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膝や股関節に不安のある人こそオススメ「3秒筋トレ」。驚きのメカニズムと初心者向け実践方法

  • 2026.3.16

膝や股関節に不安のある人こそオススメ「3秒筋トレ」。驚きのメカニズムと初心者向け実践方法

「3秒で筋トレ?」と思わず聞き返したくなる筋力アップ法が話題です。ニューヨーク・タイムズにも掲載された“超タイパ”筋トレ「3秒筋トレ」。そのユニークな研究結果をもとに、3秒の運動から100年ものの足腰を作る方法を紹介した本『たった3秒筋トレ 世界最短時間で10歳若返る』(中村雅俊著・講談社刊)から、一部抜粋してお届けします。第2回は、「3秒筋トレ」の驚きのメカニズム。

膝や股関節に不安のある方こそ、「3秒筋トレ」

歳を重ねて足腰が衰えるにつれて、多くの方が膝や股関節に違和感や痛みを抱えるようになります。こうした違和感や痛みの背景にあるのは、関節でクッションの役割を果たしている軟骨が少しずつすり減り、変形してくること。

なかでも、膝の軟骨がすり減って起こる「変形性膝関節症」は、日本では潜在的な患者さんを含めるとおよそ3000万人になるとも言われる国民病。その初期では、歩き始めや立ち上がるときに軽い痛みがあり、やがて階段の上り下りや正座が困難になります。

膝や股関節に違和感や痛みがある人は、整形外科で専門医の診断を仰いでください。診断の結果、手術などの治療が求められる場合もありますが、軽症の段階では膝や股関節の負担を減らすための「運動療法」が推奨されるでしょう。

膝や股関節の負担を減らす運動療法のターゲットとなるのは、太もも前側の大腿四頭筋(だいたいしとうきん)という筋肉。股関節の「変形性股関節症」では、大腿四頭筋に加えて、太もも後ろ側のハムストリングス、お尻の大臀筋(だいでんきん)といった筋肉も運動療法のターゲットとなります。

こうした筋肉を鍛えて関節を守ってくれるのが、他ならぬ「3秒筋トレ」。

なかでも基本のキとなるのが、「椅子座り」「かかと下ろし」です。

「ゆっくり下ろす」のが筋力アップによい理由

たった3秒で効かせる「3秒筋トレ」のコツは、とにかく3秒かけて「ゆっくり下ろす」こと。「ゆっくり下ろす」ほうが筋力はアップしやすいからです。

私が「ゆっくり下ろす」ことに目を向けたのは、筋トレのハードルを下げるため。

筋トレには、大きく2つのプロセスがあります。たとえば、「3秒筋トレ」の基本種目である「椅子座り」なら、❶座面にお尻を下ろす→❷立ち上がるという2つです。

専門的には、この2つのプロセスは次のように整理されています(写真参照)。

❶ 座面にお尻を下ろす=エキセントリック運動(筋肉が伸ばされながら力を発揮する運動)

❷ 立ち上がる=コンセントリック運動(筋肉が縮みながら力を発揮する運動)

筋トレのハードルを下げるため、私は2つのプロセスを1つ省略し、1つだけにできないかと考えました。エキセントリック運動だけ、あるいはコンセントリック運動だけで、筋力アップできないかを検証してみたのです。

調べてみると、エキセントリック運動のほうが、コンセントリック運動より、筋力がアップしやすいというエビデンス(科学的な証拠)が見つかりました。

骨密度、血圧、血糖値、中性脂肪、コレステロール値にも影響が!

さらに、エキセントリック運動のほうがコンセントリック運動よりも、骨密度が高まり、血圧(収縮期血圧、上の血圧)、血糖値(平均血糖値、糖負荷試験)、脂質異常症(中性脂肪、悪玉コレステロール)に関する数値も、改善していることがわかりました。エキセントリック運動の効果は、筋力アップのみに留まらないのです。

私たちの研究室でも、学生に協力を仰いで実験してみたところ、筋力アップに関してはエキセントリック運動がより重要であり、コンセントリック運動はあってもなくてもよいという思わぬ結果が得られました。

エキセントリック運動とコンセントリック運動はコインの裏表のようなもの。椅子にゆっくり座るためには、立ち上がらなければなりません。しかし、「ゆっくり下ろす」でエキセントリック運動を丁寧にじっくりゆっくり行い、「立ち上がる」というコンセントリック運動はさっと済ませても(何なら立ち上がるときは手を膝についてサポートしても)、筋力アップは望めるのです。

なぜエキセントリック運動のほうが、筋力アップしやすいのでしょうか。

理由は、働く筋線維の性質の違いにあります。

筋肉は無数の筋線維を束ねたもの。その筋線維には速筋線維と遅筋線維という2つのタイプがあります。

速筋線維はパワーがあり、瞬発的に働くのが得意。遅筋線維はパワーに乏しい反面、スタミナがあって粘り強く長く働くのが得意です。

エキセントリック運動で優先的に使われるのは、よりパワフルな速筋線維。ですから、エキセントリック運動のほうが筋力はアップしやすいのです。そして、速筋線維は大きくなりやすい(筋肥大しやすい)という特徴があるため、エキセントリック運動を続けているとやがて筋肉全体が大きく太くなります。

「3秒筋トレ」が「ゆっくり下ろす」ことを重視するのは、エキセントリック運動をゆっくりじっくり丁寧に行うため。すると速筋線維が効果的に刺激できるため、高齢者でも筋力アップが望めるのです(ちなみにウォーキングでメインに働くのは遅筋線維です)。

速筋線維はパワフルで力持ちですから、速筋線維を優先的に使うエキセントリック運動は疲れにくいという特徴があります。「3秒筋トレ」が疲れにくいのも、エキセントリック運動がメインだから。疲れにくいから、ラクに誰でも続けやすいのです。

※この記事は『たった3秒筋トレ 世界最短時間で10歳若返る』中村雅俊著(講談社刊)の内容を、ウェブ記事用に再編集しています。

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