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マツダ2生産終了に新型CX-5のディーゼル廃止、マツダの“大胆な戦略”に車のプロが思うこと

  • 2026.6.4
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出典元:PIXTA(画像はイメージです)

マツダの人気SUV、CX-5が新型へと生まれ変わりました。長年の強みだったディーゼルエンジンが設定されず、内装の物理スイッチも大幅に減るなど、これまでのイメージを覆す大きな変化を遂げています。ファンから戸惑いの声も上がるなか、なぜマツダはこの大胆な決断を下したのでしょうか。

新型CX-5に盛り込まれた数々の変更点から、自動車メーカーとしてマツダが思い描く次世代の戦略を読み解きます。

新型CX-5はマツダの未来を映す一台?

週末のドライブや平日の美しい街並みなど、私たちの日常風景のなかでマツダのCX-5を見かける機会はとても多いのではないでしょうか。洗練された都会的な外観と、ドライバーが心地よく扱える高い走行性能を両立したこの車は、クロスオーバーSUVというジャンルにおいて幅広い層から親しまれる存在となっています。

そんな私たちの生活にすっかり溶け込んでいるCX-5ですが、今回の新しいモデルチェンジに際しては、これまでとは少し異なる特別な緊張感が漂っているように感じられます。なぜなら、この新型車に施された変更内容が、従来のイメージを覆すほど思い切ったものだったからです。

CX-5の初代モデルは、現在のマツダを象徴するデザインテーマや独自のスカイアクティブ技術を初めて全面的に採用した、まさにブランドの運命を変えた記念碑的な車でした。それ以来、世界中で高い評価を受け続け、今や世界累計の生産・販売台数が500万台規模に達するほどの、屋台骨を支える最量販モデルへと成長を遂げています。

このように、世界中のユーザーからもっとも選ばれているエース車種だからこそ、今回施された大胆な仕様変更は、単なる一過性の流行を取り入れたものではないはずです。この車が大きく変わるということは、マツダ全体のこれからの方向性が大きく変わることを意味しているといえます。では、具体的にどのような変化が訪れたのか、まずはもっとも多くの反響を呼んでいるエンジンの話題から見ていきましょう。

代名詞であったディーゼルを手放した背景

これまでのCX-5を語るうえで、切っても切り離せないのがクリーンディーゼルエンジンの存在でした。低い回転数からでも力強く湧き上がる太いトルクは、高速道路の合流や険しい上り坂でもストレスのないスムーズな加速をもたらし、多くのドライバーを魅了し続けてきました。

長距離のドライブでも疲れにくく、燃料代を安く抑えられる経済性の高さも相まって、この車を選ぶならディーゼルしかないと考えているユーザーも少なくないと思われます。しかし、今回の新型モデルでは、その代名詞ともいえるディーゼルエンジンの設定がなくなりました。

マツダの走りの楽しさを支えてきた主役がいなくなるわけですから、これまでの高い人気を知るファンや既存のオーナーから戸惑いの声が上がるのも無理はありません。それでもマツダがこの大胆な決断を下した背景には、グローバル市場における環境規制の厳格化という、避けては通れない現実的な課題があります。

世界的に排ガスに対する基準が年々厳しくなるなかで、クリーンディーゼルを適合させ続けるためには、莫大な開発コストと時間がかかってしまいます。中規模な自動車メーカーであるマツダにとって、限られたリソースをどこに投資するかという選択は、今後の生き残りをかけた極めてシビアな問題だといえるでしょう。

長く親しまれたディーゼルに別れを告げたことは、マツダが新しい時代へ進むための現実的な大転換であると考えられます。そうなると次に気になるのは、これほどの人気エンジンに代わって、新型車の心臓部としてどのようなパワートレインが用意されたのか、という点ではないでしょうか。

ハイブリッド化という現実的な選択

ディーゼルという強力な選択肢に代わり、新型CX-5がこれからの主力として軸足を移したのが、ガソリンエンジンに電気モーターを組み合わせたハイブリッドシステムです。

ただし、新型CX-5では、現在、マイルドハイブリッドのみの設定となっておりますが、マツダ独自の新しいハイブリッドシステムについては2027年頃の投入予定とされています。そして、かつてのようにディーゼルならではの力強さで走りと燃費を両立してきた役割を、これからはこのハイブリッドシステムが順次担っていくことになります。

現在の自動車業界全体を見渡してみると、一時期のような電気自動車への完全な移行を一辺倒に進める動きから、ハイブリッド車の価値を改めて見直そうという揺り戻しのトレンドが世界的に見られます。充電インフラの課題や日常での使い勝手を考慮したとき、電気とガソリンの長所を組み合わせたハイブリッドは、現在のドライバーにとってもっとも現実的で選びやすい選択肢として再評価されているのです。

