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遭遇困難な「海の王者・シロナガスクジラ」、わずか24時間で3頭を目撃

  • 2026.3.16
目撃されたシロナガスクジラ/ CREDIT: New England Aquarium

シロナガスクジラは現在、地球上で最も大きな動物です。

しかし、彼らはすでに絶滅危惧種に指定されている上に、あまりにも広大な海を移動しているため、研究者でさえ滅多に出会えません。

そんな中、アメリカの研究チームが、同国東部ニューイングランド沖にて、わずか24時間のあいだに3頭のシロナガスクジラと遭遇したのです。

これほど短時間での連続遭遇は、極めて珍しいと報告されています。

目次

  • シロナガスクジラと奇跡の連続遭遇
  • シロナガスクジラ以外も?1回の飛行で300頭以上を発見

シロナガスクジラと奇跡の連続遭遇

今回の発見をしたのは、ニューイングランド水族館のアンダーソン・キャボット海洋生命センターの航空調査チームです。

最初の目撃は2026年2月27日のこと。

調査機が北東キャニオン・シーマウント海洋国定記念物の上空を飛行していた際、海面近くを漂う1頭のシロナガスクジラを確認しました。

しかし、驚きはこれで終わりませんでした。

翌2月28日、チームはニューイングランド南部の海域を別の航空調査で飛行していたところ、さらに2頭のシロナガスクジラを発見したのです。

つまり、わずか24時間のうちに、異なる2つの海域で合計3頭が確認されたことになります。

目撃されたシロナガスクジラ/ CREDIT: New England Aquarium

調査に参加したキャサリン・マッケナ氏は「シロナガスクジラをカナダの主要な採餌海域の外で見ること自体が、大西洋では珍しい」と説明しています。

そのうえ、24時間のうちに別々の海域で続けてシロナガスクジラが見つかったのは、チームにとって初めてのことでした。

しかも、ニューイングランド水族館がニューイングランド南部の調査海域でシロナガスクジラを記録したのは今回が初めてです。

これまで同水族館がニューイングランド海域でシロナガスクジラを確認したのは、2020年に海洋国定記念物内で1回、2023年秋にメイン州沖で1回の、わずか2回しかありませんでした。

今回の連続目撃がいかに異例かが分かります。

シロナガスクジラは北極海を除く主要な海に分布するとされますが、広大な外洋を移動し続けるため、その姿はしばしば“海の中の幻”のようです。

巨大だから見つけやすいだろうと思いがちですが、実際にはその逆で、海が広すぎるために遭遇は非常に難しいのです。

シロナガスクジラ以外も?1回の飛行で300頭以上を発見

チームは、北西大西洋のシロナガスクジラ個体群について、まだ十分な情報を持っていません。

推定では400〜600頭ほどしかいない可能性があり、絶滅危惧種でもあります。

とくに詳しく調べられているのは、カナダのセントローレンス湾にある夏の採餌海域で、それ以外の地域での出現は比較的まれです。

そのため今回の3頭の確認は、単なる「珍しい目撃情報」以上の意味を持ちます。

2月28日の調査で目撃を行ったオーラ・オブライエン氏は、ニューイングランド南部沖にシロナガスクジラが分散して現れたことは、彼らが餌を見つけやすい海洋環境が整っていた可能性を示すと述べています。

言い換えれば、クジラが突然ふらりと現れたのではなく、その海域に彼らを引き寄せるだけの条件がそろっていたかもしれないのです。

シロナガスクジラが目撃された場所(星マーク)/ CREDIT: New England Aquarium

航空調査は、こうした移動性の高い動物を知るうえで非常に重要です。

クジラやウミガメ、サメのような生物は、科学者の視界に入らないまま広大な海を移動します。

だからこそ、空からの観察によって、どこに、どの時期に、どの種が現れるのかを少しずつ積み上げていく必要があります。

実際、2月27日の調査ではシロナガスクジラだけでなく、ナガスクジラ3頭、マッコウクジラ3頭、約50頭のゴンドウクジラ、さらに数百頭のイルカも確認されました。

1回の飛行で300頭以上の海洋動物が見つかったという事実は、この海域が多様な大型海洋生物にとって重要な生息環境であることを物語っています。

こうした発見は、北東キャニオン・シーマウント海洋国定記念物の価値を考えるうえでも示唆的です。

この海域はケープコッドの南東沖に広がる海中保護区で、深海サンゴや魚類、クジラ、ウミガメなど多くの生物が利用しています。

巨大なクジラの目撃は、海の表面に現れた一瞬の出来事ですが、その背後には海底から海面までつながる豊かな生態系があるのです。

参考文献

New England Aquarium spots blue whales during back-to-back aerial surveys over Northeast Canyons and Seamounts Marine National Monument and off southern New England
https://www.neaq.org/about-us/press-room/press-releases/aquarium-spots-blue-whales-during-back-to-back-aerial-surveys/

Marine biologists spot rare blue whales off Massachusetts coast
https://www.popsci.com/environment/blue-whales-massachusetts/

ライター

千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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