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【豊臣兄弟!】豊臣秀長(仲野太賀)の思い人・直(白石聖)の早すぎ&衝撃的な退場が切ない…

  • 2026.3.6

【豊臣兄弟!】豊臣秀長(仲野太賀)の思い人・直(白石聖)の早すぎ&衝撃的な退場が切ない…

2026年のNHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」。今まであまりスポットライトの当たることのなかった豊臣秀長を主人公に、戦国時代がどう描かれるのか? ここでは、ストーリー展開が楽しみな本ドラマのレビューを隔週でお届けします。今回は、第7回「決死の築城作戦」と第8回「墨俣(すのまた)一夜城」です。

第6回の最後に、ついに寧々(ねね/浜辺美波)に結婚を申し込んだ藤吉郎(池松壮亮)。第7回の冒頭では、永禄8(1565)年、犬山城を攻め落とし、ついに尾張統一を成し遂げた織田信長(小栗旬)のもとで、しっかり侍大将になっている様子が描かれている。評定への出席も許されて、今や信長の重臣の一人となっているらしい。

そんな兄を、影になり日向になり、その時々で機転を利かせて支えてきた小一郎。その小一郎も、実は藤吉郎が「木下藤吉郎秀吉」という名前を与えられたときに、「木下小一郎長秀」という名を与えられていたという事実が、ドラマに先立ってナレーションで伝えられた。第5回から変わっていたというが、気づいていた人はどれくらいいたのだろうか。

この第7回と第8回は、その「小一郎長秀」に、焦点が当たった物語が展開された。特にこれまで何とか武功を立てることに必死でなおざりにしてきた、恋人・直(なお/白石聖)との関係についてしっかりと描かれて、嬉しかったり切なかったりの展開だった。

第7回「決死の築城作戦」

信長は次なる目標、美濃攻めに乗り出すべく、稲葉山城を攻略するために、木曾川沿いの墨俣(すのまた)に砦を築こうとしたが、敵に囲まれこの作戦は何度も失敗に終わったままだった。今度こそとの思いから柴田勝家(かついえ/山口馬木也)に任せるが、その勝家も腕を負傷して信長を落胆させ、その怒りを買ってしまう。そこで、最初に意欲を見せていた藤吉郎に白羽の矢が立ち、藤吉郎は意気揚々と役目を引き受けて張り切る。

藤吉郎は、その少し前、寧々と祝言を挙げていた。つまらないことから宴の直前に喧嘩をする二人を小一郎と直が仲裁しようとするが、いつしか自分たちの言い争いになってしまう。直はついにこう言ってしまうのだ。「私は中村に帰る。もうあんたとは一緒になれんわ」

小一郎にとっては青天の霹靂。何度も反対して止めようとするが、直の決意は固い。ついには堪忍袋の緒が切れた小一郎も「勝手にせい!」と、そのまま藤吉郎のもとに合流し、墨俣攻略に出てしまった。

藤吉郎と小一郎はこれまでに墨俣攻略に参加したことのある者たちに様子を聞くが、それによると、墨俣は平地で、こちらの動きが敵から丸見えになってしまうことから、いつも完成少し手前に斎藤龍興(たつおき/濱田龍臣)の兵に攻めこまれて壊されてしまうのだということがわかってきた。勝家にも会いに行くと「敵は斎藤ではない。『とき』じゃ」と言われる。

「とき」とはいったい何のことか。兄弟の姉の夫・弥助(やすけ/上川周作)と妹の夫・甚助(じんすけ/前原瑞樹)も交えて、兄弟は策を思案するが、なかなかこれという名案が浮かばない。そのとき、「腹が減ったわ」と言う藤吉郎に対して、母・なか(坂井真紀)が言った「汁でよければすぐにできるよ。下ごしらえしておいたねぎと里芋があるあるからね。それを味噌と合わせるだけだで」の一言から、藤吉郎は何かを思いつく。「それじゃ! 汁も砦も同じじゃ。あらかじめ下ごしらえをしておいて、一息にそれを合わせる。そうすれば、さほど時をかけずにつくることができよう」

