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「金利1%に引き下げます」銀行の提案通りに見直した40代男性…なぜか“80万円”を支払う羽目になった大誤算

  • 2026.5.10
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。現役の不動産会社社長として、日々さまざまな土地や建物のご相談に向き合っている岩井です。

4月の新生活シーズンになると「住宅ローンを見直したい」「少しでも返済を軽くしたい」と考える方が一気に増えます。特に最近は金利改定のニュースも多く、大手3行が変動型住宅ローンの基準金利を4月から引き上げると発表しました。

今後も金利は上昇基調が続く可能性があり「今が見直しのチャンスでは?」と動き出す方も少なくありません。

ただ、ここで一つ落とし穴があります。

「金利が下がる=得をする」と思い込んでしまうことです。

今日は、金利の引き下げに成功したにもかかわらず保証料や手数料で約80万円を支払い、結果的にほとんど得をしていなかった40代男性のケースをご紹介します。

「月々を軽くしたい」40代男性Aさんの相談

これは、私が熊本市内で売買仲介をしていた時の話です。相談に来られたのは、40代前半の男性Aさん。ごく普通の会社員で、妻と子ども2人の4人世帯でした。

Aさんは数ヶ月前に住宅を購入し、A銀行で金利1.5%・残債約2,500万円の住宅ローンを利用していました。

「毎月の返済が少しきつくて…」

そう言いながら、少し疲れた表情でこう続けます。

「知人から紹介されたB銀行で、金利1%にできるって言われたんです」

確かに、0.5%の差は魅力的に見えます。毎月の負担が軽くなると考えれば、なおさらです。Aさんも「これは見直すべきだ」と感じたそうです。

ただ、この時点ですでに“誤算の入り口”に立っていたことに、Aさんは気づいていませんでした。

A銀行の“対抗提案”で判断が変わる

Aさんはその後、現在借りているA銀行に相談します。すると、担当者からこんな言葉が返ってきました。

「借り換えされるよりは正直こちらとしても避けたいので…。当行も金利1%に引き下げます」

Aさんは驚いた表情を見せます。

「え、同じ条件にできるんですか?」

つまり

  • 他行へ借り換え→手続きが多く、時間も手間もかかる
  • 今の銀行で金利引き下げ→手続きが簡単でスムーズ

Aさんは一瞬でこう考えました。

「同じ1%なら、わざわざ借り換える必要はないですよね?」

さらに担当者からは、こうも言われます。

「今の契約のまま条件を見直す形なので、お手続きも簡単ですよ」

この一言で、Aさんの中では完全に答えが決まりました。

結果、AさんはA銀行での金利引き下げ(条件変更)を選択します。手間もかからず、金利も下がる。一見すると、非常に合理的な判断です。

ただ、この選択が “見えないコスト”を生むことになるとは、この時は誰も説明していませんでした。

実は発生していた「約80万円の見えないコスト」

ここに大きな落とし穴がありました。A銀行での「金利引き下げ」は、単なる変更ではなく“実質的には新しいローン契約に近い扱い”となっていたのです。

今回のAさんの場合、既存のローン条件を一度見直す(条件変更)手続きとなったことで、保証会社との契約も再設定される形になりました。その結果、新たに保証料(借入額に対して約2%)が発生することになったのです。

  • 残債:約2,500万円(ほぼ元本が減っていない状態)
  • 保証料:約2%→約50万円の負担

さらに

  • 事務手数料:約10万円
  • 契約変更に伴う印紙代・諸費用:約20万円
  • 合計:約80万円の自己負担

Aさんはその場で驚きます。

「え…そんなにかかるんですか?」

ただ、この時点ではすでに手続きは進んでおり、後戻りはできませんでした。「金利は下がる」と思って進めた判断が、思わぬ初期費用として重くのしかかってきた瞬間でした。

本来どうすべきだったのか

このケースは、事前に正しく比較していれば回避できた可能性が高い事例です。

ポイントは大きく3つあります。

1.総支払額で比較する
・金利差ではなく「最終的にいくら得するか」で判断する
・保証料や事務手数料など、初期費用も含めて試算する

2. 回収期間を必ず確認する
・初期費用を何年で回収できるのかを把握する
・回収に10年以上かかる場合は慎重に判断する

3. ライフプランと照らし合わせる
・将来的に売却予定がある場合は、見直しは慎重に行う
・繰り上げ返済の可能性も踏まえて検討する

さらに重要なのは「1社の提案だけで判断しない」ことです。

  • 借り換え
  • 条件変更(今回のような金利引き下げ)
  • 現状維持

この3つを並べて比較することで、はじめて本当に有利な選択が見えてきます。「金利が下がる=得」という考え方だけで判断してしまうと、今回のAさんのように結果的に損をしてしまう可能性があるため注意が必要です。

「金利が下がる=得」ではないという現実

住宅ローンの見直しは、「やらないと損」と感じやすいものです。

しかし実際には、動いたことで損をするケースも珍しくありません。保証料や手数料などの初期費用を見落とすと「金利が下がったのに得していない」という結果になります。

住宅ローンは長期の契約です。だからこそ、金利ではなく総額と回収期間で判断することが重要です。その一歩が、数十万円の差になることもある。

この現実は、ぜひ知っておいてください。



筆者:合同会社ゆう不動産 代表 岩井佑樹

不動産売買の専門家として仲介・査定・買取に携わりながら、不動産Webライターとして1,000記事以上を執筆。「売る力×伝える力」を軸に、情報発信と販売の両面から不動産の価値を高めている。派手さよりも誠実さを大切にし、地域に寄り添う姿勢で「早く・高く・安心」の取引を支える不動産の専門家。


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