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歯科医「重大な病気が隠れている」→実は『白血病』のサインかも…知らないと手遅れになる「歯に起こる危険な症状」とは?

  • 2026.4.22
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

歯磨きのたびに歯茎から血が出る。「これは歯周病かな?」と軽く考えて放置していませんか。確かに多くの場合は口内のトラブルが原因ですが、中には全身に隠れた重大な病気のサインである可能性もゼロではありません。特に心配なのが「血液のがん」とも呼ばれる急性白血病です。

もしもの事態を見逃さないためには、どのような変化に気をつけるべきなのでしょうか。本記事では、歯科医師の鷹巣多紀さんに、歯茎からの出血と白血病の関係性や、受診を迷った際の判断基準について詳しく解説していただきました。「いつものことだから」と自己判断してしまう前に、正しい知識を身につけましょう。

歯茎からの出血は白血病のサイン?意外な原因とメカニズム

---歯茎から血が出ることがあります。出血と白血病にはどのような関係があるのでしょうか?

鷹巣 多紀さん:

「歯茎からの出血がすべて白血病のサインというわけではありません。実際には、歯周病などの口内のトラブルが主な原因であることが多い傾向にあります。

とはいえ、まれに全身の病気が隠れていることがあり、その代表的な疾患の1つが急性白血病です。白血病は『血液のがん』とも呼ばれる病気です。血液が作られる骨髄(こつずい)という場所で異常な細胞が増え、血液を正常に作る働きが妨げられてしまいます。

その結果、赤血球、白血球、血小板といった大切な成分が減ってしまいます。なかでも、歯茎の出血と深く関わっているのが血小板の減少です。

血小板は血を止める役割を担っているため、数が減ると歯磨き程度の軽い刺激でも血が出やすくなったり、血が止まりにくくなったりします。また、正常な白血球が減ったり、うまく働けなくなったりすると、細菌から体を守る力が弱まります。

その結果、口の中の炎症や口内炎が長引きやすくなるのです。白血病の初期サインとして、歯茎の出血や腫れ、口内炎などが早い段階で口の中に現れることがあると実際に複数の論文でも報告されています。

さらに一部の白血病では、異常な細胞が歯茎に入り込み、歯茎がぶよぶよと腫れたり、赤みが強くなったりして、自然に出血しやすくなることもあります。

つまり、血を止める力と感染から守る力が落ちるという状況のうえで、歯茎そのものにも変化が起こるといえるでしょう。」

自己判断は危険!適切な病院受診とケアの考え方

---歯茎から血が出た場合、市販の薬などで様子を見ても問題ないのでしょうか?

鷹巣 多紀さん:

「はい。歯茎から血が出た際に『ただの歯周病だろう』と自己流のケアで様子を見ることは、重大な病気の発見を遅らせてしまうリスクがあります。

市販の塗り薬やうがい薬を使うこと自体が悪いわけではありません。注意したいのは、薬を使って一時的に出血が落ち着いたからと自己判断したまま、病院へ行くタイミングを逃してしまうことです。

日本歯科医師会も、歯周病のケアを見直しても出血を繰り返す場合は、思わぬ病気が潜むことがあるため、早めに歯医者や口腔外科を受診するよう推奨しています。白血病などの重大な病気が疑われるかどうかは、口の中を見ただけでは判断できません。

急性白血病は進行が速いため、出血や発熱などの症状がある場合は血液検査を急ぎ、必要に応じて専門の医師へつなぐことがとても重要になります。そのため、市販薬のみで長く様子を見てしまうと、適切な検査を受ける時期が遅れる可能性があるのです。

また、出血を治そうとして強い力で歯磨きをすることも避けるべき対応といえます。国立がん研究センターの情報でも、出血しやすいときは柔らかい歯ブラシで優しく磨くことが推奨されています。

無理に汚れを落とそうと強い力でこすったり、刺激を避けようと歯磨きをやめたりするのではなく、正しいケアを続けることが大切です。もし、自然に血が出たり、鼻血やアザが増えたりする場合、発熱や強いだるさがある場合は、『いつもの歯周病だ』と決めつけない方がよいでしょう。

自己判断を長く続けず、まずは専門家の視点で原因を確認してもらうことが、自分の体を守る第一歩になります。」

見逃せない「3つの危険なサイン」と受診の目安

---では、実際にどのような状態になったら専門的な検査を考えるべきでしょうか?

鷹巣 多紀さん:

「歯茎から出血した場合、すべてが血液の病気というわけではありません。出血の主な原因は歯周病などのため、歯磨きの時だけ少量の血が出て、歯茎の腫れや磨き残しが気になる場合は、最初の相談先は歯医者で問題ないでしょう。

ただし、見逃したくない変化があるときは、様子を見ずに内科や血液内科(血液の病気を専門とする診療科)の受診も考えたいところです。

特に注意したい、3つの危険なサインをご紹介します。

  1. 何もしていないのに血がにじむ、または押さえても止まりにくい。
  2. 鼻血、アザ、皮膚の赤い点々など、口の中以外にも出血傾向がある。
  3. 発熱、強いだるさ、息切れ、歯茎の急な腫れなど、全身の不調が重なる。

この3つのうちどれか1つでも当てはまるものがある方は、歯茎だけの問題ではない可能性を考える必要があります。急性白血病の場合、こうした症状が比較的短い期間で目立ってくることがあり、血液検査を急いだ方がよいケースもあるのです。

ご自宅でできるセルフチェックのコツは、『出血のきっかけ』『血の止まりやすさ』『口以外の症状』をセットで確認することです。歯ブラシが当たった時だけ出るのか、何もしなくてもにじむのか。

すぐ止まるのか、何度も繰り返すのか。全身の疲れやすさや熱はないか、確認してみましょう。受診先に迷ったときは、通いやすい歯医者や内科を先に受診し、『歯茎からの出血が続いている』『鼻血やアザもある』『だるさもある』といった症状を具体的に伝えてください。

そうすることで、必要な診察や血液検査へスムーズにつながりやすくなります。」

「いつもの歯周病」と決めつけないことが、自分を守る第一歩

歯茎からの出血は、その多くが歯周病によるものですが、まれに急性白血病などの重大な病気が隠れていることがあります。大切なのは、過度に怖がる必要はありませんが、身体が出している小さなサインを見逃さないことです。

市販薬で一時的に症状を抑えて安心するのではなく、出血が続く場合は早めに専門家の判断を仰ぐこと。そして、口内以外の出血や全身の不調といった「危険なサイン」を意識しておくことが重要です。「いつものことだ」と自己判断せず、正しい知識を持って冷静に受診先を選ぶことこそが、自身の健康を守る確実な方法といえるでしょう。


監修者:鷹巣 多紀
大学病院口腔外科にて初期研修後、一般歯科勤務。現在は一児の母として育児に奮闘しながらママさん歯科医師をしています。
歯科医師ママkiki|note :https://share.google/uUYsDiSMnkNKZCrOw