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パリジェンヌのスタイルはどう作られた? フランス版『ELLE』が記録した女性解放とファッションの80年

  • 2026.3.5
BRIAN DUFFY

引き続き世界的な対立が深まる2026年。不安定な状況下にこそ、女性やマイノリティーの権利は標的になりやすく、前に進んだはずの流れも簡単に揺り戻しが起きる。

それでもいつだってファッションは私たちの味方! フランスの女性たちがどのようにファッションを通じて意思表示をしてきたのかをフランス版『ELLE』のアーカイブとともにウォッチ。

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50's:解放された自分のためのおしゃれの始まり

ボーヴォワールによる名言「人は女に生まれるのではない、女になるのだ」に触発された女性たちは、コルセットを脱ぎ捨て、なりたい自分になろうと模索し始める。それは「赤」のような華やかな色を通して表現されたり、一見お行儀の良い服装の下にも遊び心を忍ばせたりした。

写真:1945年のフランス版創刊号。

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1950年代には女性用パンツが登場し、動きを解放するファッションの象徴に。クリスチャン・ディオールは「お金をかけずにエレガントに」装うアドバイスをし、朝も午後も対応できる着回し可能な服を打ち出した。

写真:1953年378号。

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フランスの女性たちの歴史

1945 女性参政権獲得後まもなく、フランス版『ELLE』創刊!

1946 憲法には男女平等が記されたが、絶対的権力を持つ父親と夫の支配下で生きる。避妊手段もない。

1949 シモーヌ・ド・ボーヴォワールの『第二の性』が出版。家父長制に一石を投じる。

1950 『ELLE』で全員女性の閣僚名簿を想像する企画を実施。

1956 産児制限を訴える最初の団体が設立。後の「家族計画(Planning familial)」の前身に。

1957 『ELLE』で見いだされた無名のブリジット・バルドーが、世界的スキャンダルを巻き起こす。

写真:1953年、ピエール・バルマンのコレクションを身にまとった女性たち。

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60-70’s:ジェンダーレスな美意識、ファッションコードが拡大

'60~'70年代、妻や母としての役割に結び付けられていた美のコードは揺さぶられ、女性が自分の人生の主役になることを後押ししていく。男性服の要素を取り入れたイヴ・サンローラン、ミニ丈や動きやすいデザインを象徴するクレージュ、自由で軽やかなニットスタイルを提示したソニア・リキエル……。

写真:1965年1000号。

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また、パンツはもはや一部のエリートだけのものではなく、スーツ、ジーンズ、タキシードといったあらゆる形で着こなされていく。ワーキングガールが台頭し、存在感を持ち始めたのだ。

写真:1976年1588号。

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フランスの女性たちの歴史

1965 夫の許可なしに働き、自分名義の銀行口座を開設できるよう になる。

1967 経口避妊薬を含む避妊具の製造・販売・使用が合法化。

1970 親権の共同行使が可決され、子供に対する父権の絶対的 支配が終わる。

1973 中絶と避妊の自由を求める運動(MLAC)が設立。

1974 シモーヌ・ヴェイユが保健大臣に就任。『ELLE』の編集長を 務めたフランソワーズ・ジルーは女性の地位副大臣に。中絶を合法化する法律が可決。

1975 相互合意による離婚制度が導入される。

写真:しなやかなクレージュのセットアップは、活動的で自立した新しい女性のユニフォームに。

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80-90’s:勝ち取ってきた力をパワードレッシングで体現

'80年代のトレンドは、ジャン=ポール・ゴルチエ、ティエリー・ミュグレー、アズディン・アライアなどのデザイナーたちが形作った、征服者のようなシルエット、エクストララージサイズのショルダー、威圧感のあるパンツスーツによって、力強い権力への参入を祝福。

写真:モニカ・ベルッチがカバーを飾った1988年2225号。

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ケイト・モスが'90年代のアイコンとなるなか、中性的でミニマルなシルエットも広まる。女性の体を見せることをタブーとするのではなく、主体的に扱うニュアンスに。トップレスを含め、ありのままの自分を受け入れ、表現していくことができるようになった。

写真:フィットネスやスポーツウェアもブーム。1995年2569号。

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00-20’s:ジェンダー、体形、年齢も超えていく新たなモード

そして現代。装いはジェンダーフルイドな感覚をまとい、無数に多様化する時代に。出自も体形も問わず、あらゆる女性に開かれたものへと変化。「#MeToo」は創作のバックボーンとなり力強い女性をたたえる。

写真:タラ・リンを特集した2012年3450号。プラスサイズモデルが当たり前に。

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さらに、年を重ねること自体が魅力として再評価され、アイコンはエイジレスに。さまざまな観点で男性の視線から本格的に脱しつつある。ミウッチャ・プラダ、マリア・グラツィア・キウリなどのデザイナーたちは、引き続きポスト#MeTooルックを生み出していくだろう。

写真:2022年4007号のカバーはアンディ・マクダウェル

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フランスの女性たちの歴史

2002 母親が自分の姓を子供に継承できる法律ができる。

2005 再犯の恐れがある暴力的な男性に退去を義務付け。

2012 セクシュアルハラスメントに対する罰則が強化。

2013 中絶費用の100%払い戻し、同性婚が認可される。

2016 裁判官なしでの離婚が可能になる。

2017 #MeToo 運動爆発。

2021 PMA(医学的生殖補助医療)がすべての女性に合法化

2022 中絶可能期間が14週に延長。ヤエル・ブラウン=ピヴェが国民議会初の女性議長就任。女性の健康が政治的課題に。

2024 中絶の権利が憲法に明記。

写真:マリア・グラツィア・キウリがディオールで象徴的なメッセージTシャツを発表。

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