こうした市場の動きを踏まえると、マツダがすべてを急進的に電気自動車へ振るのではなく、内燃機関の技術を活かしながら段階的にハイブリッドの車種を拡大していく戦略は、非常に合理的でバランスの取れた判断であるといえます。車の命ともいえるパワートレインが次世代の形へと変化を遂げた一方で、私たちが実際に乗り込んで触れることになるインテリアの空間にも、同様に驚くべき変化が訪れています。

物理スイッチ削減に見る先進性と使いやすさのバランス

新型CX-5の運転席に腰を下ろすと、目の前に広がる光景の変化に驚かされるかもしれません。インパネ周りに残された物理スイッチは、ハザードランプ、デフロスター(フロントガラスの曇り取り)、デフォッガー(リアガラスの曇り取り)のみとなり、これまで手元で直感的に操作できていたエアコンの温度調整やオーディオの音量変更といったボタンが大幅に削減されていることが分かります。

その代わりにダッシュボードの中央へ配置されたのが、12.9インチ(上級グレードは15.6インチ)という大型のセンターディスプレイです。この思い切ったデザインの変更に対して、市場からは見た目がスマートでかっこいいと称賛される一方で、物理スイッチが減ったことで「走行中に画面を見ないと操作しにくいのではないか」という懸念の声も上がっています。

しかし、その点についても新しい解決策が用意されています。新型CX-5にはGoogleを搭載したナビが装備されており、音声認識による操作が可能になっています。つまり、タッチパネルを注視しなくても、声だけで直感的にエアコンやオーディオをコントロールできる、新しいブラインド操作の環境が確立されているのです。

何でもデジタル化してタッチパネルに集約することが必ずしも正解とは限らない、という議論があるなかで、マツダは高精度な音声操作というアプローチで先進性と使いやすさの両立を図りました。環境が激変していく車内空間ですが、こうした内装に見られる大胆な割り切りや上質さへのシフトは、マツダが目指しているブランド全体の大きなSUV戦略とも深く結びついているのです。

賛否が出るのは期待の表れといえる今後の展開

新型CX-5がこれほどまでにドラスティックな変化を選んだ背景は、マツダが現在進めているラインアップ全体の再編計画に目を向けることで、より深く理解できるようになります。

現在マツダの商品戦略では、これまで以上にSUVへの集中が強まっています。エントリーモデルを支えてきた小型車のMAZDA2については、先日、生産終了が発表されました。長年親しまれてきた大切なモデルが姿を消していく寂しさはありますが、その一方で、海外の拠点を活用して新しい小型SUVを日本国内やアジア市場へ積極的に展開していく方針も示されています。

具体的には、2027年にタイの工場で生産が開始され、日本市場へ投入される予定の「次期型CX-3」がその役割を担うことになります。生産を終了するMAZDA2などが支えてきたBセグメント(小型車)の需要を、この次期型CX-3でしっかりとカバーしていくという、コンパクトカーの領域までもSUVの形で再構築しようとする前向きな動きがうかがえます。

このようなSUV中心の流れのなかで、多くのユーザーにとってもっとも現実的で手の届きやすい本命としての役割を強く期待されているのがCX-5です。だからこそ、その中心モデルであるこの新型車には、ディーゼルの廃止や物理スイッチの削減といった、これからのマツダの基準となる先進的な試みが一足先に集約されたのだと考えられます。

使い慣れた機能が変わっていくことに対して、従来のファンから寂しさの声が上がるのはとても自然なことです。しかし、これほどまでに熱い意見が交わされること自体が、この車がマツダにとってもユーザーにとってもいかに大切な存在であるかを示す証拠といえるのではないでしょうか。新しく生まれ変わったCX-5がこれから市場でどのように受け止められていくのか、その行く末は今後の自動車市場を占う意味でも、非常に興味深い注目点となりそうです。



ライター:Masaki.N
自動車メーカーで車体開発エンジニアとして設計・先行開発に携わった後、マーケティング/市場リサーチ領域で商品導入・訴求設計にも従事。さらに自動車サブスク系ITベンチャーでマーケティングを担当し、ユーザー視点のコミュニケーション設計を経験。現在は自動車ライターとして、新車情報、技術解説、モデル比較、中古車相場、維持費、業界動向まで幅広く執筆。SEO記事・コラム・インタビューなど媒体横断で制作し、専門知識を生活者の言葉に翻訳して「買う/持つ」の判断を支援します。加えて、カスタムを含む実車取材・体験を通じて得た一次情報を記事に落とし込み、机上の知識にとどまらない“現場感”のある解説を強みとしています。


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