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「月々の支払い、聞いてた話と違うんですけど…」中古マンションを買った30代夫婦が見落とした"じわじわ増える出費"の正体【一級建築士は見た】

  • 2026.5.20
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

「物件価格も住宅ローンも予算内で収まったんです。でも、入居2年目で修繕積立金が一気に上がって…」

そう話すのは、都内の築18年・70㎡の中古マンションを約5,200万円で購入したKさん(30代女性、夫婦・子ども1人の3人暮らし)です。
駅徒歩8分、3LDK。リノベーション済みで室内はきれいだったこともあり、内覧後すぐに購入を決めたといいます。

ところが入居2年目の総会で、修繕積立金の値上げが決議されました。月額約8,000円だった積立金が、翌年から約15,000円に。年間で約8万円の負担増です。

「安すぎる積立金」は、むしろ危険信号

Kさんは「購入時に修繕積立金が安かったのは、むしろ良いことだと思っていました」と振り返ります。

実は、新築マンションの8割以上が「段階増額積立方式」を採用しており、令和5年度マンション総合調査ではその割合がさらに増加傾向にあることが示されています。

これは、当初の積立金を低く設定し、築年数が経つにつれて段階的に引き上げていく方式です。中古マンションを購入した時点の金額が「ずっと続く金額」とは限りません。

国土交通省の「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」(2024年6月改定)では、建物の規模に応じた修繕積立金の目安が示されており、平均額は1㎡あたり月額およそ250〜340円です(建物規模により異なります)。

70㎡のマンションなら月額17,500〜23,800円が一つの目安です。購入時の金額がこれより大幅に低い場合は、将来の値上げが予定されている可能性があります。

約3分の1のマンションで積立金が「足りていない」

国土交通省の「令和5年度マンション総合調査」(2024年6月公表)によると、長期修繕計画に対して修繕積立金が不足しているマンションは全体の約37%にのぼります。

積立金が足りなければ、大規模修繕のタイミングで一時金(数十万〜100万円超)を徴収されたり、必要な工事が先送りされて建物の劣化が進んだりするおそれがあります。建物の管理状態は資産価値にも直結するため、「自分の住まいの問題」だけでは済みません。

購入前に確認しておきたい3つの書類

中古マンションの購入を検討する際は、物件の間取りや価格だけでなく、以下の書類を不動産会社に依頼して確認しておくことをおすすめします。

・長期修繕計画書:
今後30年程度の修繕工事の時期・内容・費用がまとめられた計画書です。いつ、いくらの工事が予定されているかが分かります。国土交通省の調査では、中古で購入した人の約半数が購入時にこの計画を「ほとんど確認していない」または「確認していない」と回答しています。

・修繕積立金の残高と改定履歴:
現在の残高が計画に対して十分かどうか、過去にどのような値上げがあったかを確認できます。

・管理組合の総会議事録(直近2〜3年分):
値上げの議論や修繕工事の実施状況、管理組合の運営状態を読み取ることができます。

「マンションは管理を買え」

不動産の世界には「マンションは管理を買え」という言葉があります。建物の見た目や室内のきれいさだけでなく、目に見えにくい管理の質が、暮らしやすさと資産価値の両方を左右するのです。

修繕積立金の額は、購入後の家計に直接影響する「見えにくい固定費」です。

物件価格や住宅ローンの比較だけで安心せず、「5年後、10年後にこの金額がどう変わるか」という視点を持つこと。それが、住んでから後悔しにくいマンション選びの第一歩です。

参考: 
マンションの修繕積立金に関するガイドライン
(国土交通省)
令和5年度マンション総合調査結果からみたマンションの居住と管理の現状 (国土交通省)


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
地方自治体で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


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