という疑問を抱えている方も多いはずです。

今回は、急性期病院で専門的な治療に携わる麻酔科医の松岡雄治さんに、脳梗塞が進行する背景と、私たちが明日から実践すべき早期発見の術について詳しく伺いました。違和感を感じた「その時」の行動が、あなたの未来を左右します。ぜひ最後までお読みください。

「ただの疲れ」じゃない?脳梗塞が「いつの間にか」進行する理由

---脳梗塞が「いつの間にか」進行するという話は怖いですが、どのようなメカニズムで起こるのでしょうか?また、なぜまぶたに異変が出やすいのですか?

松岡雄治さん:

「脳梗塞が『いつの間にか』進行する背景には、無症候性脳梗塞という私たちが気づかない病変の存在があります。

つまり、明らかな発作がなくても、脳の深部の血管障害は経過とともに年々進行しているということです。さらに、こうして起きた血管の異常が改善することは基本的にありません。

この自覚症状のない血管の異常の蓄積こそが、将来のいわゆる『脳梗塞』の発症につながっているのです。つまり、『脳の奥深くで小さな血管障害が静かに積み重なって、あるとき症状を呈するほどの脳梗塞が発生する』これが、いつの間にか進行するメカニズムです。

また、まぶたに症状が出やすいのは、脳梗塞の初期症状として、顔の片側の筋肉が麻痺する「顔面神経麻痺」が起こることがあり、顔の半分がダラリと下がることで、結果として「まぶたが重く垂れ下がった」と感じるためです。
また、脳幹などの梗塞により、まぶたを開け閉めする「動眼神経」が麻痺してまぶたが下がる(眼瞼下垂)こともあります。

※脳卒中とは脳梗塞(脳の血管が詰まる病気)と脳出血(脳の血管が破れて出血する病気)を総称した言葉です。」

「小さなボヤ」を見逃さないで

---まぶたの重みや痙攣を「疲れ」と自己判断して放置すると、どのようなリスクがあるのでしょうか?

松岡雄治さん:

「まぶたの重みや痙攣を『単なる疲れ』と自己判断して放置すると、数日以内に本物の脳卒中を発症し、一生残る後遺症を抱える危険があります。

まぶたの症状は数分から数十分で自然に消える可能性があります。これは、一時的な血流不足で起きる一過性脳虚血発作(TIA)によるものです。疲労や寝不足で片付けられがちですが、TIAは脳梗塞のリスクが高いことを意味しているので、放置すると本物の脳梗塞を発症するおそれがあります。

さらに、まぶたの症状が脳出血のサインのこともあります。脳出血は、血管が詰まるのではなく、血管が破れて出血する病気です。少量の脳出血によって、動眼神経の麻痺が生じていることもあるのです。これも見過ごすと、くも膜下出血として大きな出血に至る可能性があります。

『脳の血管の病気になるような年ではない』『疲れているのかもしれない』『しばらく休めば治るだろう』という正常性バイアスによって、受診が遅れてしまうことがあるため、違和感を感じたら、ためらわずに神経内科や脳神経外科を受診してください。」

今日からできる備え。脳梗塞を防ぐ「毎朝30秒」の習慣

---脳卒中を早期発見するために、私たちが明日から実践すべき具体的な行動はありますか?

松岡雄治さん:

「明日から実践すべき具体的行動は、発症を防ぐための『家庭血圧の測定』と、手遅れを防ぐための『FAST(ファスト)チェック』です。

予防のルーティンとして、毎朝トイレを済ませて座った状態で家庭血圧を測ってください。上の血圧が135mmHg以上なら、医師に相談する明確な基準となります。

一方で、すでに起きてしまった脳卒中を早期発見するには、顔、腕、言葉を評価する『FAST』という世界的なチェック法が推奨されています。

【毎朝30秒のセルフチェック法】

Face(顔): 鏡に向かって「イー」と作り笑いをする。片方のまぶたや口角が下がっていないでしょうか。

Arm(腕): 「前にならえ」の姿勢で両腕を上げ、目を閉じて10秒数える。そっと目をあけると片腕だけ下がっていないでしょうか。

Speech(言葉): 「今日は良い天気です」と声に出す。ろれつが回らないことはありませんか。

Time(時間): これらのうち一つでも当てはまれば、発症時刻を確認しましょう。時刻をメモして直ちに救急車を呼びましょう。

違和感を感じた「その時」の行動が、人生を左右する

脳卒中の発生を防ぐためには、血圧測定といった毎日のルーティンが非常に有効です。

しかし、どれほど気をつけていても、自力だけでは限界があることも事実です。もし「おかしいな」と感じたら、正常性バイアスに惑わされず、すぐに専門医を受診してください。脳梗塞の場合、発症から4.5時間以内であれば、血栓を溶かす点滴治療など、劇的に予後を改善できる選択肢があります。

違和感を覚えた「その時」の行動が、その後のあなたの人生を大きく左右するのです。無理に自分で解決しようとせず、医療の力を積極的に活用することで、突然の脳疾患リスクは確実に減らすことができます。朝の血圧測定と、違和感を覚えたときには、鏡の前で「イー」と笑ってみることから始めてみませんか。


監修者:松岡雄治
麻酔科専門医。総合病院、大学病院、小児専門医療機関での勤務を通じ、幅広い周術期管理に従事。現在は急性期病院で麻酔科医として勤務する。日々、美容領域を含む各診療科の手術に携わっている。医師としての知識と経験を活かして医療系ライターとしても活動し、医療・健康・美容分野の記事執筆、医学論文の解説、商品監修、AI技術開発関連プロジェクトへの参加などの実績を有する。睡眠コンサルタント、睡眠検定1級の資格も保有。

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