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“実写化は難しい”怪作が…「違和感ない」連ドラ“初主演”若手女優が魅せた、再現度の高い【大人気漫画原作ドラマ】

  • 2026.4.9

実写化は難しい……そう言われてきた“怪作”が、驚くほど自然に立ち上がった。ドラマ『るなしい』第1話の放送後、SNS上では「原作のイモっぽさ再現されてた」「実写に違和感ない」といった声が相次いでいる。その中心にいるのが、本作で連続ドラマ初主演を務める原菜乃華だ。無垢と執着、純愛と支配。その危うい境界を、彼女は静かに、しかし確実に踏み越えていく。

※以下本文には放送内容が含まれます。

“怪作”を成立させた再現力

『るなしい』第1話を観てまず感じるのは、その“違和感のなさ”である。

原作は、宗教と純愛、そして支配が絡み合う、非常にクセの強い物語だ。設定だけを切り取れば現実離れしているにもかかわらず、本作はそれを“あり得てしまいそうな話”として提示してくる。
SNS上でも「実写に違和感ない」「原作のイモっぽさ再現されてた」といった声が目立つが、その理由は単純な再現度の高さではない。むしろ重要なのは、作品全体に漂う“生活感”だろう。

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(C)「るなしい」製作委員会

服装や佇まい、教室の空気、そして人間関係の距離感。どれもが過剰にドラマチックではなく、どこか現実の延長線上にある。そのなかに、異質な信仰や歪んだ感情が紛れ込んでいるからこそ、じわじわと不気味さが増していく。

この“普通に潜む異常”という設計こそが、『るなしい』という作品の怖さを支えている。
そして、その中心にいるのが主人公・郷田るなである。

無垢と執着が同居する“静かな狂気”

るなを演じる原菜乃華は、本作で連続ドラマ初主演を果たした。子役時代から確かな演技力を評価されてきた彼女にとって、この役はひとつの到達点とも言えるかもしれない。しかし、それ以上に印象的なのは、この役に選ばれた必然性である。
彼女の演技には、透明感と執着が同時に存在しているように見える。

無垢な表情、柔らかな声。そのどれもが、るなという少女の“純粋さ”を強く印象づける。一方で、視線がふと沈む瞬間、そこに別の感情が顔を出す。言葉にしないまま、内側で膨らんでいく何か。その気配が、確かに伝わってくるのだ。
特筆すべきは、感情の変化を決して大きく見せない点である。狂気を誇張するのではなく、あくまで日常の延長としてにじませる。その抑制された演技が、結果として“取り返しのつかなさ”を際立たせる。

さらに印象的なのが、声の使い方だ。
信者に語りかけるときのやわらかく包み込むような声と、日常の会話で見せる等身大のトーン。そのわずかな差異が、るなという存在の二面性を浮かび上がらせる。

優しさと支配が、同じ声のなかに共存している。だからこそ、彼女の言葉はどこか抗いがたい力を持っているのだ。

愛が支配に変わるとき

『るなしい』が描こうとしているのは、単なる復讐ではない。愛という感情が別の形へと変質していく、おどろおどろしい過程である。

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(C)「るなしい」製作委員会

クラスの人気者・ケンショー(窪塚愛流)に初恋をした、るな。彼女にとってその恋は、救いであり、同時にすべてを壊す引き金でもあった。その感情が裏切られたとき、彼女は怒りや悲しみにとどまらず、“支配”という選択へと踏み出していく。ここにあるのは、感情の反転というよりも、むしろ連続性だ。
愛していたからこそ、相手を手放せない。だからこそ、別の形で自分のものにしようとする。その歪みが、静かに、しかし確実に進行していく。第1話は、その入口にすぎない。

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(C)「るなしい」製作委員会

しかしすでに、るなの選択がどこへ向かっていくのか、その気配は十分に提示されている。観ている側は、彼女を止めるべきなのか、それともこのまま見届けるべきなのか。そんな葛藤を抱えながら、物語に引き込まれていく。
『るなしい』は決して万人向けの作品ではないだろう。しかし、その代わりに強烈な引力を持っている。原菜乃華の透明感が、この物語に“美しさ”を与え、その美しさがそのまま“毒”へと変わる。

気づけば、逃げられなくなっている。その中毒性こそが、本作最大の魅力なのだ。


テレビ東京系 『るなしい』毎週木曜深夜24時30分〜

ライター:北村有(Kitamura Yuu)
主にドラマや映画のレビュー、役者や監督インタビュー、書評コラムなどを担当するライター。可処分時間はドラマや映画鑑賞、読書に割いている。X:@yuu_uu_