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【映画予告編でわかる国民性の違い】日米『アナと雪の女王』を比較!ヒットの秘密を握る「ADR」「感情曲線」とは?

  • 2026.3.6

2025年に日本で公開された映画は1,305本。話題作の「国宝」を含め多彩な作品を観に多くの人々が映画館に足を運んだことでしょう。本編上映前に流れる「予告編」をみて「次はこれを観てみたい」と思った経験はありませんか? 今回は映画のヒットを支える重要な要素の一つである「予告編」の知られざる世界についてご紹介します。

「映画予告編」だけを制作する専門の会社がある

映画作品の世界観や魅力を伝え、ヒットに導く重要な役割を担っているのが「映画の予告編」。映画館の幕間で観た予告編で「面白そう」と感じて、次に観にいく作品を決めたことがある人は多いのではないでしょうか。実は、「映画の予告編」だけを制作する専門会社があるんです!

株式会社ココロドルもそのひとつ。映画の宣伝および劇場予告に関する映像の企画、制作などを専門に年間100本以上の予告編制作やプロモーションムービーを制作しています。

ココロドルが手がけた予告編作品

ココロドルが手がけた直近の予告編作品は、海外映画祭で4冠を達成したゆりやんレトリィバァ初監督映画の「禍禍女(まがまがおんな)」です。

 

 

また、代表の密本さんが手掛けた予告編作品のひとつである『FALL<フォール>』は、予告編だけでも88万回再生を達成。2022年にアメリカで公開された作品ですが、そこから日本での上映が決まり、上映が終わるとサブスク配信を開始。Netflixでは一時3位となった実績を持ちます。

 

 

『FALL<フォール>』は、映画レビューサービス「Filmarks<フィルマークス>」で、9万以上のクリップ数を獲得。ちなみに『劇場版「鬼滅の刃」無限城編』のクリップ数が約10万なので、その注目度が伺えます(2026年3月2日現在)。

※Filmarksは、ドラマ・アニメのレビュー・評価・感想を投稿・閲覧できる国内最大級のサービスです。

株式会社ココロドル 代表取締役 密本雄太氏

「予告編は、映画というパズル全体のパーツを分解していいものを組み合わせていくもの。センスや感覚的なものではなく、パズルに見立てて法則的にすることで未来へと継承したい。映画をつくる人と予告編をつくる人は=(イコール)ではない。映画予告編は、作品ではなく広告」と、密本さんは言います。

パズルのピースは必ずしもシーンではないこともあります。セリフやテロップ、ナレーション、BGMなどさまざまな要素がパーツとなり得るのです。

国と文化で変化「映画予告編」日本vs.アメリカ編

「映画予告編」の制作手法は国ごとに異なり、同じ作品でも違った印象を与えることも多いそうです。

日本の文化志向が「謙遜」「集団」「依存」に対してアメリカの文化志向は「対等」「個人」「自立」。その文化志向をもとに「アナと雪の女王」の予告編を比較してみると……。

 

 

日本版「映画予告編」はストーリー重視。姉妹の感動作品として紹介され、登場人物はアナとエルサのみクローズアップされています。

 

 

一方でアメリカ版は、ジョークを中心に軽いポップな感じで紹介。主要キャラをすべてピックアップしています。

また、日本でも大ヒットしたトム・クルーズ主演の「トップガン」は、アメリカではアクション映画として紹介されていました。ところが日本ではラブストーリーとして売り出そうと計画され、予告編の中にアクションシーンを入れなかった結果、大ヒットにつながったそうです。

「映画予告編」は音が命!

映画予告編の尺は、90秒~2分半。その中で「音」が果たす役割は最重要とされています。ハリウッドにはトレーラーミュージックバンカーといわれる音専門の人もいるほど。本編では使用されない音楽や専用の効果音も制作され、BGMにオーケストラを起用することもあるそうです。

まったく同じ映像の予告編でも、ホラー調の音を入れるのと、ラブストーリーっぽい音を入れるのではまったく違った作品に変化します。人の感情は能動的に見る視覚情報よりも、受動的に入ってくる聴覚情報に強く影響され、それほど「音」というものは人間の感情に訴える力を持っているのです。

予告編だけにしかないセリフとカット「ADR」って?なぜ必要?

「ADR」とは、映画予告編の中の、本編で全く使用されていないカットやセリフを指します。海外の予告編集業界で使われる専門用語です。

ではなぜ、「ADR」が必要なのでしょう?

それは、映画予告編制作の構成は「起承転……」の3幕構成であり、「結」がないことに関係しています。

3幕で構成される映画予告編制作

1幕「世界観の設定」

主人公の紹介や舞台設定などから静かに始まります。

2幕「問題定義」

敵は誰か、問題になっていることは何か? など、立ちはだかる壁が出てきます。

3幕「クライマックス」

どう解決していくのか? 解決できるのか? まさに「起承転……」の「……」の部分です。

ここまできたら、「結」が気になる~!

予告編を観てすべてが完結してしまっては、映画を観に行こうという人は増やせません。そこで大切なのが「起承転結」の「結」をみんなに考えさせること。「起承転……」といったところで終わらせなければなりません。そのためにわざわざ「ADR」を作るそうです。

本編とは異なる予告編のチームで別に撮影をしたり、ナレーションを後入れしたりすることもあるそうですよ。

3幕で構成される「予告編における感情曲線」

予告編の感情曲線はおもに3幕で構成される。感情曲線をグラフで表すと、予告編を見はじめたところを1幕とし、右肩あがりで2幕、3幕と徐々にその映画を観たいと思う欲求度が上がっていく

感情曲線とは、感情の変化をグラフ化したもの。ここでは、映画予告編を見た視聴者の感情曲線について紐解きます。

まず気になって【興味】、次に徐々に引き込まれ【没入】、最終的に欲求が確定すると欲しくなる【欲求】。3幕構成なのは「人間の感情は基本的に3段階で動く」といわれているからだそうです。理論的証明というより産業的に最適化された結果なのだそう。人間の心理をついて、予告している映画が観たくなるよう誘導できれば大成功というわけですね。

次に映画館で予告編を見るときには、また違った側面の楽しさが味わえそうです。

画像素材:PIXTA

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