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「足の親指が少し痛む…」“痛み止め”を飲んで放置→数年後、胸に激痛が走り病院へ…50代会社員に告げられた“恐ろしい病名”

  • 2026.5.3
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「この時期の仕事終わりの冷えたビールは最高だな。最近飲み会もあったせいか、足の親指が少し痛むけど、いつも数日で治るから大丈夫だろう」
初夏の夜。50代の会社員Nさんは、痛風発作を痛み止めでやり過ごし、いつもの晩酌を楽しんでいました。

しかし、数年後、胸を締め付けられる激痛で救急搬送され、急性心筋梗塞と診断されました。一命は取り留めました。

しかし、現在は常に次の発作の恐怖に怯え、一生続く薬と向き合い、大好きな仲間との飲み会も思い切り楽しむことが難しくなりました。
皆様こんにちは。周術期の全身管理を通じて動脈硬化のリスクと日々向き合う麻酔科専門医の松岡です。

痛風発作は「全身の血管がサビつく」警報音

痛風は足が痛いだけの病気と軽く考えられていますが、実はそうではありません。
痛風発作は全身の血管が悲鳴を上げているサインなのです。尿酸の結晶が攻撃するのは関節だけではありません。血液中に溶けきれなくなった尿酸は、血管そのものを内側から破壊していくメカニズムは次の通りです。

【高尿酸血症が心筋梗塞を招くフロー】
・尿酸の結晶化:尿酸値が高い状態が続き、血液中に溶け残った尿酸が細かいガラス片のような結晶に変わる
・血管内皮の障害:この結晶や過剰な酸化ストレスが、全身の血管の内壁(内皮細胞)に強い炎症を起こし傷つけ続ける
・動脈硬化の進行:傷口にコレステロールが入り込んでコブを作り、血管が硬く狭くなる動脈硬化が進行する
・血管の閉塞:狭くなった心臓の血管(冠動脈)に血栓が詰まり、心筋梗塞を引き起こす

「疲れた体へのご褒美」という自然な心理と危険な罠

毎日遅くまで働いたのだから冷えたビールをご褒美にしたい。足が痛くても数日我慢すれば治るから病院には行かない。忙しい日々の中で楽しみを見出し、痛みが落ち着けば病気も落ち着いているのだろうと考える。これは痛風ではよくあることです。
ただし、痛みが引いても高尿酸血症という根本の原因は消えていません。足の激痛は関節にガラス片のように尿酸の結晶が生じることで起きます。
痛みが去った後も、血液中の結晶は消えることなく全身を巡り、自覚症状のないまま心臓や脳の血管を傷つけ続けています。

初夏は汗で水分が失われたところに利尿作用のあるお酒を飲むため、血液がドロドロになり尿酸がさらに結晶化しやすくなります。尿酸値が高い状態は、高血圧や脂質異常症、肥満などの動脈硬化リスク因子を合併しやすい特徴を持ち合わせています。これらが複合的に絡み合って心臓の血管を詰まらせます。
痛風発作をただの足の痛みと仲間内の笑い話で終わらせず、全身の血管からのSOSだとぜひ受け止め直してください。

手遅れになる前に、確認すべき3つのサイン

痛みが引いたから治ったと誤認して血管を限界まで痛めつけないよう、体が発する危険なサインを見逃さない配慮が必要です。

1.足の親指の付け根が赤く腫れ、激しい痛みがあった

痛風の最も典型的な初期発作です。痛みが消えても、体内で血管の破壊は確実に続いている明確なサインです。

2.健康診断で尿酸値が7.0mg/dLを超えている

自覚症状が全くなくても、すでに血液中に尿酸が溶けきれず、医学的に高尿酸血症と診断される状態です。

3.喉が渇いた時の水分補給が、カフェインを含む飲料(お茶やコーヒー)、お酒中心である

お茶やコーヒーに含まれるカフェインには利尿作用があります。お酒は、利尿作用があるほか、分解に多くの水が必要です。結果的に、かえって体内の水分を奪って、血中の尿酸を濃縮させてしまう危険な習慣になりえます。カフェインが少ない飲み物(水、麦茶)を活用しましょう。

まとめ

「痛風といえば、足の痛み」これ自体は間違いではありません、むしろそのイメージゆえ、油断されることが多い病気でもあります。仕事終わりの一杯、週末の飲み会、そんなささやかな楽しみが、静かに血管を蝕んでいるかもしれません。
しかし、過度に恐れる必要はありません。まずは、尿酸が心臓の血管をも傷つけること、そしてときには命に関わる病気につながる可能性があることを知っておきましょう。
そして、今日からお酒を飲む前や寝る前には、コップ1杯の水を飲む簡単なステップから始めてみましょう。健診で尿酸値が高い場合や痛風発作を経験した場合には、決して自己判断で放置せず、ぜひ一度、内科や循環器内科を受診して相談してください。無理をせず健やかに毎日を暮らすため医療を活用しましょう。


監修者・執筆:松岡 雄治

総合病院や大学病院、小児専門医療機関での勤務を通じて、幅広い診療科の周術期管理に従事。現在は急性期病院の麻酔科医として最前線の医療に携わっている。専門医としての高度な医学的知見を活かし、医療・健康・美容分野でのコラム執筆や医学論文の解説などを幅広く手掛ける。医療AI技術開発プロジェクトへの参画など多岐にわたる実績を持ち、読者に寄り添った分かりやすい医療解説に定評がある。保有資格は麻酔科専門医、睡眠コンサルタント、睡眠検定1級など

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