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GW最終日、花火を満喫した30代夫婦「禁止とは書かれていなかった」翌朝に届いた“上階からの悲鳴”のワケ

  • 2026.5.10
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出典元:photoAC(画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。不動産管理会社で10年以上の現場実務に携わってきた、マンション管理士のS.Kです。気候が穏やかな季節になると、マンションのバルコニーや専用庭で過ごす機会が増えるのではないでしょうか。

しかし、楽しみのつもりで行った行為が、思わぬ近隣トラブルに発展するケースがあります。今回はマンションの専用庭で行った手持ち花火をきっかけに、居住者間の関係がぎくしゃくしかけたエピソードを紹介します。

専用庭での花火が「規約違反かどうか」を巡って意見が割れる

築20年で1階に専用庭付き住戸がある、約120戸のマンションで起きた出来事です。ゴールデンウィーク最終日の夜、1階の住戸に暮らす30代の夫婦が、5歳と3歳の子どもたちとともに自宅の専用庭で手持ち花火を楽しんでいました。水を入れたバケツを用意するなど、安全への配慮は行っていたようです。

しかし、花火の煙と臭いが上階へ伝わり、網戸にしていた住戸の居住者から「部屋ににおいが入り込んだ」「火の粉が見えてヒヤッとした」という苦情が、翌日になって管理員室へ数件寄せられました。

管理会社を通じて当該の夫婦に状況を確認すると「規約を確認したけれど花火禁止とは書かれていなかった」と主張しました。実際に規約を確認すると、ライターやガソリンなど引火性物品の持ち込みを禁じる条項はあるものの、ホームセンター等で市販されている家庭用の花火が該当するかは解釈が分かれるところでした。

また、近隣に迷惑をかける行為の禁止という項目も抽象的であり、どこまでが受忍限度(お互いに我慢すべき範囲)なのか明確な線引きが難しい状態だったのです。

個別対話とマイルドな注意喚起で事態を収束

明確な規定がない以上、理事会として当該行為を禁止することはできません。しかし煙や火災リスクを心配する声が複数の居住者から実際に上がっており、放置すればさらに大きなトラブルに発展する可能性がありました。

そこで理事会は、まず当該の夫婦に対して個別に事情を説明する方針を取ります。理事長と管理会社の担当者が直接訪問し「上階で苦情が上がっていること」「煙や火の粉が他の住戸まで届いていたこと」を丁寧に伝え、今後の協力を依頼します。

すると夫婦は「上の階にまで臭いや火の粉が届いていたとは知らなかった」と理解を示し、以降は近隣の公園で花火を楽しむように配慮してくれました。仮に苦情を寄せた住戸の居住者と当該の夫婦が直接話し合っていたら、お互いの感情がぶつかって関係が悪化していた可能性もあります。管理会社や理事会が間に入ったことで、上下階の居住者同士もその後ぎくしゃくすることなく日常に戻れました。

規約改正のハードルと実務的な対応策

マンション規約に書かれていない行為が、トラブルのきっかけになるケースは少なくありません。バーベキューやベランダでのプール遊びなど、時代や世代間の価値観の違いから新しい論点が生まれるため、定期的な見直しが有効です。

ただし、規約本文の改正には区分所有法により「区分所有者および議決権の各4分の3以上の賛成」という特別決議が必要です。そこで、まずは普通決議で変更できる使用細則に「花火禁止」など具体的なルールを追加するのが現実的でしょう。

規約に明記されていない行為を巡るトラブルでは、当事者同士を直接対面させずに管理会社や理事会が間に入ることで、居住者同士の感情的な対立を未然に防げます。

参考:建物の区分所有等に関する法律(e-Gov法令検索)



ライター:S.K(マンション管理士)
不動産管理会社で10年以上の現場実務に携わり、業界団体の評価制度策定委員会に所属していた経験がある。現在はライターとして、自身の豊富な経験・知見をもとに、一次情報を盛り込んだ不動産記事を多数執筆している。


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