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「角部屋がいい」と語った客→予算の都合で中住戸の中層階を購入も…数年後、「間違っていなかった」と満足したワケ

  • 2026.5.8
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出典:PhotoAC ※画像はイメージです

皆さま、こんにちは。不動産業界歴10年以上で、宅地建物取引士の資格を持つライターのT.Sです。マンション選びにおいて、角部屋や最上階などの条件に憧れを抱く方は多いのではないでしょうか。

数々の物件をご案内してきた経験の中でも「どうしても角部屋がいい」という強いご要望を何度も受けてきました。角部屋を希望していたものの、予算の都合で中住戸の中層階を購入されたお客様がいらっしゃいました。

しかし数年後にお話を伺うと「冬も暖かく光熱費が安く済んでいて、あの時の選択は間違っていなかった」と大変満足されていました。このケースは決して例外ではなく、中住戸の中層階はむしろ合理的な選択肢なのです。

巨大な断熱材に守られる中住戸の快適性と価格メリット

両隣に住戸がある、中住戸の中層階が選ばれるべき最大の理由は、優れた断熱性にあります。中住戸は外壁に接する面が少なく、隣の部屋が巨大な断熱材の役割を果たしてくれます。

さらに中層階は、最上階のように屋上からの直射日光による暑さや、1階のように地面からの冷気に悩まされることがありません。上下左右すべてが別の住戸に挟まれているポジションは、外気の影響を最小化する「断熱ゴールデンゾーン」といえます。

角部屋や最上階にはプレミアム価格が上乗せされますが、中住戸の中層階は同じマンション内で最も割安なポジションです。冷暖房効率も高いため光熱費を抑えられ、トータルコストの差はさらに広がります。

採光・通風・騒音への不安に対する具体的な対策と実感値

一方で中住戸には、採光や通風、騒音リスクへの不安がつきまといます。採光については、中住戸でもバルコニー側の窓から入る光で、主要な居住空間(リビング)の明るさは日中十分に確保されるケースが多くあります。「暗くて住めない」という極端な事態は、採光計画がしっかりした物件であれば考えにくいといえます。

ただし、間取りによっては窓のない居室(建築用語で「行灯部屋」と呼ばれる)ができやすい点には注意が必要です。明るさの感じ方には個人差があるため、内見時には自分の生活時間帯の採光状況を確認するのが有効となります。通風に関しては、リビングの窓と玄関ドアを同時に開けて風の通り道を作る方法があります。

外廊下型のマンションであれば共用廊下側の窓も活用でき、角部屋との風通しの差は小さく抑えられます。また騒音リスクについては、上下左右の住戸に囲まれる分、隣戸との接触面は角部屋より多く、生活音が伝わる可能性は構造上高くなります。

しかし、鉄筋コンクリートのマンションでは生活音が構造的にかなり遮断されており、実感として「倍気になる」というほどの差は感じない方が多い傾向があります。床スラブの厚みや戸境壁の仕様などを事前に確認することで、リスクを見極められます。

角部屋を上位互換と考えず堅実な住み心地を重視する物件選び

マンション選びにおいては、角部屋が常に上位互換であるという思い込みを捨てる視点が重要です。角部屋が持つ開放感といったメリットと、断熱性の低さや割高な価格というデメリットを冷静に天秤にかけて判断してください。

一般的なファミリー向けの板状マンションでは、価格が手頃で買い手を選ばない中住戸のほうが将来の流動性が高く、資産価値の下落幅が小さく安定している傾向があります。華やかさや見た目の魅力よりも、日々の光熱費の安さや安定した断熱性といった堅実な住み心地を重視する方にこそ、中住戸の中層階は最適な選択肢でしょう。



ライター:T.S(宅地建物取引士)
大学卒業後、大手不動産会社に入社。10年以上にわたり、都心のタワーマンションから郊外の築古戸建てまで、数多くの現場経験を積む。現在は不動産ライターとして「業界の不都合な真実」や、消費者が陥りやすいマネーの罠について、実体験に基づく記事を執筆している。


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