川上の山中で材木を切り出し、ある程度の大きさまでその場で組み立てておき、それを川を使って墨俣まで運んで、そこで一気に組み上げる。これができれば、数日で砦を完成させることができるのではないか、とのアイデアだった。しかし、そのためには、尾張と美濃の国境の川筋を仕切っている地侍・川並衆(かわなみしゅう)の協力がどうしても必要だった。藤吉郎は、早速、信長の家臣でかつて川並衆だった前野長康(ながやす/渋谷謙人)に会いに行く。

しかし、長康は「おそらく私は何のお役にも立てませぬ」と乗り気でない答えしか返さない。実際に、一行が川並衆のもとを訪れると、突然冷たい雰囲気に包まれた。「おー、久しいのう」と近づいてきたのは、川並衆を率いる棟梁・蜂須賀正勝(まさかつ/高橋努)であった。 長康と正勝は、かつて義兄弟の契りを結んだ仲であったが、仲違いしていた。いきなり刀を抜いて向き合う二人。「わしらを裏切っておいて、よくその面を見せられたものよのう」と言う正勝は、長康に刀を振りかざしてきて、とりつくしまもない。

何とか話だけは聞いてほしいと請い、豊臣兄弟は正勝の家を訪れる。「こんなはした金では話にならん」と突っぱねる正勝に、藤吉郎は必至で交渉を持ちかける。「約束しよう。ただし5年、いや3年待ってくれ。わしが偉くなった暁には、必ずお主にも城を授ける」

正勝が少し心を開きかけたときに、心ここにあらずの小一郎の様子が目に留まって怒りを買ってしまう。小一郎は言い争ったまま別れてきた直のことで頭がいっぱいなのだった。「やはり織田など信用できぬわ。死にたくなければとっとと失せろ!」とついに追い出されてしまった兄弟。藤吉郎は小一郎を殴りつけ、「お前は足手まといじゃ。小牧へ帰れ」と言い渡し、小一郎はその場を離れる。

その直は、男たちが出ていったあと、熱病で倒れてしまっていた。家に帰りついた小一郎は、驚いて取り乱すが、寧々に「祈るしかできることはない」と叱責される。直もいつもあなたの無事をそうやって祈ってきたのだと言われて、小一郎は初めて直の気持ちに無頓着だった自分に気づく。そして、大量の賽銭を持って寺に行って拝むのだった。「どうか、どうか直をお救いください」

藤吉郎は長康のもとを再び訪ね、なぜ正勝と長康がこのように気持ちが離れてしまったのかそのいきさつを聞いた。かつては川並衆を率いる両輪として力を合わせていたが、何人もの武将の下についても負けが続いてしまい、いつしか二人は疫病神と呼ばれるようになってしまった。正勝は誰の下にもつかないと決めるが、長康は川並衆を守るために織田にくだったのだった。

長康から二人のいきさつを聞いた藤吉郎は、今度は正勝のもとを改めて訪れる。そして砦を築くための策を記した書状を正勝の家臣に渡して、引き受けてくれるまで屋敷の前から動かないと決めた。

折しも雨が降ってくる。第3回、桶狭間の戦に乗り出す直前の信長に小一郎が空を読んでみせて以来、雨というのは、この物語において、運命が動き出すときの前触れのように登場する。ここぞという転換点に雨が降ってきて、それが兄弟に味方していくことが多い。

寺で身動きせずにひたすら祈る小一郎。正勝の家の前でじっと待つ藤吉郎。雨は容赦なく二人に打ちつけてくるが、どちらもその先を信じて、雨にすべてを託すように動かない。

夕方になってようやく雨が上がると、直は一命をとりとめた。小一郎は直を抱きしめて、これまでのことを謝る。「今までつらい思いをさせてすまんかった。直、わしは死なん。必ず生きて直のところに帰ってくる。だから、どこにも行かんといてくれ。お主がわしの帰る場所なんじゃ」

