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「閉めたままでいいかな」オープンカーを200万円台で購入も…納車後、26歳女性が痛感した“誤算”

  • 2026.4.17
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出典元:PIXTA(画像はイメージです)

小学3年生の頃、父親のオープンカーの助手席で感じた夕方の風。そのときの特別な記憶は、今回お話を伺った女性・Aさんにとって、今も心に深く残っているといいます。

免許を取ってからも、「いつか自分もオープンカーに乗りたい」という思いは消えず、その憧れの先にたどり着いたのがGRコペン(コペン GR SPORT)でした。もちろん、実用性への不安がまったくなかったわけではありません。実際に乗り始めてみると、理想と現実の違いを感じる場面もあったそうです。それでも、幼い頃から憧れていた存在を自分の手で掴んだ経験は、彼女にとって何にも代えがたいものになっているようです。

今回は、そんな一人の女性と愛車が紡ぐ、等身大の日々をお届けします。

記憶の中の夕方の風と、非日常のワクワク感

皆さんも、日常のふとした瞬間に昔の出来事を思い出すことはないでしょうか。Aさんにとって、夕暮れどきのひんやりとした空気は、子どもの頃の大切な記憶を呼び起こすものなのだそうです。その記憶は、ただの移動手段だと思っていた車が、特別な乗り物へと変わった瞬間でもありました。

Aさんは小学3年生の頃、父親が乗っていたオープンカーの助手席に乗せてもらったことがあるといいます。普段乗っていた実用的な家族の車とは違い、その一台には、子ども心にもはっきりと伝わる“特別な空気”があったそうです。そのとき見上げた空はいつもより高く感じられ、流れていく街の景色も、普段とはまるで違って見えたといいます。夕方の少しひんやりとした風を全身で受けながら走った体験は、当時の彼女の心に忘れられない記憶として刻まれました。屋根のある車では味わえない非日常の空間と、風を切って走る感覚に、胸が高鳴ったことを今でも鮮明に覚えていると語ってくれました。

その記憶は、長いあいだ心の奥に残り続けていたようです。そして大人になって運転免許を取得してからは、自然と屋根の開くオープンカーを探すようになっていたといいます。彼女にとってオープンカーは、単なる車ではなく、あの日のワクワクを呼び起こしてくれる特別な存在になっていたのかもしれません。

一目惚れしたGRコペンとの出会い

そんな憧れを胸に、いくつかの候補を見ていく中でAさんが運命的に出会ったのは、ダイハツのGRコペンでした。写真を見た瞬間、ヘッドライトがキュッとした目のように見えるスポーティなデザインに惹かれ、自分の好みにぴったりだと感じたそうです。小さくコンパクトなフォルムは、かっこよさ一辺倒ではなく、どこか愛嬌も感じられる絶妙なバランスで、「これ以上気に入る車はない」と思えるほどだったといいます。

もちろん、他の車とまったく迷わなかったわけではありません。ホンダのS660も選択肢のひとつとして真剣に比較したそうです。S660の本格的なスポーティさにも強く惹かれたものの、最終的にGRコペンを選んだのは、デザインが彼女にとってまさに理想通りだったことに加え、手元のスイッチで屋根を自動開閉できる点が大きな決め手になったからだといいます。

購入価格は200万円台後半。当時26歳だったAさんにとって、決して気軽に手を出せる買い物ではありませんでした。また、2人乗りという実用性の低さにも、少なからず不安を感じていたそうです。それでも、「今しか乗れないかもしれない」という思いと、「最初に買う車だからこそ、自分が本当に好きなものを選びたい」という気持ちが、最後の一歩を後押ししてくれました。すべてが便利でなくても、自分の気持ちを優先して選ぶことには、きっと大きな意味がある。彼女はそう感じたのだといいます。

理想と現実のズレを感じた、海辺でのリアル

待ちに待った納車は、空気が澄み始めた2022年の秋のことでした。ようやく手に入れた喜びもあり、最初の頃はひとりでドライブに出かけるときも、積極的に屋根を開けて走っていたそうです。

念願の愛車で初めて海まで足を延ばした日の気持ちは、言葉ではうまく表せないほど特別なものだったと語ってくれました。秋の心地よい気候のなか、海岸沿いの道を、屋根を全開にして走ったときには、空の広さや波の音を直接感じられる嬉しさと、周囲の視線に対するほんの少しの恥ずかしさが入り混じった、不思議な感覚を味わったそうです。

ただ、季節が冬へと進むにつれて、少しずつ理想と現実のズレも見えてきました。暖房を強くしても、冬の冷たい風が容赦なく車内に入り込み、想像以上の寒さを感じてしまったようです。さらに、風で髪が大きく乱れてしまい、思い描いていた優雅なドライブとは少し違う現実を突きつけられることになりました。

さらに季節が巡ると、別の意味での不便さも見えてくるようになります。夏は照りつける日差しがじりじりと暑く、髪の乱れや人目も気になり始めました。そうしたことが重なるうちに、「今日は閉めたままでいいかな」と思う日が少しずつ増え、オープンにせず走る機会も多くなっていったと語ってくれました。

屋根を開けない日が増えても、色褪せない大切な夢

せっかく夢だったオープンカーを買ったのに、毎日屋根を開けて走るわけではない。その事実に、Aさんは正直もったいないと感じることもあるといいます。けれど、そうした想定外があっても、不思議と後悔の気持ちは湧いてこないそうです。

彼女にとってGRコペンは、単なる趣味の車ではありません。子どもの頃から心に残っていた憧れを、自分のお金と意思で叶えた証のような存在だからです。すべてが理想通りでなくても、「自分が好きで選んだ」という事実そのものが、この車をかけがえのないものにしてくれているのでしょう。

そして今でも、ふと思い立って屋根を開けて走ると、あの夕方の風を思い出すことができるそうです。風の匂いの中に、小学3年生だった頃の自分や、あの頃の家族の空気感がふっと蘇る瞬間があるといいます。今は少し離れた場所で暮らす父親の存在も、当時のドライブの記憶と重なって、どこか近くに感じられる気がして心が温かくなるのだと語ってくれました。

オープンカーのある生活は、毎日が思い描いたロマンそのもの、というわけではないのかもしれません。それでも、毎日屋根を開けていなくても、Aさんの夢はたしかに叶っていた。そんな実感が、この愛車と過ごす日々の中にはあるようです。これからも少しの不便さを受け入れながら、自分らしい等身大のカーライフを楽しんでいきたい。彼女はそう穏やかに締めくくってくれました。



ライター:Masaki.N
自動車メーカーで車体開発エンジニアとして設計・先行開発に携わった後、マーケティング/市場リサーチ領域で商品導入・訴求設計にも従事。さらに自動車サブスク系ITベンチャーでマーケティングを担当し、ユーザー視点のコミュニケーション設計を経験。現在は自動車ライターとして、新車情報、技術解説、モデル比較、中古車相場、維持費、業界動向まで幅広く執筆。SEO記事・コラム・インタビューなど媒体横断で制作し、専門知識を生活者の言葉に翻訳して「買う/持つ」の判断を支援します。加えて、カスタムを含む実車取材・体験を通じて得た一次情報を記事に落とし込み、机上の知識にとどまらない“現場感”のある解説を強みとしています。


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