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“家賃より安い”築48年団地を現金購入。5月の結露地獄でカビ大量発生。子どもの咳が止まらなくなった一家の後悔

  • 2026.5.20
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出典:PhotoAC ※画像はイメージです

皆さま、こんにちは。現役の不動産会社社長として、日々さまざまな土地や建物のご相談に向き合っている岩井です。

賃貸に住んでいる方の中には「家賃を払い続けるくらいなら安い中古団地を購入したほうが得」と考える方も増えています。特に築古団地は500万円以下で購入できるケースもあり、住宅ローンなしの生活に魅力を感じる方も少なくありません。

しかし、見た目だけ綺麗な築古団地を購入したことで、想像以上の後悔につながるケースも珍しくありません。

今日ご紹介するのは、築48年の団地を現金購入した30代夫婦が、入居後わずか数ヶ月で“結露とカビ地獄”に追い込まれた実話ベースのエピソードです。

子どもの咳や鼻炎症状まで悪化し、安く買えたはずの家が家族の健康と生活を苦しめる結果になってしまいました。

「家賃より安い」に惹かれて購入した築48年団地

数年前、私が不動産売買の相談を受けた際の話です。相談に来られたのは、30代前半のAさんご夫婦でした。小学校低学年のお子さんが1人いる3人家族です。

当時、ご主人はこう話していました。

「毎月11万円の家賃を払うのがもったいなくて…。だったら、安い団地を現金で買ったほうが得かなと思ったんです」

購入したのは、築48年の大型団地でした。価格は480万円ほど。住宅ローンは利用せず、貯金で現金購入したそうです。しかも室内はフルリフォーム済みで、見た目は非常に綺麗だったといいます。奥さまも「古い団地っぽさが全然なかったんです」「これなら快適に暮らせそうだと思っていました」と振り返っていました。

しかし、問題が出始めたのは入居してから1ヶ月後。5月に入り、湿気が増え始めた頃でした。

北側の部屋が“びしょ濡れ”になった5月の異変

最初は、「窓が少し曇るな」程度だったそうです。しかし、さらに湿気が増え始めると、状況は一気に悪化しました。朝起きると、北側の窓は水滴だらけ。壁紙まで湿り、押入れの布団もしっとりしていたといいます。

さらに数週間後。家具を動かした奥さまが、思わず声を上げました。

「えっ…なにこれ…!」

家具の裏一面に、黒カビが大量発生していたのです。しかも、カビは一箇所だけではありませんでした。

  • 敷きっぱなしのマットレス裏
  • 押入れの裏
  • 壁際
  • カーテン周辺

湿気がこもりやすい場所を中心に、次々と黒カビが広がっていったそうです。そして問題は、カビによる見た目の悪化だけでは終わりませんでした。お子さんの咳が止まらなくなったのです。

夜になると咳き込み、鼻炎症状も悪化。病院で診察を受けた際、医師からは「住環境の影響も考えられますね」「カビや湿気は、子どもの呼吸器に影響が出ることがあります」と説明されたそうです。

「安く家を買えたと思っていたのに、何をしているんだろう…」

その瞬間、奥さまは涙を流したといいます。

原因は“昭和団地特有の断熱不足”だった

原因を調べていくうちに、問題は団地の構造そのものにあることが分かってきました。築古団地では、現在の住宅と比べて断熱性能が大きく不足しているケースがあります。

特に昭和時代の団地では、次のような仕様が珍しくありません。

  • 外壁断熱が弱い
  • 単板ガラス(1枚ガラス)
  • 古いアルミサッシ
  • 換気性能不足

つまり、室内外の温度差で結露が発生しやすい構造だったのです。しかも厄介なのが、“内装リフォームでは改善しない”という点でした。

クロスを貼り替えても、床を張り替えても、建物そのものの断熱性能は変わりません。そして、さらに夫婦を苦しめたのが、“窓問題”でした。

「窓を交換できない」と知った瞬間、夫婦は絶句した

結露対策として、夫婦は窓交換を検討しました。

しかし、ここで大きな壁にぶつかります。団地では、サッシ(窓枠)が共用部分扱いになっているケースが多く、個人の判断で自由に交換できないことがあるのです。管理組合の承認が必要となり、場合によっては団地全体での工事判断になることもあります。

実際、管理組合へ相談した際も「個別交換は難しいですね…」と言われてしまったそうです。ご主人はかなりショックを受けていました。

「自分の部屋なのに、自分の判断で直せないのか…」

結局、夫婦は次のような対策を続けることになりました。

  • 除湿機を3台導入
  • 24時間稼働
  • サーキュレーター常時運転
  • 毎日の窓拭き

当然、電気代も上昇。以前の賃貸時代より、毎月1万〜2万円ほど光熱費が増えたそうです。さらに、カビ対策のため家具を壁から離して配置する必要もあり、思うような生活動線も作れない状態でした。

そんな生活が続くなか、ご主人はこう漏らしたそうです。

「安く買った意味が分からない…」

その言葉が、今でも強く印象に残っています。

築古団地は「価格」ではなく“断熱性能”まで確認する

築古団地は、“内装が綺麗だから安心”ではありません。特に確認してほしいのは、次のポイントです。

  • 北側部屋の湿気状況
  • サッシの種類(単板ガラスか)
  • 断熱改修履歴
  • 換気性能
  • 管理組合の修繕方針

実際、築古団地では「住んで初めて分かる湿気問題」が非常に多く、内見だけでは判断しにくいケースも少なくありません。可能であれば、雨の日や湿度が高い日、朝や夜にも現地確認したほうが理想です。

また、内窓(二重窓)の設置や除湿設備の導入などで改善できるケースもあります。ただし、建物そのものの断熱性能には限界があります。だからこそ、“価格の安さ”だけで判断しないことが重要です。

家賃より安いから得だと思っていたはずが、光熱費の増加や健康被害につながるケースも実際にあります。

購入前には、“リフォーム済み”という見た目だけで安心せず、建物そのものの性能まで確認する視点を忘れないでください。



筆者:合同会社ゆう不動産 代表 岩井佑樹

不動産売買の専門家として仲介・査定・買取に携わりながら、不動産Webライターとして1,000記事以上を執筆。「売る力×伝える力」を軸に、情報発信と販売の両面から不動産の価値を高めている。派手さよりも誠実さを大切にし、地域に寄り添う姿勢で「早く・高く・安心」の取引を支える不動産の専門家。


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