藤吉郎も「われらならできる」という正勝から砦づくりの協力の約束を取りつけ、「お主は疫病神などではない。勝ちをもたらす軍神(ぐんしん)じゃ。ともにこの世を見返してやろう」と意気投合する。そこへ、小一郎が戻ってきた。斎藤の兵が長康の屋敷を囲んでいるというのだ。助けに駆けつける正勝と藤吉郎たちは、間一髪のところで斎藤の兵を打ち負かす。「あの墨俣の砦づくりは、わし一人では手に余る。また一緒にやるか」と正勝が長康にもちかけると「むろんじゃ!」と長康も快諾する。

第8回「墨俣一夜城」

そして続く第8回「墨俣一夜城」である。永禄9(1566)年夏、木曾川上流では、蜂須賀正勝と前野長康の指揮のもと、川並衆によるいかだづくりが着々と進められていた。一方、小一郎は直と新たに居を構え、ともに暮らし始めた。直は、父に小一郎と夫婦になることを報告しにいきたいと言い、弥助を伴に、中村へ帰っていく。

作業の報告に訪れた小一郎と藤吉郎に、信長は、できるだけ敵を墨俣に引きつけておくよう指示する。これまで墨俣に砦を築くのに失敗してきたのは、斎藤の家臣である大垣城の氏家直元(なおもと/河内大和)、曾根城の稲葉良通(よしみち/嶋尾康史)、北方城の安藤守就(もりなり/田中哲司)の「美濃三人衆」がいたからだ。今度は敵が砦に気を取られている隙に、稲葉山城にもっとも近い北方城を攻め落とすというのが信長の作戦だった。「わしらはまた捨て石というわけか」と腐りかける正勝に、藤吉郎は「信長さまはわしでなければやれぬと見込んで任せてくださったのじゃ。これほど喜ばしいことはない」と励ます。

そんなころ、北方城主の安藤守就は、菩提山(ぼだいさん)ふもとにある質素な庵を訪ねて、格子戸の中にいる男に向かって、何かを聞いていた。「織田の動き、どう思う?」。その問いに対し、戸の隙間から紙切れが差し出される。その1枚目には「墨俣」と書いてあった。そして2枚目も差し出される。「こたびは何かが違う」とそこには書かれていた。

守就は、稲葉山城の斎藤龍興のもとへ出向き、早めに手を打つべきだと進言するが、「織田を侮ってはなりませぬ」という守就の言葉にも、龍興は、今回も砦が出来上がる寸前に攻撃せよと命じるのみだ。このときの守就の顔が、だんだん疑問や不信に満ちていっているのがよくわかる。龍興が何かを指示するたびに、三人衆の中から城主に対する信頼が失われていく。

夜がふけて墨俣では、川並衆が無数のいかだから次々と降りてきて、砦づくりを始めた。翌朝、前日夕方までにはなかった砦が組みあがっているのを見た斎藤方は焦る。慌てた龍興は、前言を翻し、「なぜもっと早くに手を打たなかったのだ」と怒って急いで兵を送るよう指示する。

墨俣での作業中、直の持たせてくれた握り飯の包みを開いて食べ始める小一郎。しかしうっかり落として拾おうとかがんだところへ、敵方の鉄砲の弾が命中した。「直に助けられたわ」

斎藤軍の攻撃が続く中、小一郎たちは予定通り、長康らとともに北方城へ向かう。夕方になるとまた墨俣砦への攻撃が激しくなり、藤吉郎たちは、もはやここまでと腹をくくる。合図とともに堤が切られ、堀や城の周囲に水が流れ込んだ。そして流した油に火矢(ひや)を放ち退散。墨俣砦は炎に包まれた敵方とともに、一夜にして焼け落ちていった。「たった一夜であったが、お主らとともにつくったこの城のこと、わしは生涯忘れん。よき城であった」。藤吉郎は満足してそうつぶやくのだった。

