1. トップ
  2. 5000万円のマンションを買って“数百万円”の借金が残る?今の金利で気をつけたい、頭金ゼロの落とし穴

5000万円のマンションを買って“数百万円”の借金が残る?今の金利で気をつけたい、頭金ゼロの落とし穴

  • 2026.5.8
undefined
出典:PhotoAC ※画像はイメージです

皆さま、こんにちは。不動産業界歴15年で、宅地建物取引士やマンション管理士の資格を持つライターの西山です。

不動産やマネー系のメディアでは「低金利の今は頭金を入れずに住宅ローンを組み、手元の資金はNISAなどで運用した方がトータルでお得」という比較シミュレーションをよく見かけるのではないでしょうか。確かに計算上は成り立つように見えますが、この理論は超低金利と物件価格の上昇が続くという前提に依存したものです。

今回は、頭金ゼロでマンションを購入した場合に想定される2つの落とし穴を、具体的なシミュレーションで検証します。

オーバーローンで待ち受ける売却時の残債割れリスク

仮に30代の夫婦が、5,000万円の中古マンションを購入するケースで考えてみましょう。諸費用を含めた5,350万円をオーバーローンで借り、手元にあった500万円の貯金は投資効率を考えて新NISAなどで運用に回したとします。

中古マンションの購入には、物件価格以外に仲介手数料や登記費用など、価格の6%から8%程度の諸費用が発生します。現在では諸費用まで低金利で借りられますが、それは購入した瞬間に物件の価値よりも借金の方が多いというマイナスからのスタートになるわけです。

足元の市場は物件価格の高騰が続いており「買えば値上がりする」という安心感があるのも事実です。しかしこの好調な市場が、いつまでも続くとは限りません。

仮に3年後、日銀の利上げ継続や景気後退の影響で不動産価格が1割下落した場合、5,000万円で購入したマンションの時価は4,500万円まで下がる計算です。残債が約4,950万円残っている状態では、売却するためには仲介手数料なども含めて数百万円の現金を自己負担する必要が生じます。

運用に回していた資金が評価損の局面であれば、損失を確定させて取り崩さざるを得ないという苦しい判断を迫られるのです。

15年ぶりの1%超えも現実になった金利上昇の追い打ち

残債割れのリスクに加えて、現在進行形で襲いかかるのが金利上昇という落とし穴です。オーバーローンが賢い選択とされていたのには、あくまで超低金利の時代が続くという前提がありました。

しかし2024年のマイナス金利解除以降、日本銀行は利上げを重ねており、政策金利は約30年ぶりの水準となる0.75%に達しています。この動きに連動して、メガバンクを含む多くの金融機関で変動金利が15年ぶりに1%を超える水準に達しました。

日銀の利上げペースを踏まえると、今後1年から2年の間に金利がさらに0.5%上昇する可能性は十分に現実的です。5,000万円以上の借り入れがあれば、金利が0.5%上昇するだけで月々の返済額は1万円以上の負担増につながる計算です。

手元資金を運用に全振りしていると、金利上昇による家計の圧迫と運用資産の評価損が同時に襲来する厳しい事態も起こりえます。もはや低金利だから大丈夫という前提自体が崩れつつあるのです。

自己資金の確保と金利上昇を見据えたストレステスト

頭金ゼロで買えることと、自己資金がゼロでよいことは全く異なります。最低限として、諸費用分の現金と将来の残債割れをカバーできるだけの貯金を手元に残せる範囲で物件を選ぶべきでしょう。

特に購入から5年以内に売却する可能性がある方は、諸費用を含めたオーバーローンは避けるのが安全といえます。金利上昇の局面では、現在借りられる額と将来にわたって返し続けられる額の差がさらに広がっていきます。

購入を検討する際は「今の金利で借りられる上限」ではなく「金利が1%から2%上昇しても返済を継続できる範囲」で物件予算を決める姿勢が欠かせません。事前にこの返済力の耐久テストを行うことが、将来のリスクを防ぐ確かな備えとなります。



筆者:西山雄介(宅地建物取引士・マンション管理士・日商簿記2級などの資格所有)
不動産業界歴15年。新卒で東証プライム上場のマンションデベロッパーに入社後、計2社で新築・中古販売および管理業務に従事。実務現場を経て管理職も歴任し、組織運営にも携わる。現在はその多角的な視点を活かし、実務解説から不動産投資、法律事務所案件まで、専門性の高いコンテンツ制作・ディレクションを行っている。


【エピソード募集】日常のちょっとした体験、TRILLでシェアしませんか?【2分で完了・匿名】

の記事をもっとみる