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『リブート』『九条の大罪』で“大活躍”俳優コンビ「監督脚本配役すべて素晴らしい」完成度の高い“4年前”の名作映画

  • 2026.5.13

Netflixシリーズ『九条の大罪』で、冷徹なインテリヤクザ・京極清志役を演じ、“ダークムロ”という言葉がSNSで生まれるほど普段のイメージとのギャップが話題を呼んでいるムロツヨシ。一方、『リブート』『テミスの不確かな法廷』『時すでにおスシ!?』など話題ドラマへの出演が続く松山ケンイチ。そんな対照的な近況を持つ二人が、2022年に共演した映画が『川っぺりムコリッタ』だ。

2019年に『かもめ食堂』『彼らが本気で編むときは、』の荻上直子監督が発表したオリジナル長編小説を、自身の脚本・監督で映画化した本作。松山ケンイチ主演、ムロツヨシの共演で、孤独な青年がアパート住人との交流を経て社会との接点を見つけていく姿を描く。さらに共演には満島ひかり、吉岡秀隆ら豪華キャストが集結した。

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映画「川っぺりムコリッタ」公開記念舞台挨拶 吉岡秀隆、満島ひかり、松山ケンイチ、ムロツヨシ(C)SANKEI

刑務所帰りの青年と、図々しい隣人が紡ぐ人間模様

舞台は富山の海辺の町。刑務所を出所したばかりの山田(松山ケンイチ)は、就職先の塩辛工場で働き、社長の紹介で川辺にある古いアパート“ハイツムコリッタ”で暮らし始める。なるべく人と関わらず、ひっそり生きたいと思っていた山田の静かな日常が、隣人の島田(ムロツヨシ)が「風呂を貸してほしい」と訪ねてきたことから一変する。

愛想のかけらもない頼み方でやってくる島田は、いつの間にかお茶碗・お椀・箸持参で登場し、度々食卓を共にするようになる。そんな彼をしぶしぶ受け入れる山田。島田との食事や、墓石を売り歩く溝口健一(吉岡秀隆)、未亡人の南詩織(満島ひかり)との交流を通して山田の世界は少しずつ変化していく。やがて、山田がこの町にやってきた秘密が島田に知られてしまい、物語は生と死、孤独と繋がりというより深いテーマへと向かっていく。キャッチコピーは“友達でも家族でもない。でも、孤独ではない”。

荻上直子が描く“食”と“死”、そして松ケン×ムロのコンビが生んだ奇跡

荻上直子監督の作品といえば食事シーンが魅力的なことで知られているが、本作も例に漏れず、シンプルながら何とも美味しそうなメニューがたくさん登場する。炊飯器でご飯は炊けるのを待ち、蓋を開けると湯気とともに立ちのぼるその香りにうっとりする山田の表情だけで、不思議とその幸福感が伝わってくる。一方で本作の核となるのが“死”との向き合い方だ。顔も知らない父の死を突然知らされた山田が、遺骨をどう扱うかという問いを通じて、生きることの意味を静かに問い直していく。

SNS上では「コンビが良い」という声が多く上がり、一見正反対に見える山田と島田の凸凹コンビが生み出す空気感こそが本作最大の魅力だと多くの視聴者が指摘した。また「名作すぎた」という声も広がり、派手さはなくとも確かな余韻を残す荻上監督の演出が深く刺さった様子がうかがえる。「監督脚本配役すべて素晴らしい」という声は、原作・脚本・監督を一人で担った荻上直子の手腕と、松山・ムロをはじめとする豪華キャスト陣の演技が高い次元で融合した本作の完成度を端的に表している。ささやかな幸せを丁寧にすくい取るその視線が、静かに、しかし確かに多くの人の心を動かした一作だ。


出典:角川シネマコレクション『川っぺりムコリッタ』(作品情報ページより)
※本作品公式サイトは劇場公開終了に伴いドメインの運用が終了しております。

ライター:山田あゆみ
Web媒体を中心に映画コラム、インタビュー記事執筆やオフィシャルライターとして活動。X:@AyumiSand

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