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知人は720万円でできたのに…リノベ費用が1.5倍に高騰。予算800万円オーバー家族を襲った落とし穴

  • 2026.5.9
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。大手不動産会社で10年以上現場経験を積み、現在は不動産ライターとして活動する宅地建物取引士のT.Sです。中古マンションを購入して自分好みにリノベーションする住まい探しは人気を集めていますが、予算の組み立てに悩む方は多いのではないでしょうか。

今回は過去の相場感覚で予算を組んだ結果、見積もりが想定を大きく上回り、計画の変更を迫られたご家族のエピソードを紹介します。

過去の相場を基準にした予算組みの落とし穴

都内でIT企業に勤務する41歳の夫と、看護師として働く38歳の妻は、小学1年生の長女と3人で暮らしています。2025年に中古マンションの購入を検討し始め、物件価格5,500万円とリノベーション費用700万円の合計6,200万円を予算に設定しました。この費用は、2020年に知人が70平方メートルの物件を約720万円でフルリノベーションした話を参考にしたものです。

希望する都内城東エリアで物件探しを開始すると、築25年で70平方メートルの物件価格は5,500万円まで上昇していました。さらにリノベーション会社3社に見積もりを依頼したところ、もっとも安い会社でも980万円という結果になります。中央値は約1,050万円となり、水回り設備の高騰や円安による輸入部材の値上がりなどが影響して、知人の事例と比較すると約1.5倍に膨れ上がっていたのです。

フルリノベを断念して選んだ部分リノベという選択

物件価格とリノベーション費用に諸費用を加えると、総額は約7,000万円に達します。夫は「毎月のローン返済が22万円を超えるのは今後の教育費を考えると厳しい」と困った表情を浮かべました。妻も「物件のランクを下げるかリノベーションを諦めるしかないね」と同意し、家計の負担を考慮して計画を見直すことになります。

ご夫婦は立地を妥協したくないと考え、5,500万円で希望の物件を購入しました。そのうえで、部屋を骨組みの状態まで解体するスケルトンからのフルリノベーションを断念します。初期の工事は、後から着手しにくい配管の部分更新や水回り設備の全交換、リビングの間取り変更などに絞り込みました。

各個室のフローリングや、壁紙といった表層の仕上げは既存のものをそのまま利用し、約500万円の部分リノベーションを選択したのです。数年後に必要に応じて、表層の仕上げを段階的に実施する方針へ切り替えました。

建築的セオリーに基づく段階的なリノベーション

トータルコストは一括で工事するよりも1割ほど割高になる試算ですが、初期費用を抑えて住み始められるメリットを優先した現実的な判断といえます。近年のマンションリノベーション費用は、人件費の上昇や建材費の高騰、円安による輸入部材の値上がりなど複数の要因が重なり、2020年代前半と比較して明確な上昇傾向が続いています。

過去の事例だけを基準にせず、直近の相場で試算することが重要になります。予算を抑えて段階的に工事を進める場合、配管や断熱、間取り変更を初期に行うのが原則です。

表層の仕上げを先に行うと、後から間取りを変更する際に床や壁を再び剥がす二度手間が発生してしまいます。リノベーション会社を選ぶ際は同条件で3社以上から見積もりを取りましょう。その際に価格だけでなく、見積書に記載された工事項目の中身まで比較することが、結果的にトータルコストを抑えることにつながります。



ライター:T.S(宅地建物取引士)
大学卒業後、大手不動産会社に入社。10年以上にわたり、都心のタワーマンションから郊外の築古戸建てまで、数多くの現場経験を積む。現在は不動産ライターとして、住宅購入やリノベーションに関する読者目線の記事を執筆している。


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