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朝ドラ女優の“原点”「観たくてネトフリ加入」「深夜ドラマだったの信じられない」革新をもたらした人気シリーズ“劇場版”

  • 2026.5.20

髙石あかりには、朝ドラより前に、もうひとつの顔がある。殺し屋だ。「あかりちゃんの原点」「観たくてネトフリ加入した」「深夜ドラマだったの信じられない」SNSにそんな言葉が並ぶ、2024年に公開された映画『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ』。2025年度後期NHK連続テレビ小説『ばけばけ』のヒロインに選ばれ、今や朝ドラの顔となった髙石あかりの原点にして代表作であるこのシリーズを、改めて振り返りたい。

脱力系殺し屋コンビ、最強の敵と激突

低予算映画でありながら、日本映画界に"殺し屋"ジャンルを確立させ、ガールズアクションに革新をもたらした奇跡の映画『ベイビーわるきゅーれ』。その待望の第3弾が本作だ。殺しの任務を受けて宮崎県に降り立った脱力系殺し屋コンビのちさと(髙石あかり)とまひろ(伊澤彩織)。しかしそのミッション中、同じターゲットを狙う"史上最強の殺し屋"と鉢合わせしてしまい、絶体絶命のピンチに追い込まれる。

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髙石あかり(C)SANKEI

劇中の主な舞台となった宮崎市は、杉本ちさと役の髙石あかりの出身地でもある。地元を舞台に繰り広げられるアクションには、どこか特別な熱量がある。共演は『一月の声に歓びを刻め』の前田敦子、『シン・仮面ライダー』の池松壮亮。シリーズ初参戦の二人がさらなる緊張感をもたらす。監督・脚本は引き続き阪元裕吾が務めた。

孤高の怪物:池松壮亮が体現した史上最強の敵

本作をシリーズ最高傑作と呼ぶ声が多い理由のひとつに、敵役・冬村かえでを演じた池松壮亮の存在がある。銃も格闘もナイフも超一流、たったひとりで150人殺し達成を目指す一匹狼の殺し屋。張り紙だらけの部屋でテントに眠り、日々の行動を克明に日記につける。その孤独で危うい人物像を、池松はシリアスとコメディの絶妙なバランス感覚で演じ切った。

特筆すべきはそのアクションだ。鋭い体術とムダのない動きは達人級で、スタントに頼らない本気の身体表現が切迫感を生み出し、ちさととまひろが初めて真の絶体絶命に追い込まれる緊張感を画面に刻み込んだ。

さらに印象的なのは、演技としての深みだ。かえでは単なる殺戮マシーンではなく、理解者を求める渇望と孤独を抱えた人間として描かれている。まひろにとってのちさとのような存在がいなかった者の成れの果て。そんな鏡像関係が、ちさととまひろのコンビの唯一無二性をより際立たせる。池松壮亮という俳優が本作で解き放った本気のアクションと演技は、このシリーズに新たな高みをもたらした。

深夜ドラマから朝ドラへ:髙石あかりという俳優

2024年9月からはテレビ東京の深夜枠で連続ドラマ『ベイビーわるきゅーれ エブリデイ!』も放送された。「深夜ドラマだったの信じられない」というSNSの声は、このシリーズが持つスケール感と完成度への驚きだろう。

一作目以降、髙石あかりは数々の演技賞を受賞する引く手あまたの若手俳優となった。殺し屋・ちさとから朝ドラヒロインへ。その振り幅こそが、彼女の俳優としての底力を証明している。「朝ドラのヒロインになるのが小さい頃からの夢だった」と涙で語った髙石にとって、『ベイビーわるきゅーれ』シリーズはその夢への道を切り開いた原点だ。

本作は2024年7月に第23回ニューヨーク・アジアン映画祭でワールドプレミア上映され、アクション映画を表彰するダニエル・A・クラフト賞を日本映画として初めて受賞した。国内外でその実力が認められた本作を、「観たくてネトフリ加入した」という声とともに多くの人が手に取っている事実が、このシリーズの唯一無二の存在感を物語っている。


出典:映画『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ』公式サイト

ライター:山田あゆみ
Web媒体を中心に映画コラム、インタビュー記事執筆やオフィシャルライターとして活動。X:@AyumiSand

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