そのころ、小一郎たちは、予想に反して北方城で大勢の敵方に囲まれていた。もはやこれまでとなったときに、小一郎は守就に向き合ってこう話しかける。「われらの策を見抜かれたこと、実にお見事。さすがは美濃に三人衆ありと謳われたお方にございます。そのお力、われらにお貸しくだされ」

そこまで言うのなら、お主らが美濃に寝返ったらよいだろうと反論する守就に、なおも小一郎は続ける。「それでも構いませぬ。それで皆がよき暮らしができるようになるなら、願ってもないこと。そう思えるよう、拙者を説き伏せてくだされ。わが兄なら迷わずこう申します。『信長さまなら新しき世を必ずおつくりになる』と。斎藤龍興さまには、それができまするか。できると申せますか」

かねてから城主に不信を抱いていた守就は痛いところを突かれた形になった。聞く耳を持たない守就一行とは激しい斬り合いとなり、小一郎は長康とともに脱出する。暗闇の中を逃げていると、突然、男(竹中半兵衛/菅田将暉)が現れた。男は「この策は誰が考えたのか」と小一郎に尋ねた。小一郎たちは死に物狂いで逃げる。

なぜ織田信長が、豊臣秀吉が、天下統一を果たしていったのか、それは絶大な力によるものだと思っていたのだが、こうしてみると、少々横暴でも、皆を引きつけ、理想を描いて信じさせるだけの圧倒的な説得力とカリスマがあったからなのだと、それなくして人はついてこなかったのだということが、このドラマでは改めてわかりやすく伝わってくる。小物の城主のもとで動揺する配下の心を、田中哲司さんが実にうまく演じているのも印象的である。小一郎の若い清々しさと対峙するここは、間違いなく今回の見どころのひとつだ。

その頃、中村を訪れた直は、父・坂井喜左衛門(きざえもん/大倉孝二)に歓待されたと信じたのも束の間、結婚を反対されて蔵に閉じ込められる。弥助に助けられて何とか脱出した直は、もう一度、父にきちんと向き合う。

「口では憎たらしいこともいっぱい言われたけど、でも父さまはいざというときはいつだって、自分のことより私のことを大切にしてくださいました。だから今までありがとうございました。父さま、私今幸せなんじゃ。父さまの娘に生まれてよかった。ありがとう父さま」

しかし、その帰り道、村人が激しく争う場面に遭遇した直は、子どもをかばって身を投げ出し、背中を斬られて命を落としてしまう。北方城から約束通り生きて帰ってきた小一郎だったが、待っていたのは直の亡骸だった。慟哭する小一郎。そこであまりにもぷっつりと物語が終わってしまうのも衝撃だった。

直は史実にはない、オリジナルのキャストなのだそうだが、百姓から武将へとなかなか気持ちの定まらない、勇気のない小一郎をいつも叱咤激励して背中を押していく存在だった。小一郎が新たな道を進むうえで、絶対に必要な女性として描かれていただけに、その死は、ある段階を見届けて役目を終えたと言っているようで何とも切ない。

「幸せじゃ」という言葉を最後に遺していったことだけが救いだが、このあと小一郎は何を思い、どう生きていくのだろうか。先日、「あさイチ」のプレミアムトークに出演した白石聖さんが言っていたが、このドラマにおいて、直のシンボルはひょうたんで、小一郎は風車なのだそうだ。そう思うと、直が倒れた草むらの脇には風車が二つ揺れていた。あれは小一郎なのだった。

この第7回、第8回は、何と言っても白石聖さんの気高くさえ感じられる清楚でさわやかな直の姿が鮮烈だった。この役が彼女でよかったと改めて思った。

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