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2026年のプリツカー賞は、チリ出身の建築家スミルハン・ラディックが受賞

  • 2026.3.13
photo courtesy of The Pritzker Architecture Prize(左)、Guatero, photo courtesy of Smiljan Radić(右)

1979年に創設された国際的な建築賞「プリツカー賞」。注目の2026年の受賞者はチリ・サンティアゴを拠点とする建築家、スミルハン・ラディック・クラークに決定した。




Guatero, photo courtesy of Smiljan Radić

スミルハン・ラディックは1965年、チリのサンティアゴ生まれの建築家。1989年にチリ・カトリック大学で建築を修了した後、ヴェネチア建築大学で学び、1995年に事務所を開設した。

彼は特定の建築スタイルというものを持たず、厳しいチリの気候や風土、そして彼自身が親しんできた童話や神話や彼の心の中にある原風景から深い着想を得て、プロジェクトごとに異なる手法を使った独創性の高い建築を発表している。


<写真>第22回チリ建築ビエンナーレのために制作された「Guatero(グアテーロ)」はチリの言葉で「湯たんぽ」という意味。

Guatero, photo courtesy of Cristobal Palma

自身の作品についてラディックは「建築は、大きく重厚で永続的な形態――太陽の下で何世紀にもわたって佇み、私たちの訪問を待っている構造物――と、虫の寿命のように儚く、従来の光の下では明確な運命を持たないことが多い、小さく脆い構造物との間に存在しています。この異なる時の緊張関係の中で、私たちは無関心に通り過ぎてしまうことの多い世界に人々が立ち止まり、再考を促すような、存在感を持つ体験を創り出そうと努めています」と語る。


<写真>「グアテーロ」の内部。半透明の皮膜に空気を送り込み、その圧力で形を保ちながら展示空間を構成している。人が触れたり動くことで建築そのものも不安定に揺らぐ、その「脆さ」がゲストの空間体験となる。

Serpentine Gallery Pavilion, photo courtesy of Iwan Baan

審査員であるアレハンドロ・アラヴェナは「どの作品においても、彼は際立った独創性をもって応え、目に見えないものを確かな形にしてくれます。建築の最も純粋な原点に立ち返りながら、同時にまだ誰も触れたことのない未知の領域を探求しているのです。地震が多く厳しい環境下であるチリで、ごくわずかな仲間たちと設計を続けながら、彼は私たちを、建築と人間の営みの最も深い核心へと導いてくれるのです」と語る。


<写真>イギリス・ロンドンに2014年に手掛けた「サーペンタイン・ギャラリー・パビリオン」。地元で調達された巨大な自然石の上に半透明のグラスファイバー製のシェルを乗せ、宙に浮いているかのような不思議な空間を生み出した 。

Serpentine Gallery Pavilion, photo courtesy of Iwan Baan

さらにラディックの詩的な世界観の表現は建築だけにとどまらないというのもユニークな点。マルセラ・コレアとの協業で彫刻や映像作品も発表しているほか、文学やアートから多大な影響を受けている語る彼は、2011年にオスカー・ワイルドの童話『わがままな大男(The Selfish Giant)』を題材にした作品『The Selfish Giant's Castle』を出版 。この本は日本のアーティスト、平山昌尚がイラストを担当している。

<写真>「サーペンタイン・ギャラリー・パビリオン」の内部。

Teatro Regional del Bío-Bío, photo courtesy of Cristobal Palma

目まぐるしく変化し、正解を見つけることが難しい現代。時に意図的に未完成であるかのような余白を残し、人間の脆さに優しく寄うラディックの建築は、私たちがふと立ち止まり、自身と向き合う静かなシェルターとして、これからも世界に美しい風景を残していくだろう。

<写真>チリ・ビオビオ州コンセプシオンに建つアコーディオンのような独創的なファサードの「ビオビオ州立劇場」。

Courtesy of Tadao Ando Architect & Associates.

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iwan baarn
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